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2013年08月21日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話
◆「中国の経済破綻」が、「アベノミクス」政策進行中に起きたら、日本経済は、一体どうなるか。安倍晋三首相は、何事も起こらないと思っているのか、ゴルフ三昧の「夏休み」を謳歌している。東京電力福島第1原発で高濃度の放射能に汚染された「水たまり」が見つかって、周辺の漁協関係者を恐怖のドン底に陥れているというのに、安倍晋三首相は、「我関知せず」の無責任ぶりである。
もちろん、「アベノミクス」政策進行中なので、これに自ら足を引っ張ったり、水をぶっかけたりすることはできないのは、当たり前だが、「中国の経済破綻」が、現実化して多大な被害を被って苦難に陥れられるのは、言うまでもなく、一般国民であり、日本企業である。
◆「中国の経済破綻」は、単なる一般的な予測ではない。米国最大財閥ジョン・デビッドソン・ロックフェラー4世が事実上にオーナーである国際金融機関ゴールドマン・サックス社が8月5付けのリポート「Top of Mind」のなかで、中国バブルが崩壊した場合「貸倒損失が最大18.6兆人民元(約297兆円)になる可能性がある」との試算を示している。1990年4月1日、大蔵省が発令した「総量規制」(不動産業界への融資制限)がキッカケになり、日本のバブル経済が崩壊して発生した不良債権による損失は約100兆円(一説には1000兆円が吹き飛んだとも試算)、2008年9月15日に、米国投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻して起きたいわゆる「リーマン・ショック」の際は、米国で3兆ドル(約293兆円)の損失が発生したと言われた。
これらと同様、メガトン級の「中国の経済破綻」が起きた場合、中国貿易に依存している日本経済が、無傷でいられるはずはない。中国と極めて緊密になっている韓国経済も破綻に追い込まれ、これが日本経済にも大打撃となる。だからこそ、この予測可能な経済危機に対して、中国進出企業は、一刻も早く手を打っておかなくてはならないのである。
◆ロイターによると、ゴールドマン・サックス社は、早々と手を打っていた。ロイターは5月20日午後9時14分、「米ゴールドマン、中国工商銀行株全て売却へ」という見出しをつけて、以下のように配信していた。
「[香港 20日 ロイター] - 米ゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)は20日、保有している11億ドル相当の中国10+ 件工商銀行(ICBC)(1398.HK: 株価, 企業情報, レポート)の株式売却を始めた。今回、保有する全てのICBC株を売却する。IFRが条件規定書を引用し伝えたところによると、ゴールドマンは、ICBCの株式を1株当たり5.47─5.50香港ドルで売り出した。これは20日終値(5.64香港ドル)から最大3%ディスカウントとなる。ゴールドマンはICBC株を2006年から保有しているが、ここ1年数回にわたり売却を行っていた。ゴールドマンは2012年4月にICBC株を売却し、25億ドルを調達した。売却した株式の大半はシンガポールの政府系投資機関テマセク・ホールディングスTEM.ULが取得した。また、今年1月には10億ドル相当のICBC株を売却した。2006年の新規株式公開(IPO)以前、ICBCは多額の不良債権を抱え、経営が悪化していた。だがIPOを境に中国10+ 件の高度経済成長の波に乗り、時価総額は米JPモルガン(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)と英バークレイズ(BARC.L: 株価, 企業情報, レポート)を合わせた規模にほぼ匹敵する2400億ドルに拡大した。ゴールドマンは2009年以降、6度にわたりICBC株を売却。残りの保有株をすべて売却すれば、調達額は合計101億ドルに上る」
当然のことだが、ゴールドマン・サックス社は、中国共産党1党独裁の北京政府が主導する経済の破綻をいわゆる「カントリー・リスク」として捉え、常に「リスク・へッジ」を考えていることが、よく窺われる。
◆一方、もう一つ注視しなくてはならないのは、「不動産の私有財産権」が認められていない中国で、数多くの人民が、地方政府の横暴により、住み慣れた土地から追い立てられているという現実である。住居を奪われた人民の怒りが、「爆発寸前」にある。それは、いつでも引火してもおかしくないガソリンのような状態にある。
朝日新聞が8月20日付け朝刊「8面=国際面」の「世界発2013」で、「開発 土地奪われる農民 個人所有 認められぬ中国」「早朝 重機で家々を破壊」「地方政府 強い収容権限」という見出しをつけて、その惨状を詳しくレポートしている。
地方政府幹部=共産党幹部の腐敗が蔓延しており、人民のデモ、暴動が年間30万件と言われているなかで、これがいつ内乱、内戦に発展してもおかしくない緊迫した状況にある。この意味で、中国崩壊は、間近に迫っているのである。これに対して、安倍晋三首相はじめ、日本の政治家は、実にのんきなのである。
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