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2013年08月20日 世相を斬る あいば達也
遠い国だがエジプトでは、三日天下のように国民を巻き込んだ政権闘争が繰り広げられている。今現在は軍部がクーデターで、実権を握っている状況だが、1カ月後に軍部クーデター政権が存続しているかどうかも判らない。国際関連の記事を読む限り、米国の支持を取り付けているであろうエジプト軍が優勢なようだが、此処に来て前々政権のムバラク元大統領(容疑者として拘禁裁判中)の保釈と云う話が持ち上がっている。ムバラク時代の方がマシだったと云う世論も多いことから、軍の火事場ドロウボウ的、ムバラク復権のシナリオまであるようだが、ムバラクの保釈が、さらなる火種になる可能性もある。
エジプトは石油の産出国でもないから、エジプトの混乱は、西側諸国への影響は軽微だ等と言っている向きもあるようだが、スエズ運河と云う輸送の喉仏を握っているだけに、原油価格への影響は計り知れないだろう。また、エジプトのイスラム化を極端に回避したいイスラエル及び米国は、何が何でも現軍事政権を支持していきたいところだが、反ムルシ政権打倒に立ちあがった青年グループが、どちらに転ぶのか、或いは第三の勢力になるのか、混沌として来ている。
そんな世界の動向に関わらず、安倍政権は着々と“TPP協定10月妥結”と云うオバマ・シナリオに則って動いているようだ。正直、TPPによる日本の伝統文化の破壊は許し難いわけだが、この100%関税撤廃、参入障壁の排除という図式が本当であれば、功罪相半ばする問題でもある。農業や保険分野など、相当の犠牲を強いられるわけだが、公共事業への参入障壁の打破などは、官僚利権を破壊する可能性もあるだけに、その辺りが、どのような推移を迎えるのか、非常に興味深い。行政官僚が官僚利権を改革するわけはないし、政治主導で改革が出来る可能性は、現時点で殆どゼロである。
安倍晋三が、TPPを奇禍として、行政改革をなし崩しに行う意志があれば、極めて驚くべき善行なのだが、その辺まで考えが及んでいるとは思えない。まぁ結果的に、官僚利権に劇的にメスが入るのであれば、国民にとっては痛み分けな側面もあるのだろうが。米や小麦を見捨てても、官僚利権だけは死守する覚悟で、100人の官僚が智恵を絞っているのだろう。おそらく、安倍政権の閣僚らも、政治責任が追及されない範囲で、官僚の差配に従わざるを得ないのだから、官僚利権だけは守られる見せかけの参入障壁の排除になるのだろう。米国が当面日本の官僚の抵抗を和らげる意図で、官僚利権部分はアンタッチャブルにしているかもしれない。
官僚利権への挑戦者は悉く既得権益の番人・法務検察の餌食になるわけで、全貌は見えないが、故中川昭一の酩酊事件でも垣間見えるし、直近では小沢一郎陸山会事件で、完璧に馬脚を現した。検察にしてみると、この自己組織の崩壊まで覚悟した国策捜査であったろうから、その見返りは充分に自民党に要求する権利があると思っているだろう。TPPの趣旨から行けば、非近代的日本の司法制度にも牙を向く筈だが、農業分野の抵抗は程々に、司法制度や霞が関制度の維持には汲々となっているに相違ない。おそらく、安倍とか甘利・茂木の知能では、官僚がその辺とのバーターで不平等協定に結論を出す可能性は大いにある。朝日は官僚利権に触れていないが(当然)、日本が米国の圧力に完全に屈しているニオイを報じている。
≪日本、TPP交渉で高い自由化率提示 各国水準に合わせ
【藤田知也、鈴木友里子】22日からブルネイで開かれる環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉会合で、日本政府が貿易自由化率を最大85%程度とする関税撤廃案を示すのは、各国の交渉にペースを合わせるためだ。今後は、国益をかけた厳しい交渉がいきなり始まる。日本は本音では交渉に時間をかけたい考えだが、米国は「年内妥結」に強くこだわっている。
政府のTPP対策本部は、交渉会合に初参加した7月下旬以降、主に2国間で進められている関税の引き下げ交渉がどのくらい進んでいるか、情報収集してきた。分かってきたのは、米国の砂糖やカナダの乳製品など、各国が関税を守る「聖域」にしたいと考えている品目の扱いを巡る交渉は、進んでいないことだった。一方で、それ以外の品目では話がつきつつあるようで、各国の貿易自由化率は、想定より高かった。
このため日本は、当初は75%程度にとどめる予定だった自由化率を、最大で85%近くまで引き上げた。日本は交渉に最後に加わっている。各国から「日本は参加した途端に、交渉を遅らせようとしている」との疑念を持たれないようにする必要があった。
だが、日本にとって、自由化率の水準を高くして交渉に入れば、その分だけ「のりしろ」が減り、国益をかけたぎりぎりのせめぎ合いをすぐに迎えることになる。
与党が関税を守るよう求めるコメや麦などの「重要5項目」は、今回の交渉では「留保」扱いとされ、自由化率の枠外に置かれることになった。ただ、米国などは96%程度の高い自由化率を目指している。
日本は重要5項目すべての関税が守れない事態も予想される。どの品目の関税撤廃に応じるか、絞り込みの作業を早急に進める必要に迫られる。
日本にとって大事なのは、重要項目を交渉する期間がどの程度あるのかだ。日本は、交渉が遅れれば遅れるほど、重要項目で自国の主張をする機会が増えるとひそかに期待している。
しかし、そこに立ちはだかるのが米国だ。米オバマ政権は来年秋の中間選挙までにTPPの成果を示す必要があり、「交渉の年内妥結」に強くこだわる。
米通商代表部(USTR)のフロマン代表は、22日の交渉会合を前に、就任後初めて日本を訪問。18日には、茂木敏充経済産業相と都内で会談し、TPP交渉を目標通り年内に 妥結させる意向を改めて伝えた。これに対し、茂木氏は「年内妥結に向け、建設的・積極的に協力していく」と応じた。
仮に米国の思惑通りに交渉が進めば、年内妥結までに残された時間は3カ月半しかない。甘利明・TPP担当相は「日本としては、ブルネイとその次に開かれる会合の二つが大きな山だ」と語る。
◇
〈貿易自由化率〉 すべての貿易品目(日本は9018品目)のうち、関税をなくすことを約束する品目数が占める割合。日本がこれまで結んできた13の通商協定の自由化率は86%台が中心で、最も高いフィリピンとの協定でも88・4%だった。これに対し、米国が、韓国などの各国と結ぶ通商協定の自由化率は96〜99%程度と高い。TPP交渉を主導する米国は、TPPの自由化率も高水準にしたい意向だ。 ≫(朝日新聞)
官僚利権の大地に油を注ぐような消費増税も、9月末には決定するだろう。「増税する前にやるべきことがある。」は野田と云う憲政史上初の棄民政治家のお陰で胡散霧消し、この考えを強く主張した小沢一郎や亀井静香は勢力を大幅に失っている。物価インフレと賃金デフレに消費増税が追い打ちをかけるだから、想像しただけで、一般国民の生活は困窮する。おそらく、現在の1割以上困窮度が増すのだろうが、どこで本気で国民が怒り出すのか、それでも怒り出さず「生かさず殺さず」の中で、智恵を絞って生きていくのか、筆者はその状況をつぶさに観察したい欲望にかられている。無責任の誹りは免れないかもしれないが、生きる価値観を変えるチャンスが出来る、と前向きにとらえたい。自民党独裁政治の土俵を提供した以上、他力本願も致し方ないだろう。
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