景気が良くなって庶民の税負担能力が上がることはない。

税金で飯を食べている連中にはそれが分からない。

今年に入ってからの各種の経済指標の好転は、アベノミクスによる円安、株高、それを転機に節約疲れから少し財布のひもが緩んだ結果に過ぎない。増税前の前倒し需要という面もある。4〜6月の数値が市場が期待したほどではなかったことは、日本経済がまだ病み上がりの途上にあることを示している。

消費増税を先に延ばし、今年の10〜12月のデータを見てから再考してもよい。1000兆円の借金が急になくなるわけではないのだから。消費増税は財政再建の強薬かもしれないが、タイミングを誤ると毒薬になる。来年4月からの増税は日本経済にとって命取りになる可能性さえあることを十分認識すべきである。

消費税はそうした壮大なる欲望のゆえに生まれた。
だから、どこからみても異常なのだ。

消費税が施行され数年来、わたしたちはそこから何を見てきたか。
消費税には、消費する個は、身を削ってでも負担しなくてはならない、という哲学が込められている。それは、病人も、妊婦も、年金生活者も、お金を生む力のある無しに関わらず、支払わなければならないのだ。

そこに現出する世界は、
子供を生み、養うべき若夫婦たちは、経済と子育ての両立に怖れをなし（少子化）、老人を抱える低所得者層は、その介護ゆえに職を失う（介護による貧困）、そんな現実だ。

税とは本来、生産の喜びと感謝という哲学があった。
消費税はそうした大切なものを破壊する税制であることを、皆は知らない。