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パートや派遣社員など非正規労働者の数が過去最多を更新した。安倍晋三首相は自らの経済政策で「順調に景気は上がっている」と強調し、その象徴として雇用の増加を挙げるが、実態は非正規労働者の急増に支えられ、逆に、正社員などの正規雇用は減っている。しかも、安倍政権は正社員をさらに減らすことにつながる政策を実行しようとしている。 (我那覇圭、関口克己)
総務省が十三日に公表した労働力調査によると、今年四〜六月期平均の非正規労働者数は一年前より百六万人増の千八百八十一万人で、統計を取り始めた二〇〇二年以降、最多となった。雇用者総数が一年前より五十三万人増えたのに対し、正規雇用は五十三万人減った。確かに雇用全体の「数」は増加したが「質」は悪化した。
政府は六月に決めた成長戦略で、産業競争力の強化策の柱に雇用制度改革を掲げた。具体的な施策の一つが勤務地や職務を限定した「限定正社員」の導入だ。福利厚生は一般の正社員と変わらないものの、企業がその勤務地や職務から撤退すれば、正社員よりも簡単に解雇される。
限定正社員は非正規労働者と正社員の中間に位置づけられ、統計上も新たな分類になる。解雇のしやすさから「見かけ正社員」とも批判される。
年間約三百件の労働相談などに応じるNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事は「人件費を削減して利益を出そうというビジネスモデルが確立されている。企業が解雇を回避する努力をするよう、国は力を入れるべきだ」と、限定正社員制度の運用に注文をつける。
成長戦略には、社会問題化している派遣労働の規制緩和も盛り込まれている。
労働者派遣法は通訳や秘書など専門的な二十六の業務以外は、企業が派遣を受け入れられる期間を原則一年(最長三年)とし、その後は禁じている。
だが、厚生労働省の研究会は今月六日、これを改め、派遣元からの派遣労働者を別の人に代えれば、業務を続けられるとした素案をまとめた。人材派遣会社からの要望が反映された。
派遣労働者が派遣元と無期限の派遣契約を結んでいれば、派遣期間は制限されないが、現在、約百十万人いる派遣労働者のうち、これに当たるのはわずか二割。大半は最長三年で派遣先から追われることになる。
労働組合「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長は素案を「労働者を解雇しやすくしたい企業の論理そのものだ」と批判。「このまま導入されれば、現在は正社員である人も次々と解雇され、派遣労働者に置き換えられる。雇用環境はさらに不安定になる」と訴える。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013081802000120.html
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