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2013/8/17 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
安倍首相がゴルフ三昧でノンキな姿をさらしている。この夏休みで3度目のラウンドとなる16日は、森元首相やフジテレビの日枝会長とラウンド。きょう(17日)も昭恵夫人らとコースを回る。
まるでツアープロのような強行スケジュール。のどかで平和な雰囲気を演出し、国民に安心感を与えるつもりかもしれないが、騙(だま)されてはダメだ。20日までの夏休みが終われば、恐ろしい独裁政治が本格的に始まる。
オオカミは羊の仮面をかぶって登場するのが通り相場だが、安倍は違う。侵略戦争を反省せず、不戦の誓いもしない男だ。国民にも、いきなり牙をむいてくる。反ナチスの国会議員を拘束し、突撃隊や親衛隊ら熱狂的な支持者が包囲する中でワイマール憲法を無力化したヒトラーと同じ。ねじれが解消された議会で、反対派の意見に耳を貸さず、やりたい放題にやってくる。
なにしろナンバー2がナチスを肯定するような政権だ。ヒトラーエピゴーネンは、国民生活をグチャグチャにするだろう。
まずは消費税の増税だ。幅広い意見を聞くとかなんとかもっともらしいことを言って、有識者会議を開く予定だが、ポーズに過ぎない。結論は最初から決まっている。
政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「有識者から意見を聞いたり、政権内から異論が出たりしているのは、みんなで国民のことを考えて悩んでいるというポーズ。麻生財務相は、消費増税は国際公約だと言っています。G20で、円安誘導を見逃してもらうかわりに、財政再建もやると言ってきた。それを公約としているようですが、いずれにしろ、引き上げることになるでしょう」
安倍は財務省に、大量の国債発行と日銀引き受けを認めさせた。その見返りとして、財務省の悲願である消費増税をスケジュール通りに実行する。そんな裏取引もあったのだろう。
4―6月期GDPが年率換算で2・6%増となったのを受けて、麻生は「消費税を上げる方向で、いい影響を与えた」と強調した。いまさらひっくり返る可能性はゼロだ。
◆基本給13カ月連続減の中で値上げラッシュ
国民は大変である。ただでさえモノの値段は高くなっているのだ。パンやパスタ、食用油、冷凍食品、ハム、ソーセージ、酒類など、この夏は食料品が軒並み上がった。今後も牛乳やジャムなど食卓の必需品の値上げが予定されている。
それらすべてに、引き上げられた税金が付いて回るのだ。単純に5%が8%になる以上の負担が家計を襲うことになる。
「値上げラッシュは今後も続く恐れが強いです。世界的な異常気象による穀物の不作が懸念されますし、エジプト情勢の不安定化で原油価格の高騰が始まっている。レギュラーガソリンの価格は4年10カ月ぶりに160円を突破しましたが、これが天井という保証はありません。電気代もうなぎ上り。東京電力は来年1月にも再値上げを検討しています。これは3期連続赤字を避けるためで、廃炉や賠償の費用を考慮したものではありません。しかも日銀は、2年間で2%の物価上昇を実現すると言っています。物価上昇は避けられない」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
それでも所得が増えていれば耐えられるかもしれないが、厚労省によると基本給に相当する「所定内給与」は13カ月連続でマイナスだ。完全失業者数は減少し失業率も3・9%と下がっているが、正社員は53万人も減っている。増えているのは非正規社員で、そのうちの7割が契約や派遣よりも待遇が悪いパートやアルバイトだった。
だが、安倍は知らぬふりである。政府は「デフレ状況ではなくなりつつある」と月例報告で表現、国民の目をくらましているのだ。
◆年金カット、医療費負担増で老人切り捨て
高齢者もいじめられる。ヒトラーはユダヤ人を虐殺したが、安倍は老人を切り捨てるつもりだ。前出の荻原博子氏が言う。
「10月から年金は1%切り下げられます。その後も2度、計3回で2・5%の切り下げとなる予定。一方で、高齢者の医療費窓口負担は1割から2割に増やされる。収入は減るのに支出は増えるのだから、生活はどんどん苦しくなります。週に何回かヘルパーさんに助けてもらいたいという要支援者へのサービスを市町村に移管するのも、高齢者の暮らしを軽視している。サービスの質の低下や市町村による格差が心配されているのに、政府は見直しを考えていません」
介護保険で十分なサービスを受けられなくなれば、家庭の負担も増える。もっとも、安倍自民党の主張は「公助よりも自助」だ。生活保護も支給基準額が今月から減らされた。最終的に4人世帯で2万円もカットされる。
米国が相手だとヘイコラするくせに、老人や弱者には傲慢で冷たい。いったい、どこの国の政治家なのか。
防衛費は来年度も引き上げられる見込みだ。今年度が11年ぶりにプラスとなり、タガが外れたのか、防衛省の概算要求は2・9%増になるという。中韓両国との緊張を高め、軍国化を進めることには熱心なのに、困っている国民には目が向かないし、カネも回そうとしない。それが安倍という政治家の発想だ。いかに冷徹で時代錯誤な人物かがハッキリする。
◆日本の伝統を破壊する保守政治家の正体
そんな独裁者による庶民イジメの総仕上げはTPP参加だ。
「安倍首相や自民党はコメや牛肉など5品目は守ると言っている。米国側にも聖域を伝えたとされます。でも、あれはフィクションでしょう。日本側が勝手に言っているだけです。10年もすれば、すべての関税は撤廃される。政府は拒否できません。日米安保とセットになった話で、イヤだと言えば、米国の核の傘はなくなる。今の政権に、それを受け入れる覚悟はありませんよ」(有馬晴海氏=前出)
日米安保は、CIAの協力者だった安倍の祖父・岸信介が政権と引き換えに守ったものだ。安倍が潰すわけがない。むしろ、安保バンザイで米国に隷従してノウノウとしている。
TPPは日本の農業だけでなく、皆保険制度も崩壊させ、医療格差を拡大する恐れも強い。食品添加物や遺伝子組み換え食品の規制が緩くなり、食の安全も脅かされる。日本の社会構造を根本から崩壊させるインパクトは十分。日本の良さや伝統も破壊されるのだ。
それでも安倍は平気である。彼は保守政治家なんかではない。売国政治家だ。衆参両院を押さえることで、国民の暮らしを破壊する独裁者となったのである。
アベノミクスに騙されて、自民党を勝たせた国民は、秋からの地獄を覚悟すべきだ。
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