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この掲示板の馬鹿で右翼で暇なネットの住人はプロ野球など見ないかもしれないが、今日はプロ野球にからめての和製英語「ブラック」の言葉狩りの話である。フジ系の「プロ野球ニュース」で、横浜のブランコが大活躍の話題の時に、昔『白いブランコ』という歌があり、今では「黒いブランコ」とかいう話にもなったが、そのネタは長続きしなかった。またその番組には日焼けサロンに通っているであろう橋本清の皮膚は真っ黒である。
私は野球が大好きだから日本のプロ野球中継は主にスカパーで毎日見ている。むろん球場にも数回は足を運ぶ。さて今年のプロ野球で特筆すべきなのは黒人選手の大活躍である。そうブランコの打球の飛距離、バレンティンの本塁打数、ルナの打率の4割などである。かように今の日本プロ野球が黒人選手の活躍抜きでは語れない時代に生きているのに(ルナは初来日だが、ブランコ・バレンティンは在日期間が長い)、今の日本社会では「ブラック追放」などという危ない言葉が満ちあふれているのだ。
さてプロ野球と黒人の話題に触れる時にどうしても再確認しておくべきことは長嶋茂雄の発言である。彼には「あんぽって何ですか?」「社会党政権になれば野球ができない」とかの悪質な政治的発言があるが、「巨人軍には黒人はふさわしくない?」とかいうような人種差別発言もしている。彼の頭の中では日本は、あるいは巨人軍は名誉白人の場所であったわけだ。
で、時は過ぎ、なんだかしらないが長嶋茂雄が国民栄誉賞をもらい、ミーディア(メディア)では「ブラック」という和製英語の氾濫である。よってここで私が突飛な推論をすれば、「ブラック」を悪い意味で使い出したネットの連中は日本のプロ野球などに全く興味などなく、よってそこでの黒人選手の活躍など見る事もなく、加えてブラックに黒人の意味があることも知らないのなら、今の「ブラック」乱用の始まりをつくったと説明できるのかもしれないということだ。何しろここ日本では「ホワイト・ラブ」(白人の愛)だって歌の世界ではまかりとおっていたのである。もちろん「ブラック・イズ・ビューティフル(黒は美しい)」運動を若者が全く知らなかったのもその一因であることは再三私が指摘してきたことだ。それさえ知っていれば「ブラック」にまつわる何事も起きなかった。
もちろん英語の無知だけでも全てのトンデモ和製英語の造語が可能なことは言うまでもないことで、プロ野球好きなら「ブラック企業」なる言葉を使わないであろうという推論にはかなり無理があるが、何かかが暴走の制動装置として働くことは多々あり、日常的にテレビで見ている黒人選手がいれば、悪意を込めて使う「ブラック」なる言葉の使用を控える知性ぐらいはたまには働くかもしれない。日本では野球を見ない人間は、簡単に黒人が「見えない人間」になるのであるから。
ラルフ ・ エリソンの代表作 に『見えない人間』という小説があり、これを私は昔に読んだのだが、今は内容もほとんど忘れている。ただし本の題名は示唆に富むもので、差別の本質をえぐっている。差別者は被差別者などもともと見えない存在なのであり、被差別者にとっての最悪なのは人々からの無視や避けて通り過ぎられることである。
差別者が被差別者を見えないことや無視することに関して、塩見鮮一郎は言葉の言い換えに絡めて次のように書く――[・・・筒井康隆は、「めくら縞」は「目の不自由な人縞」というのかと茶化すが、どんなに彼がおかしがって笑おうと、「めくら」を「目の不自由な人」と言いかえることで、そして、そのことを日本語を使う人が覚えることで、社会的に変化をあたえているのである。その心理におよぼされた変化は、実際に盲人と接するときに微妙に影響してくるのである。また、筒井が「目の不自由な人縞」というふうな言葉を書くこと自体、彼がほんの少しでも盲人について考える時間を持ったことになる。被差別者にとって最悪な状態とは、差別者からしかと(無視)されたり避けて通られることだから、ちょっとでもふりむいてもらえればそれでよい。(塩見鮮一郎『作家と差別語』明石書房、1993年、頁108、109)]。
差別語を言挙げしてその同調者が多数になれば「ブラック企業」という言葉の言葉狩りは成功するが、同調者が少数のままでは、その差別語は生きながらえることにもなるわけだ。ここでは題名にわざとブラックパワーの意味を誤用して使い、本来の意味を再確認してもらい、「ブラック・イズ・ビューティフル(黒は美しい)」運動を再学習するキッカケにしたい。橋下徹の性奴隷発言、麻生太郎のナチ発言、そしてミーディア(メディア)の悪意のある「ブラック」という和製英語の氾濫、この知性の感性の倫理の呆れるほどのていたらくは日本の恥である。「すいません。日本低国民のほとんどは馬鹿な右翼です。」と謝り続けることなど、もうやめにしたいものだ。
★ブラック‐パワー 【black power】
1960年代後半の米国で、黒人自らの力によって人種的差別を打破しようとして結集を呼びかけたスローガン。また、その運動。
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