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2013/8/14 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
4―6月期の実質GDPが年率2・6%増という速報値を受けて、政府は「景気回復」をアピールしている。安倍首相は「順調に景気は上がってきている」と胸を張ったし、甘利経済再生相も「堅調な成長」「いい数字が出ている」と言っていた。
だが、これには重大な疑惑がある。どこをどう見たって、景気は上向きじゃないからだ。
街角の景況感を示す7月の「景気ウォッチャー調査」は4カ月連続の悪化。消費者心理を表す「消費者態度指数」も2カ月連続で悪化している。だいたい、所定内給与が13カ月連続で減少しているのだから、財布の紐が固くなるのは当たり前の話で、「どこが景気回復なのか?」と言いたくなる。
失業率が4%を切ったといっても、中身を見れば、増えているのは非正規雇用だけで、この半年間で80万人近く増加。その分、正社員は減っている。安倍政権になって、かえって雇用は不安定化しているのだ。
埼玉大教授の相沢幸悦氏(経済学)が言う。
「GDP2・6%増という速報値は市場予想値を大きく下回ったし、さらに言えば、中身が悪い。設備投資がマイナスというのが致命的です。アベノミクスのシナリオは、金融緩和でジャブジャブにすれば、インフレ期待で消費が増え、企業が設備投資を増やすというものでした。その理屈が完全に破綻したということです。増税の前提となる4―6月期の数字を上げるために常軌を逸した大盤振る舞いをしてきたのに、その結果がこんなショボイ数字だった。目先の期待感をあおり、株高をつくり出したところで、海外のヘッジファンドが儲けただけ。実体経済はひとつも良くなっていない。アベノミクスは大失敗に終わったのです」
それなのに、政府は「景気回復」と言い張る。その裏の真相はミエミエで、何が何でも消費税を上げるということだ。
◆景気回復をデッチ上げても増税を断行
「安倍首相はさまざまな経済指標を参考にしているふうを装っていますが、来年4月に消費税率を引き上げるという結論は決まっていると思います。8日に閣議了解された中期財政計画でも消費税増税が決め打ちされているし、社会保障制度改革国民会議の報告書も増税を前提に書かれている。政府はこれをもとに“改革”の実施時期などをまとめた『プログラム法案』の要綱も21日に閣議決定する予定です。こうやって既成事実を積み上げ、外堀を埋めていくのは官僚の常套手段。消費税アップは必ず実行されるとみていいし、そのための地ならしとして、景気回復を喧伝しているのです」(経済評論家・山崎元氏)
実際、安倍は12日夜に開かれた地元後援会で、こんなことを言っていた。
「秋にはTPPの判断、消費税をどうするか、こういう難しい判断になるわけですが、未来へ向けて、適切な正しい判断をしていこうと思っておるところです。総理大臣は、万人から拍手を得ることができないわけであります。時には厳しい批判を恐れずに決断をしなければならない。しかし、どうか地元の皆さまだけには理解をしていただきたい」
気心の知れた地元の会合だから、つい本音が漏れたのだろうが、TPPも消費税増税も「批判は無視して断行します」と宣言したようなものだ。
だから、シャカリキになって「回復」を言い張る。
「9月には4―6月期のGDPの改定値が発表されますが、増税を後押しするために数字を底上げしてくる可能性もある。竹中平蔵氏が担当大臣だった03年9月にも、偽装としか思えない摩訶不思議な改定値が発表されたことがあります。内閣府の経済指標なんて、鉛筆ナメナメでどうにでもなる。しかし、実際は経済が冷えたままなのに、デッチ上げの景気回復で増税に踏み切れば、ますます景気が悪化してしまう。97年の消費税増税時は、税率2%アップで日本経済がメタメタになりました。3%も引き上げれば、大恐慌に突入してもおかしくない」(経済アナリスト・菊池英博氏)
国民生活が破綻することは分かっているのに、ウソまでついて増税を断行する。いったい何を考えているのか、この政権は。正気の沙汰とは思えない。
◆アベノミクスの二律背反は増税で泥沼化する
そもそも、「アベノミクス」と称するものは矛盾だらけのインチキ政策だ。大胆な金融緩和と積極的な財政出動という2本の矢は本来、両立しないものなのだ。
なぜなら、異次元緩和の前提条件は財政規律の厳守になるからだ。日銀による大規模な緩和策が財政ファイナンスと見なされた瞬間、国債は暴落する。それを避けるためには、政府が財政規律を守る姿勢を示さなければならないわけだ。
ところが、アベノミクスは、大胆な財政出動も同時に行う股裂き政策なのである。だから、消費税を上げなければ、市場が容赦しないという展開になっている。
さて、アベノミクスの目的は何だったか。改めて言うまでもないが、デフレ脱却だ。そのために物価目標を立てて、金融緩和を続けるわけだが、物価が上がれば消費は冷え込む。それでも、消費増税をせざるを得ないので、ますます、経済はピンチになる。
何がデフレ脱却だ。最初から支離滅裂の政策がアベノミクスなのである。
「株価は上がったじゃないか、と言うかもしれませんが、見せかけのバブルだから、増税した途端にしぼんでしまいますよ。足元の消費者物価指数は上がってきていますが、主に輸入エネルギーコストが物価を押し上げているだけで、デフレ基調は変わらない。賃金が上がらないのに、輸入インフレやエネルギーコストのしわ寄せで物価が上がるという『悪いインフレ』が始まっている。そこへ増税なんて、耐えられるはずがありません。早く異次元緩和の失敗を認めて方向転換しないと、日本経済は取り返しのつかないことになりますよ」(菊池英博氏=前出)
これが専門家の常識的な見方なのだ。
◆異次元緩和は破滅への道
安倍は「国民所得を150万円増やす」と大風呂敷を広げ、未来はバラ色のような幻想を振りまいて、参院選に勝利したが、詐欺だ。有権者は完全にだまされたわけだが、「勝ってしまえばこっちのもの」で、国民生活は増税でトドメを刺される。
さらに恐ろしいのは、そうやって、景気の低迷が続けば、異次元緩和を続けるしかないということだ。
大規模緩和の限界は米国を見れば分かる。手じまいしたくても、市場が許さない。いったん金融緩和でバブル化したマーケットは、絶対に緊縮政策を許さない。
安倍は「その間に成長戦略で」なんてハッタリをかましているが、「そんなもんがあるなら見せてみろよ」である。
人口減少、成熟経済、グローバル化で、成長は見込めない。しかし、緩和は続けるしかない。これは破滅への道なのである。
「異次元緩和は、麻薬と同じで、いったん始めたら止められない。しかし、国債暴落のリスクと隣り合わせですから、財政規律を守るために増税するしかない。こんな経済状況で増税すれば、景気が冷え込み、かえって税収は減りかねません。そうなると、大型補正を組む必要が出てくる。すでに国の借金は1000兆円もあるのに、補正を組めば、また借金が増え、財政規律が緩んでしまう。この二律背反をどう解消するのか。アベノミクスは、もはやニッチもサッチもいかないのが現状なのです」(相沢幸悦氏=前出)
それなのに、声高に景気回復を叫ぶ安倍政権。希代の詐欺師に日本国民は身ぐるみ剥がされてしまうことになる。
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