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この8月に鳥越俊太郎氏と私との共編著 『20人の識者がみた 「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う』 が、 日本文芸社から出版されることとなりました。本書の目的は、この日本中を4年近くずっと揺るがせた、 いや今もゆるがせ続けている小沢問題(「小沢事件」)の本質と全体像を現時点であらためて多様な角度から考察することにあります。 本書を一読していただければ、いまの日本の司法・政治がどれほど深刻な危機に陥っているか、 あるいは日本はすでに法治国家・民主国家ではなく暗黒社会・全体主義国家(ファシズム) に移行しつつあるのではないかという問題提起の意味が分かっていただけると思います。
執筆陣は、共編者である鳥越俊太郎氏をはじめ、三井 環、仙波敏郎、鈴木宗男、佐藤栄佐久、石川知裕、植草一秀、郷原信郎、川内博史、有田芳生、 小川敏夫、八木啓代、青木 理、高野 猛、二木啓孝、山口一臣、神保哲生、浅野健一、 マーティン・ファクラー各氏などこの問題に精通した蒼々たる方々に加わっていただいています。
本書には小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)から貴重な序言を寄せていただいています。 また、孫崎 享先生(元外務省国際情報局長)からも 「政治的謀略としての小沢問題をここまで多角的に検証した本は初めてだ」 という力のこもった帯の言葉をいただきました。
本書が、小沢問題(「小沢事件」)の解明にどこまで成功しているか、そしていままさに危機に瀕している民主主義の再生に寄与できるかどうかは、 読者の皆さんにお任せするしかありません。しかし、前回のNPJ特別寄稿 「日本は真の独立国家なのか 『終わらない〈占領〉』 を問う」 でご紹介させていただいた孫崎 享氏と私の共同編著 『終わらない〈占領〉: 対米自立と日米安保見直しを提言する!』(法律文化社)と同じく、 現在の政治状況に一席を投じるだけでなく、日本の戦後史にとっての貴重な歴史的文書・資料としての価値をもっていると確信しています。
この8月に来日されたアメリカのオリバー・ストーン監督がピーター・カズニック先生(アメリカン大学)と共同で作られた 「もうひとつのアメリカ史」 は、 アメリカ現代史の暗部を明らかにした作品(映画と本)であり、アメリカしに限らず、世界の現代史に対する大きな貢献だと思います。 またそれは、日本の戦後史の<影の部分>に挑戦した孫崎 享氏の 『戦後史の正体』(創元社)と 『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)、 あるいは鳩山由紀夫氏、孫崎 享氏、植草一秀氏の3者による共著 『「対米従属」 という宿痾(しゅくあ)』(飛鳥新社)とともに、 これまでタブー視されてきたテーマ・問題を解明しようとしている点で共通点があり、大きな歴史的意義があると思います。 日米両国において期せずして同じ時期にこのようなこれまで語られなかった(教えられなかった) 歴史の真実が明らかにされようとしていることは決して偶然ではないと思います。
いまの日本内外の状況は、1930年代の戦争とファシズムの時代状況にかなり近づきつつあるといっても過言ではありません。 こうした閉塞状況を克服・打破していくためにも、わたしたち一人ひとりが思考停止状態から脱してまずは知ることからはじめる必要があるのではないでしょうか。
序 言 小沢 一郎
昨年(2012年)11月12日に東京高裁・控訴審で無罪判決が出され、その後に検察官役の三人の指定弁護士が上告を断念した結果、 陸山会事件に関する私の無罪判決が確定しました。私にとっては、この三年七か月余りに及ぶ、検察の捜査と裁判の日々は本当に忍耐の毎日であり、 大変厳しい試練の月日でした。国民の皆さんの支援や励ましがなければ、到底この重圧に耐えることはできなかったと思います。 これまで私を信じ、励ましてくれた多くの国民の皆さんに、この場をお借りして心から感謝したいと思います。
しかし、陸山会事件での私の元秘書3人(石川知裕氏、大久保隆規氏、池田光智氏)に対する不当な有罪判決が今年に入って出されました。 また、検察審査会への捜査報告書を捏造した検事が不起訴処分となっています。 私や秘書たちに対するいわれなき誹謗中傷や理不尽な人物攻撃などもいまもかたちをかえて続いています。 その意味で、この陸山会事件はまだ終わったなどとは到底いえるような状態ではありません。
本書には、いわゆる 「小沢問題(捜査・事件・裁判)」 ともいわれる私・小沢一郎と私の3人の秘書に向けられた 「政治とカネ」 をめぐる問題の背景・経緯と本質・核心がそれぞれの論者によって詳細かつ明確に分析・叙述されています。 多くの論者は、小沢問題は単なる刑事(えん罪)事件ではなく、その背景には何らかの政治的意思を持ったある特定の個人・集団が検察と司法を暴走させ、 それにメディアが加担した結果として作られたものであると結論付けておられます。
こうした見方にはじめて接せられる多くの読者の方は、きっと驚かれるかもしれません。 ただ、本書を一読していただけるならば、これまで取り沙汰された私に対する疑惑のほとんどが何ら根拠のないものか、 まったくの誤解に基づくものであることに同意していただけるのはないかと思います。
私自身も今回の一連の事件や裁判の本質や背景については思うところはございますが、ここではそれは申し上げません。 何らかの特定の思惑を持って行動した人たちや、不公正な言動をした人たちに対しては、いずれ国民が判断を下すものと考えています。 そういうことで、国民の裁き、天の裁きにお任せしたいと思います。 この検察審査会を通じて強制起訴にいたった経過も、すでに国民の皆さんがよくよく自分の目で見て、耳で聞いて分かっていることと存じます。
ここで申し上げたいことは、いまの日本は独立した主権国家でも、真の民主主義国家でもないということです。 特に、捜査当局による公権力の濫用とメディアの加担という状況は、日本の民主主義と法治主義にとって最大の脅威となっていると言わねばなりません。 私が本当に心配しているのは、日本の民主主義そのものの危機であります。まさにいつか来た道と同じ状況にさしかかっています。 いままさに滅亡への道を歩んでしまっている現状をただこのまま黙って見過ごすことはできません。 これはいま現在、すべての日本人が本当に真剣に考えなければならないことです。
私は本当の議会制民主主義を定着させることにこれまで自分の政治生命をかけてきました。 日本を真の意味での独立国家にすることも私の長年の夢です。 他国の意向を忖度するだけの主体性なき外交・政治や思考停止状態のメディアと国民も変わらなくてはなりません。
私にはまだまだやらなければいけないことがたくさん残っています。 微力ではありますが、これから日本に民主主義と自主独立を実現するために全力投球で頑張ることを国民の皆さまにお約束します。
最後に、本書を世に出すことに尽力されたすべての関係者の皆さま方に深く感謝いたします。本書がより多くの人々に読まれて、 こうした日本が直面する深刻な現状と課題について共通の問題意識を一人でも多くの国民がもつようになることを心から願っています。
まえがき 共同編者 鳥越 俊太郎、 木村 朗
今年(2013年)3月7日夜、東京・池袋にある豊島公会堂において 「小沢一郎議員を支援する会(日本に真の民主主義を実現する会、 代表世話人 伊東章弁護士)」 が主催する 「小沢一郎議員の無罪判決確定報告と石川知裕、大久保隆規、池田光智元秘書の無罪を勝ちとる国民大集会」 が開催されました。この国民大集会は、昨年11月12日の東京高裁での小沢一郎氏への陸山会事件での無罪判決とその確定 (検察官役の指定弁護士による上告断念)を受けて開かれる予定でしたが、 急激に変動する政局の中での突然の解散・総選挙によって延期されていたものでした。
満場の参加者から大きな拍手を受けながら登壇した小沢一郎氏は、「日本の民主主義を守るために私を本当に熱い思いで支援し、 激励してくださった皆さんのおかげで、小沢一郎を抹殺しようとした法務・検察官僚の思惑を打破することができました。 私がこの会に出席させていただいたのは今日が初めてです。本当に皆さんが日本の将来を心配し、今日も会場いっぱいの皆さんが来てくださいました。 私自身は終わったが、秘書裁判がまだ続いております。これからも皆様のお力添えをいただきたい」 と述べて深々と頭を下げました。
この間に小沢一郎氏とその秘書たちの身に起こった出来事は、いったい何であったのでしょうか。 またそれは、日本の政治と社会のあり方にどのような影響を与えたのでしょうか。
本書の目的は、この日本中を4年近くずっと揺るがせた、 いや今もゆるがせ続けている 「小沢問題」 の本質と全体像を現時点であらためて多様な角度から考察することにあります。
小沢問題(あるいは小沢事件・捜査・裁判)ともいわれる、小沢一郎氏をめぐる 「政治とカネの問題」 は、 西松建設事件(2009年3月3日の小沢一郎議員公設第一秘書の大久保隆規氏逮捕)にはじまり、陸山会事件(2010年1月15日の石川知裕議員、 大久保隆規氏、池田智光氏ら3人の秘書逮捕)へと続き、 小沢裁判(2010年9月14日の東京第五検察審査会での2度目の 「起訴相当」 議決による強制起訴)へと展開しました。
結局、西松建設事件は裁判途中の不可解な 「訴因変更」 によって事実上立ち消えとなり、 陸山会事件では、小沢一郎氏の無罪判決は2012年11月19日に確定したものの、 検察審査会をめぐる捜査報告書の捏造をはじめとする様々な謎はいまだに解明されずに残されたままです。 また、3人の秘書裁判では2013年3月13日に控訴審でも再び有罪判決が出されて、 石川知裕氏(5月21日に議員辞職願を衆議院が許可)が単独で上告しており、まだ最終的な決着はついていません。
カレル・ヴァン・ウォルフレン氏(オランダ人研究者・ジャーナリストで、日本の政治・官僚制度の専門家)は、 「小沢氏という政治家への “人物破壊” の一連の動きには、ある密約が存在している事実が見えてくる」 とし、 その 「密約を取り交わしたのは日本とアメリカであり、その恩恵を受けるのは両国の政治エリートたちである」、 「省庁の高級官僚と、ビジネス界やメディア界の幹部からなる日本の政治エリートは、決して純粋な意味での日本の独立を求めようとはしない。 それどころか、彼らは、アメリカ政府が日本の超法規的で非公式な権力システムの存続を支援してくれる見返りに、 日本を引き続きアメリカに隷属させようとしているのである」 と小沢問題の核心をずばり突いています (ウォルフレン著 『人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか?』 角川書店、を参照)。
また、元参議院議員で小沢氏の盟友でもある平野貞夫氏は、その著書 『小沢一郎 完全無罪−「特高検察」 が犯した7つの大罪』(講談社)の中で、 「小泉政権は、経済の構造改革をする一方で、日本の社会に格差と停滞をもたらしたと厳しい批判がある。 それもさることながら、公訴権による国策捜査により、国家統治の基本を狂わせたと私は論じたい」、 「“検察の裏金” を封印するため、取材当日に三井環元大阪高検をでっち上げ逮捕し、マスコミを操って極悪検事の虚像を作り上げ、 三井氏を無実の罪に落としいれた。本来、正義をなすべき司法が、世間の批判を怖れ、時の権力者 “自民党” の番犬となった。 三井環氏のいうところの “けもの道” に落ちた訳だ」 など、当事者しか知り得ない内情を率直に語っています。 検察の裏金問題を実名で告発しようとした三井環氏を “口封じ” 逮捕したことが、その後の村上正邦氏、鈴木宗男氏(・佐藤優氏)、村岡 兼造氏、 緒方重威氏、佐藤栄作久氏、村木厚子(・石井 一)氏、 小沢一郎氏(あるいは植草一秀氏や堀江貴文氏)などへの “国策捜査” につながる検察の暴走のきっかけとなったという重要な指摘です。 小沢氏の政治資金団体の元資金管理責任者であっただけに、その言葉には非常に説得力があります。
とりわけ注目されるのは、平野氏がその著書の文庫版 「まえがき」 で次のように述べていることです。
≪「小沢問題」 を通じて私に見えてきたものとは、いま日本に 「新しいファシズム」 が展開しはじめたということである。 「ファシズム」 の教科書的定義は、「資本主義が危機的状況になると、権力が暴力装置を活用して議会制民主主義による政治の機能を失わせ、 独裁的政治を展開する」 ということだ。(中略)21世紀ではファシズムの定義も再考が必要である。 繰り返しになるが、「小沢問題」 での大手マスコミの報道は、検察の根拠なきリークだけでなく、捏造された 「事実」 が次から次へと報道され、 その異常さは 「社会心理的な暴力」 といえるものだった。≫
まさに 「小沢問題」 の本質は、権力(特に検察と司法)の暴走とメディアの加担による 「ある種の政治的謀略」、「静かな政治的クーデター」 であり、 その背後に 「新しいファシズム」 が胎動し始めているということではないでしょうか。
今の日本における最大の問題は、権力犯罪の発生、すなわち公権力が恣意的に濫用されたときにそれを裁くシステムが存在していないこと、 そして権力の暴走を監視・批判するはずのメディアがその役割を放棄していま起きている出来事の本質・真相を伝えないことです。 そして、いまの日本は、本当に民主主義国家なのか、また真の独立国家といえるのかがまさに問われているのです。
本書には、「冤罪」 「国策捜査」 の当事者自身からの証言だけでなく、 司法とメディアに精通した選りすぐりの論者による数多くのすぐれた深い分析・洞察が収められています。 まさに本書自体がそのまま貴重な歴史的文書・資料となっていると言っても過言ではありません。 本書を一読すれば、多くの読者は、テレビや新聞を通じて報じられてきたものとはまったく別の見方があることを知って、 それまでの自分の考えを見直すきっかけになるかもしれません。 もちろん、本書の最終的評価は読者の手の中に委ねられていることは言うまでもありませんが…。
いずれにしても、一人でも多くの市民がメディアの発する情報を主体的かつ批判的に読み解く能力(「メディア・リテラシー」) を身につけることで現在の思考停止状態から脱して、 いまの日本が陥っている(議会制)民主主義の危機と検察ファシズムの到来から目を背けずに直視するようになることを切に願っています。
最後に、本書を発行するにあたって、 いまだに事件の渦中にありながら貴重な歴史的証言となる序言をお寄せいただいた小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)にも心から御礼を申し上げます。
2013年6月30日
(以下省略)
http://www.news-pj.net/npj/kimura/20130814-ozawajiken.html
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