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「植草事件を風化させてはならない
日本人の最大の欠陥は、重要なできごとをすぐに忘れてしまうことである。
例えば郵政民営化や植草事件である。
日本人はわずか10年も経たないうちに、これらの重要な“事件”を忘却のカテゴリーに含めてしまっている。
小泉・竹中構造改革の目玉と言われた郵政民営化は、国内政治の必要性から起きた政治事象ではない。
この民営化はグローバル資本が企んだ、国家の命運を左右する“大事件”ととらえて間違いない。
植草事件も郵政民営化も国内で発生した辺境の事件ではなく、国際金融資本が動因となって“起きた”、彼らによる対日戦略の一環なのである。
今回は植草事に焦点を当てる。
2004年と2006年に、経済学者、植草一秀氏の国策捜査事件が発生した。
これについては、すでに過ぎ去ったできごとにカテゴライズされている気配を感じる。
だが、この事件は、決して風化させてはならない重要な背景を持っている。
現在の日本が置かれている状況を考えるにあたっても、植草事件は重大な意味を持つ象徴的な謀略事件として、これを考え続けることが大事なのである。
植草事件は、外国資本と国家による政治的な罠(謀略)である。
それ故に、国家の罠として仕掛けられたこの事件の背景を的確に検証することは、日本に起きているグローバル資本由来の基本問題をかなり鮮明に浮き彫りにする。
植草一秀氏がどのような小泉政権批判を行ったかについては、『知られざる真実―勾留地にて』(植草一秀著 イプシロン出版企画)http://www.amazon.co.jp/%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%96%E3%82%8B%E7%9C%9F%E5%AE%9F%E2%80%95%E5%8B%BE%E7%95%99%E5%9C%B0%E3%81%AB%E3%81%A6%E2%80%95-%E6%A4%8D%E8%8D%89-%E4%B8%80%E7%A7%80/dp/490314528X
に詳しい。
神州の泉は小泉政権の政治的な本質を反芻(はんすう)するときに、たびたびこの書物を手にとる。
植草氏は2006年9月13日から翌年1月22日まで、132日間、不当勾留されていたが、この本の原案はそういう不自由な環境下で生まれている。
植草氏の書物は読むたびに新たな気付きを与えてくれるのだが、拘置所の中にあって、研ぎ澄まされた意識で書かれたこの「知られざる真実―勾留地にて」は、とくに訴えるものが強い。
植草氏が行った政治・経済の批判、提言、糾弾は膨大な量に上り、要約的に説明することはできない。
しかし、小泉政権の本質を解明する上で、彼以上に的確な説明を行った著名人はいないと思う。
小泉純一郎氏や竹中平蔵氏らが中核となって進めた種々の政策は、一貫した思想と主義に基づいている。
この思想と主義がいったい何であったのか、あるいはそれらが日本に与えていた影響とは何であったのかが、実は現在の日本にとっても重要なことなのである。
日本人の植草事件に対する忘却は、小泉・竹中構造改革に対する忘却と重なっているのだ。
植草一秀氏は、小泉政権に肉薄し、学者の良心からその不当性、筋の悪さを徹底的に糾弾した。
だが、その植草氏でさえ最初は小泉政権の改革を肯定的に評価していた。
『知られざる真実―勾留地にて』の「小泉政権五つの大罪」の冒頭で、植草氏はおよそ以下のようなことを述べている。
「小泉政権を全否定してもいない。
「改革」という言葉を広めて変革の機運を醸成したのは成果だと思う。
日本を取り巻く環境は激変、中国経済力が台頭して激しい価格破壊が進展した。
情報通信技術の進展は企業にも変革を迫り、労働形態が激変した。
生き延びるために私たちは変わる必要がある。
変わらなければならないという意識を日本中に浸透させた小泉首相の個性は大きい。」(同書P49参照)
だが、植草氏は小泉政権が出力した政策が、日本人が生き残るための方向性とは全く異なるものであることを誰よりも早く見抜いてしまい、その修正を早くから政権に求めていた。
これが、彼が国策捜査に見舞われた最大の理由となっている。
植草氏は自分が提案する政策修正を受け入れて表明するなら小泉政権を支持すると言い続けたが、政権はいっさい取り合わなかった。
氏によれば、財政政策や金融行政の内容は実質的に全面変更されたが、小泉政権はこの変更を隠蔽したために、世間には気付かれなかったという。
小泉政権発足後2年間で株価は半値に暴落し、地価も下落した。
不良債権の処理加速、銀行の引当金積み立て、バルクセールなど、様々な負の事象が立て続けに起きた結果、景気の深刻、企業倒産、銀行の貸し渋りなどがあって、日本の企業力は衰退した。
植草氏はこの後に重大なことを書いている。
(P48から引用)
「この時期に小泉政権は海外諸国に「対日直接投資倍増計画」を製作公約として示した。
日本政策投資銀行などの政府系金融機関が資金援助して外国資本による日本の実物資産底値買取りを積極的に支援した。
生命保険、損害保険、銀行などが次々に外国資本の手に渡った。
郵政民営化を渇望したのは米国だ。
米国は郵便貯金、簡保保険の350兆円に資金に狙いをつけ、米国の意向を反映した民営化法案を小泉政権に策定させた。」
(引用終了)
続けて植草氏はいう。
「日本の金融市場開放と競争促進政策は方向としては間違っていない。
だが実行に際しては日本国民の利益を優先するのが当然だ。
私が異を唱えたのは、小泉政権が日本国民の利益ではなく、米国政府や米国企業の利益を優先したことだ。」
ここに、なぜ植草氏が、対米隷属の権力筋やグローバル資本の世界戦略を受容する既得権益層に強く疎まれたのかという理由がはっきりと見えている。
新自由主義、ワシントン・コンセンサス、フリードマン主義、アメリカ・コーポラティズム、市場原理至上主義、プルトノミー(1%が99%を支配すること)、アナルコ・キャピタリスム(無政府資本主義)など、いろいろな呼び方があるが、これら外国由来の政治潮流が日本を襲っている現実こそ、植草事件の本質なのである。
日本の金融資産や優良企業群、優良資産を狙う外国の金融猛禽(きんゆうもうきん)たちが要求する日本マーケットの改変とは、自分たちに都合の良い市場開放の構造に日本を切り替えることにあった。
グローバル資本のこの収奪本質に気づき、警鐘をならず著名人こそ、彼らが最も忌み嫌う存在なのであった。
二度の植草事件という国策捜査が起きたということは、植草一秀氏が最も早くから外国資本の収奪ロジックに気付いていて、国民にそれを知らせようとしたからに他ならない。
植草氏が暴いた、りそな銀行救済にまつわる巨大なインサイダー取引疑惑は、外国資本と日本エスタブリッシュメントとの黒い関係を示している。
実はこれらの趨勢に気づいていた著名人は多くいたのだが、彼らは標的になることを恐れて自ら小泉政権批判を封じ込めたのである。
植草事件は政治謀略による単線的な国策捜査事件という属性だけではない。
そこには、米官業利権複合体というグローバル資本に魂を売った連中が、植草事件を象徴化して、一罰百戒的なメッセージを他の著名人たちに放ったのである。
彼らは、植草氏のように本当のことを国民に向かって話すと、これに準じる著名人は軒並み植草氏と同じ目に遭わせるぞという強烈なメッセージであった。
植草氏が遭遇した国策捜査は、国家による国民目線著名人に対する過酷な“イジメ”の構図もあった。
これは福島第一原発事故の真相を語ろうとする人間に睨みをきかせている構図と同じである。
言論空間が権力によってねじ伏せられているのである。
これが高じてくると、本当のことを語る著名人が命を奪われて口封じされる事態が生じてくる。
2002年、特殊法人をめぐる税金の闇などを暴き始めていた石井紘基議員の刺殺事件も、この流れにある。
安倍政権の暴走を許せば、日本は暗黒国家に化成(かせい)する。
以上の文脈から、決して植草事件を風化させてはならない。」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/08/post-32ce.html
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