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12年度の食料自給率は39% 〜我が国の食料安全保障に改善みられず〜
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kosugetsutomu/20130809-00027150/
2013年8月9日 18時18分 小菅努 | 大起産業(株)情報調査室室長/商品アナリスト
農林水産省は8月8日、2012年度の食料自給率(カロリーベース)が39%になったと発表した。政府は「20年度に自給率50%」を目標に掲げているが、これで3年連続の39%となり、16年連続で39〜41%の極めて狭いレンジ内を推移する横ばい状態が続いていることが確認できる。
20年度に自給率50%を達成するには、今後8年間で11%、年平均で1.375%の自給率向上が要求されることになる。しかし、未だ改善の兆候さえみられない中、目標達成は困難な状況と言わざるを得ない。50%台を維持していたのは1988年度が最後であり、平成元〜10年前後にかけて急低下した後、辛うじて40%前後で下げ止まっているに過ぎない。11年度の東日本大震災といった一時的な要因で自給率改善が実現しなかったのではなく、構造的な問題が解決されていないと評価されよう。
■米消費量が落ち込む
品目別自給率をみてみると、米96%(前年度比変わらず)、小麦12%(同+1%)、いも類75%(同変わらず)、豆類10%(同+1%)、野菜78%(同-1%)、果実38%(同変わらず)となっている。
農水省は、米については「天候に恵まれ生産量が増加した一方、価格の上昇等の影響により、主食用米の需要量が減少」、小麦については「北海道を中心に天候に恵まれ、単収が増加したことにより、国内生産が増加」、大豆については「全国的に天候に恵まれ、単収が増加したことにより、国内生産量が増加」と解説している。
全体的に良好な生育環境を背景に増産が進む一方で、小麦や大豆は消費量が伸びたことが、自給率の改善圧力になっている。小麦の国産熱量は42kcal(前年度比+7kcal)、大豆は20kcal(同+2kcal)となっており、両者を合計すると自給率に+0.3ポイントの寄与がある。しかし、米に関しては1人当たりの年間消費量が58kgから56kgまで落ちこんだことで、国産熱量は534kcal(同-13kcal)に留まっており、逆に-0.3ポイントの寄与となり、小麦・大豆分野での改善効果を相殺してしまっている。
■過去5年で作付面積は減少傾向に
09〜10年に開催された食料・農業・農村政策審議会では、「食料自給率を1%向上させるために必要な増産量」の試算も行われており、米の場合だと34万トンの増産が必要とされている。この増産に必要な作付面積は7万haであり、08年時の作付面積の4%に相当する面積拡大が要求されることになる。小麦の場合は39万トンであり、作付面積だと9万ha、44%の面積拡大が必要となる。大豆に至っては26万トン、作付面積だと15万haであり、99%の面積拡大を行う必要がある。
しかし、12年度の作付面積を見てみると、米が08年の162.4万haから157.9万haまで2.8%の減少、小麦が20.9万haで横ばい、大豆が14.7万haから13.1万haまで10.9%の減少など、逆に作付面積は減少している。
同審議会では、小麦については「国産シェアが低いパン・中華めん用小麦の生産拡大、広範囲な水田二毛作の導入」、大豆に関しては「単収向上・安定化に資する新技術の普及、契約栽培による安定的な取引関係の構築」などを主要課題に掲げていたが、少なくともその効果を確認することはできない。
■国際的にも低い日本の食糧自給率
諸外国の食料自給率(09年時点)をみてみると、米国130%、カナダ223%、フランス121%、オーストラリア187%といった穀倉地帯を抱える食料輸出国を例外としても、ドイツ93%、スペイン80%、イタリア59%、オランダ65%、イギリス65%、スイス56%など、主要国は軒並み日本を大きく上回る水準を確保できている。
平時であれば、国内生産・輸入・備蓄の組み合わせによって、食料安全保障の確立が可能である。しかし、『「経済力さえあれば食料が輸入できる」時代ではなくなってきている』(農水省)中、様々な要因から食料供給に障害が発生した場合、日本は大きなリスクを抱えた状態が続くことになる。
「国際市場から常に農産物を調達している輸入国においては、食料安全保障上の大きなリスク」(同)が存在するが、食料安保環境が改善に向かう兆候は、未だ確認できていない。
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