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★孫崎享氏の視点ー<2013/08/09>★ :本音言いまっせー!
1:「集団的自衛権論」の嘘
かつて、小泉元首相が「日本を守るために一緒に戦っている米軍が
攻撃された時に、集団的自衛権を行使できないのはおかしい。
憲法を改正して、日本が攻撃された場合には米国と一緒に行動できる
ような形にすべきだ」と述べた。
基本的にこの形で今後、集団的自衛権論議がなされる。
しかし、これが嘘、詭弁のたぐいだ。
日米安保条約第五条は「各締約国は、日本国の施政の下にある領域に
おける、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を
危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に
従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」と
規定されている。この行動で憲法が邪魔になっていることはない。
つまり、「日本の管轄地に対し」、「外国が攻撃してきた時」の対応は
現在の法体系で準備されている。
しかし、集団的自衛権で行おうとしていることは「日本の管轄地外で」、
「まだ相手の攻撃が現実にない時に攻撃しよう」とする体系である。
イラク戦争はイラクが攻撃していたわけではない。
かつ「大量破壊兵器を何故持つか」といえば「攻撃するためである」
という理屈をこねて、攻撃したが、結果的に大量破壊兵器すら
なかった。
こうした戦争に日本が軍事参加を出来るようにするのが集団的自衛権の
役割である。
したがって私は「集団的自衛権は日本の防衛に関係がない」
「自衛隊を米国の傭兵にするためのシステム」と評価してきた。
2:こうして、集団的自衛権の本質は「米国追随する」ことにメリット
を感ずる人以外は何ら利益を見出さず、危険視している。当然である。
したがって推進する人は「米国追随する」ことにメリットを感ずる
人のみで構成する。政府の有識者懇談会の代表は元駐米大使柳井氏である。
小松氏も駐米国大使館公使であった。北岡氏も同じである。
自衛隊のイラク戦争参加を最も強く支持した学者である。
政府のいう集団的自衛権を行使すれば日本の安全を今以上に
不安なものにする。攻撃されるものは反撃を考える。
日本国内でのテロ行為の可能性を増すことがプラスなのか。
北朝鮮がノドンで日本を反撃する可能性を増すことが日本の安全に
プラスなのか
2:人事上の問題
国際法は「法」ではあるが、体系的に見れば国内法と大きく異なる。
法律的な罰則規定は準備されない。その実施は国連安保理という
政治の場での決定に大きく影響される。国連安保理は拒否権を持つ
常任理事国の意向に大きく左右される。極めて政治色の強い法体系である。
他方国内法は、出来るだけ、政治の恣意的決定を排除し、法の執行を
出来るだけ客観的に行おうとする体系である。
憲法の解釈はどうあるべきか。
それは政治の恣意的介入を出来るだけ排し、法的正義を担保する
ことにある。
今回の法制局長官人事の最大のポイントは、憲法解釈を政治的に
行おうとする動きであり、それは憲法というものの意義とは逆行する
ものである。
3:読売新聞の動き
予想されたことであるが読売新聞は、
「小松法制局長官 集団的自衛権見直しの布石に」との標題で、
「画期的な人事である。」と礼賛した。
何故画期的か。憲法を政治の力で運用する体制に近づくから画期的で
ある。
法治国家とはどういう態勢か。
「法治国家とは、その基本的性格が変更不可能である恒久的な法体系に
よって、その権力を拘束されている国家」
その意味で、「憲法解釈は内閣の責任」との発言は、国家権力を
法という基準で一定の縛りをはめるとの思想を採用すれば、
内閣全体という政治力が憲法解釈の最優先されるという考えで、
法治国家の目指すものではない。
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