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政府は8日の閣議で、山本庸幸内閣法制局長官を退任させ、後任に小松一郎駐フランス大使を充てる人事を決定した。安倍晋三首相は同日夕、小松氏に辞令を交付した。
政府の憲法解釈を担う内閣法制局への外部からの長官任用は極めて異例。安倍首相は集団的自衛権行使を容認するための憲法解釈見直しを進める方針で、解釈変更に前向きな小松氏を起用することでその布石とする意向なのは明らかだ。
しかし、集団的自衛権行使を認めない憲法解釈は日本の平和憲法の根幹に関わる問題であり、官僚人事でその歯止めを外すような手法には疑問を持たざるを得ない。
集団的自衛権は、自国が直接攻撃を受けていなくても同盟国への武力攻撃を実力で阻止できる権利。国連憲章51条で国際的にも認められた権利だが、内閣法制局は「権利はあるが行使はできない」との憲法解釈を繰り返し示してきた。また、これを踏まえ1981年、鈴木善幸内閣が「憲法9条で許される自衛権行使は必要最小限度の範囲にとどまるべきで、集団的自衛権の行使はその範囲を超え憲法上許されない」との政府答弁書を閣議決定。その解釈を歴代内閣も引き継いできた。
しかし、安倍首相は第1次政権でこの解釈見直しに向けた有識者懇談会を創設し、2008年の報告書では検討例として国連平和維持活動(PKO)での武器使用など4類型を列挙。このうち公海上での米艦船防護や米国を狙った弾道ミサイル迎撃に関して、集団的自衛権行使に該当し憲法解釈を変更すべきと提言した。小松氏はこの懇談会に外務省国際法局長として関わった。第2次政権で再発足した懇談会は年内に、集団的自衛権行使を包括的に認める報告書を政府に提出する見通しだ。
集団的自衛権は個別的自衛権より範囲が格段に広い。例えば英国は米中枢同時テロへの集団的自衛権行使として、2001年のアフガニスタン攻撃に参加した。自民党は新たに「国家安全保障基本法案」などを整備し行使の範囲が広がらないように運用する方針だが、憲法の歯止めよりハードルは大きく下がる。
本紙加盟の日本世論調査会が6月に実施した全国世論調査では、集団的自衛権行使に53%が否定的。肯定的回答でも「憲法解釈変更で行使すべき」は24%だった。連立与党の公明党も解釈変更には反対の立場だ。安倍首相もこうした状況を考慮し参院選中は集団的自衛権の論議は封印していた。にもかかわらず大勝したとたん、歴代政権が論議を重ね示してきた解釈をなし崩しにするようなやり方には危うさを感じる。
これまで集団的自衛権行使を要請してきた米国からも慎重さを求める声が上がり始めている。領土問題や歴史認識をめぐり日本との緊張が高まっている中国、韓国をさらに刺激し、東アジア地域の不安定化に拍車を掛けることを恐れているからだ。
今、国民や国際社会が日本に求めている安全保障政策は、むしろ集団的自衛権を行使しないようにする外交努力ではないか。それでもなお必要だと言うのなら解釈変更という姑息[こそく]な手段を取らず、憲法9条改正を提案して真正面から論議すべきだ。
http://kumanichi.com/syasetsu/kiji/20130809001.shtml
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