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【藤田直央】安倍晋三首相が憲法解釈を担う内閣法制局のトップを代えるなど、集団的自衛権の行使容認に向けた環境整備を進めるなか、元長官の阪田雅裕氏が朝日新聞のインタビューに応じ、平和主義や法治主義の観点から批判した。
安倍晋三首相は8日、憲法解釈を担う内閣法制局の新長官に、元国際法局長の小松一郎駐仏大使を起用した。初の外務省出身の長官で、歴代内閣が違憲と解釈してきた集団的自衛権の行使を認める地ならしだ。
集団的自衛権めぐる動きを批判
こうした動きは、「法の番人」と呼ばれる内閣法制局の側からはどう見えるのか。元長官の阪田雅裕氏が朝日新聞のインタビューに応じ、平和主義や法治主義の観点から批判した。概要は次の通り。
――集団的自衛権は同盟国などへの攻撃に反撃する権利です。歴代内閣は、憲法9条の下で行使は認められないとの解釈を示してきました。首相や自民党はこの解釈を変え、行使できるようにしようとしています。こうした動きをどう思いますか
今の憲法解釈は自衛隊が発足してからこれまで、政府が一貫してとってきた立場だ。9条の文言だけでなく、憲法全体の趣旨など、いろんなことをふまえていまの解釈が導かれている。そのうえで、60年近くにわたって国会での論議が積み重ねられた。法論理としては、今までの政府の解釈は非常に優れている。
これを変えることは、今までの理屈が間違っていたということだ。法律の理屈として別の正解を導き出さなければならないが、我々の頭では非常に考え出しにくい。取って代わる論理をどうやって見つけるのかなというのが、第一番の問題だ。
さらに言うと、憲法規範として集団的自衛権の行使を容認するとはどういうことか。国際法上、集団的自衛権の行使と国連による集団安全保障措置への参加を超える武力の行使はすべて違法とされている。従って日本は国際法上、適法な戦争は全部できる国になるということだ。
――首相は、日本を取り巻く安全保障環境の厳しさから、集団的自衛権の行使容認を検討すべきだという立場です
憲法が時代に合わなくなることはもちろんありうる。法律の場合、時代に合わなくなったらどうするか。政府が柔軟に解釈して、昨日まで適法だったことが今日から違法だなんてことはありえない。法律を新しく作り改正する。
だからこそ法治国家なのだ。憲法がおよそ改正できないならば話は違うが、手続きがきちんと書いてある。今の9条がもし時代に合わないなら、国民に十分説明し、納得してもらって改正するのが正しい道だ。
特に集団的自衛権は、国民にも相当覚悟がいる問題だ。安保法制懇(首相の私的諮問機関)で論じられていることは、頭上を米国向けのミサイルが通過するとか、公海上の米艦をどう助けるとか、あまり国民にぴんと来ない、直接に痛みがない問題だ。しかし集団的自衛権の行使ができるということは、過去の事例を見ても、現実に海外での戦闘に加われるということだ。
――安倍首相は憲法解釈を変更する環境整備として、内閣法制局長官を代えました。こうした手法をどう思いますか
適材適所というご判断だろうから、私の立場では何とも。ただ、例えば私のようなものがその職にあれば、これまでの政府解釈はなぜまっとうなのか、どういう議論を積み重ねてきたかをご理解をいただくべくお話をさせてもらうことに非常に力を注ぐだろう。
だけど、従来から政府の解釈はおかしいと仮に思う人が組織の長になった場合は、そういう努力よりも、新しい内閣の意向に沿って解釈を変更するための理屈を、一つといわず二つも三つも考えることにエネルギーを注ぐのかな。
新長官の小松一郎・前駐仏大使は、首相の意向を尊重せざるを得ない。だが、歴代首相が国会で表明を重ねた憲法解釈を変えることは、政府が9条の枠内で自衛隊の活動を模索してきた戦後の蓄積を崩しかねない。阪田氏はこうした手法の危うさを指摘した。
「集団的自衛権の問題は日本国憲法の三大原理の一つ、平和主義に関わる。国会の憲法論議も圧倒的に9条に集中して積み重ねられてきた。そういう蓄積を無視し、今までのは全部間違っていたということが、果たしてあっていいのか」
安倍内閣は憲法の柱である平和主義をめぐる新方針を、国会や国民が関われない解釈変更で実現しようとする。集団的自衛権の行使容認と9条の整合性について、阪田氏は「憲法全体をどうひっくり返しても余地がない」と語った。
なぜ行使が必要で、歯止めはどうするのか。国民への説明は首相と小松氏の連帯責任となった。阪田氏は「法治国家として、9条がもし時代に合わないなら改正するのが筋だ」と主張。「万一憲法解釈を変えるなら、内閣として国民の大方が納得する説明が最低限必要だ。それが政治だ」と語った。
http://www.asahi.com/politics/update/0809/TKY201308080462.html
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