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2013/8/8 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
福島原発の事故処理がニッチもサッチもいかなくなっている。事故から2年半もたっているのに次々と新たな問題が発生し、東京電力はお手上げの状態になっている。
いま最大の問題は、危険な汚染水が増えつづけ、止まらなくなっていることだ。このままでは、大量の放射能汚染水を海に捨てるしかなくなる。いずれ東北の海は“死の海”になるだろう。
「東電は汚染水が海に流出するのを防ぐために、岸壁近くの土を薬剤で固める遮水壁をつくっています。ところが、遮水壁によって地下水がせき止められ、行き場を失った汚染水がどんどん上昇。このままでは、遮水壁が完成しても、壁を乗り越えて海に流れてしまう。現場は途方に暮れています」(東電関係者)
事故で焼け落ちた核燃料棒の爆発を防ぐには、水で冷やしつづけるしかない。しかし、格納容器に穴が開いているために建屋内に漏れ、地下水となって海に流れているのが現状だ。海への流出を止めるには、ポンプで汲み上げるしかないが、すでに原発の敷地内は汚染水を入れたタンクで満杯になり、保管する場所がない。まさに八方ふさがりの状態なのだ。
「福島原発は終わりが見えない。なにしろ、いまだに事故の原因も、内部の状況も分からないありさまです。この状況が10年つづくのか、20年つづくのか誰にも見当がつかない。廃炉の見通しも立たない。原発事故によって、日本の国土は放射能で汚れつづけている状況です」(ジャーナリスト・横田一氏)
除染も進まず、まだ15万人の福島県民が避難を強いられている。恐らく、何十兆円という税金を使っても、原発事故は解決しないだろう。事故の教訓は、原発は人間の力では制御できないということだ。日本は脱原発に向かうしかない。
◆地震大国のトルコにまで危険な原発を売る狂気
なのに、安倍首相は、危ない原発を海外に輸出しようとしているのだから、どうかしている。まだ福島原発の事故も収束せず、日本自身が頭を抱えているのに、よその国に売りつけようなんて、どういう神経をしているのか。
すでに、トルコやベトナム、アラブ首長国連邦への輸出を決め、この先も世界中に売り込むつもりだ。首相は「日本の原発の安全性は世界最高水準だ」などとセールスしているが、事故原因さえ分かっていないのに、どうやって世界最高の安全を保証できるのか。
しかも、輸出相手国の受け入れ体制を確認しないまま、「はい、どうぞ」と売り渡そうとしているのだから、狂気の沙汰だ。
原発は大事故につながる恐れが強いだけに、本来、輸出する時は、〈相手国が適切な規制体制を整備しているか〉〈運転技術はあるか〉などを確認しなければならない。かつては日本も「原子力安全・保安院」が相手国の体制をチェックしていた。ところが、3・11以降、新しくできた「原子力規制委員会」が、「輸出に関与すると規制機関としての独立性を保てない」と業務を拒否。相手国の安全を確認する機関がないのだ。
しかも、輸出先は、よりによって日本と並ぶ「地震大国」のトルコである。
どうやら、安倍首相は、国際的な条約が「原発事故の責任は立地国が負う」となっているのをいいことに、事故が起きても日本に責任は及ばない、と考えているらしい。しかし、日本も苦しんでいる危ない原発を輸出しようなんて許されるのか。
◆すでにヒトラーのヤリ口を身につけている安倍首相
他国がどうなろうが構わない――という安倍首相の原発輸出のやり口は、ナチスの手口そのままだ。他民族の被害や犠牲など、お構いなしである。
盟友の麻生財務相から「ナチスの手口から学ぶべきだ」とアドバイスされなくても、とっくにナチスの手口を身につけているのではないか。実際、安倍首相のヤリ口は、ヒトラーとよく似ている。
1930年代のドイツは、世界恐慌に直撃され、街には失業者があふれ、ドイツ国民は貧困にあえいでいた。ヒトラーは鬱(うつ)積(せき)を強めるドイツ国民に対して、力強い恐慌脱出策を掲げ、同時にユダヤ人を憎悪の対象にすることでドイツ国民のナショナリズムを呼び起こし、熱狂的な支持を集めていった。
アベノミクスを掲げ、中国人と韓国人を敵視することで支持率をアップさせている安倍首相と同じではないか。
「恐慌当時、ドイツは社民党党首が首班の連立政権でした。しかし、失業保険を維持するために給付金を削るか、保険料を上げるか決められず、総辞職してしまう。ドイツ国民の既成政党への不信感は強く、決められる政治を求めていった。いまの日本に似ていることは確かです」(法大教授・五十嵐仁氏=政治学)
そもそも、よその国がどうなろうが知ったことではないと、危険な原発を輸出する発想は、植民地を犠牲にした帝国主義の発想である。安倍首相はヒトラーの亜流というしかない。
◆日本人は国際社会から孤立する
このまま安倍首相の暴走を許していたら、いずれ日本は戦前のように国際的に孤立してしまうだろう。
日本人はピンとこないかも知れないが、麻生大臣のようにナチスを称賛することは、欧米では考えられないことだ。アメリカやヨーロッパでは、ナチスがどんなヒドイことをしたか、子供の頃から徹底的に教育される。
たとえば、教科書には、ユダヤ人収容所の人数が膨れ上がり食料が足りなくなると、一斉にグラウンドを走らせ、遅い方から射殺していったというナチスの残虐ぶりが書かれている。
なのに、安倍首相は、麻生財務相を更迭することもなく、危ない原発を世界中に売り歩いているのだから、話にならない。
いい加減、日本人は目を覚ますべきだ。ヒトラーを支持したドイツ国民が破滅したように、いずれ日本国民もとんでもないことになりかねない。
「自民党の憲法改正草案を読むと、基本的人権は、〈公益及び公の秩序に反してはならない〉と制限している。要するに、時の権力者が“公益に反する”と判断すれば、基本的人権は認めないということ。ファシズムそのものです。麻生財務相が口にしたように、国民に気づかれないように改憲するのか、それともナチスのように反対派を弾圧しながら改憲するのかは分からないが、安倍首相が日本を戦前のような国にしようとしているのは間違いないでしょう」(立正大教授・金子勝氏=憲法)
いま、安倍首相を支持している国民は、ナチスを喝采したドイツ国民がどうなったか、歴史を勉強すべきだ。
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