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2013年8月 8日 神州の泉
最近、ブッラク企業がよく話題になっている。
ブラック企業という言葉に明確な定義はないようだが、過重労働や賃金不払い残業など、若者の労働力をタダ同然とまでは言わないが、酷使した挙句に使い捨てる企業を言うことが多い。
「アベノミクス」を進める安倍政権は6月に「第3の矢」の成長戦略の中で若者の雇用対策に言及した。
その中で、ブラック企業に関する相談体制や情報発信、監督指導などの対応策の強化等を掲げたようだ。
野党各党も求人票への離職率の明記義務付けなどを公約に盛り込んだ。
正確なデータが手元にないので、数値的に日本企業における“ブラック企業”の割合がどれくらいなのか分からない。
ウィキを参照すると、昨年、ブラック企業大賞でブラック企業にノミネートされたワタミは、有名企業の中でも筆頭格とされている。
「365日24時間死ぬまで働け」という文言が記された理念集を自社従業員に配布し、体調に関わらず個人から最大効率の労働生産性を絞り出そうとした。
従業員には過労自殺するなど人命に関わる事件を度々起こしているようだ。
またワタミのグループ会社となる「ワタミの介護」運営の施設群では事件や事故が続出しているという。
こういう事故に対し、入居者の家族は「スタッフの人数が少ない」と口を揃えている。
本記事の主旨はワタミを糾弾することではなく、なぜこういうブラック企業が多数日本に存在するのかということを考えてみたい。
ある説明を参照すると、ブラック企業とは、度を超えた長時間労働が基本となり、従業員にノルマを課し、耐え抜いた者だけを選別、落伍(らくご)者に対しては、業務とは無関係に研修やパワハラ、セクハラなどで肉体・精神を極限まで追い詰める企業である。
こういう企業は落伍者を戦略的な「自主退職」へと追い込むが、どうやらその過程で追放される者は一生消えない心の傷を背負う。
一方、勝ち残った者(サバイバルした者)は、割に合わない賃金で過重労働を強いられたまま、肉体と精神をすり減らしていく。
ブラック企業と関わった者たちは、選別されて居残った者も、放逐された者も、等しくその人間性を棄損されている。
こういう風に企業や日本社会に対して傷を負い、負の情念を抱いてしまった者たちが新たに再出発しようとしても、金融危機の影響で格差社会が確立した今日ではかなり厳しい。
社会学的にブラック企業の意味づけを検証することは重要だが、それ以前にこういう現象が小泉政権以降に増大・顕著化した大元の背景を考える必要がある。
それは資本主義体制の中で、資本家と労働者の属性が全く変わってしまったことにある。
最近、本ブログで何度も強調していることだが、この最大の元凶は「国際化」が「グローバル化」に変容したことによって、新自由主義(フリードマン主義)が日本社会に台頭したことがある。
言葉を変えて言えば、儲けを最大化しようとする資本の原初的本能(ロジック)が、日本社会のあらゆる人間的な要素を駆逐して猛威を振るい始めたということになる。
修正資本主義をつぶして、グローバル資本の強欲資本主義に日本がなびいた結果が、ブラック企業を加速的に増大させていると思う。
「独りファシズム」さんの考究テーゼである“略奪者(グローバル資本)のロジック”が日本社会において普遍化しつつあるということなのだ。
このロジックに小泉政権以降の政権与党が巻き込まれ、生存権や人権、福祉を受ける権利を主張する弱小野党が無力化している。
小泉政権以降、唯一、この趨勢に反旗を翻した政権与党がわずか9カ月の鳩山政権だった。
この政権は公約に「永住外国人への地方参政権(選挙権)付与法案」や、人権委員会設置を掲げたが、これらは到底認めるわけにはいかない悪法なのだった。
それでも鳩山−小沢ラインが反小泉・竹中構造改革路線の狼煙(のろし)を掲げ、国民生活の回復を重視したことは、弱肉強食パラダイムの趨勢から言えば、唯一、この動きに反撃した政権与党だった。
前にも述べたが、鳩山−小沢ラインが「年次改革要望書」を廃棄した。
もう一つは鳩山内閣が国民新党とコラボし、2009年10月に、郵政改革の基本方針を閣議決定、同年12月の臨時国会で「郵政株式処分凍結法」を成立させた。
翌年には「郵政改革関連法案」を提出した。
300兆円を超える郵政資金は国民の財産である。
鳩山政権は、外資からこれを守ろうとした唯一の政権である。
鳩山−小沢ラインは反米というよりも、国民生活防衛の観点からグローバル資本に敢然と反撃したのである。
だからこの政権はマスコミと党内の裏切り者たちによって潰され、小沢一郎氏は国策捜査を仕掛けられた。
国民のほとんどは、彼らが試みていたこの国民防衛の真相を知らずに、寿命の短い脆弱な政権として認識するが、実際は英雄的な政権だったのだ。
ブラック企業とは、儲けを最大化するために従業員を使い捨てにする企業である。
この形は日本という国家が国民を犠牲にして、グローバル資本に恭順している現在の姿と重なるのだ。
国家の中枢が、国民の生活保護や社会性を築く大事な権利を無価値化して、多国籍企業のロジックに百パーセントしたがって国政を策定しているのが今の日本である。
これは日本という国家がブラック企業化していることを示している。
これを放置すれば、国民は搾取され使い捨てになるだけの奴隷国民となる。
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