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「内閣法制局」 長官交代で憲法解釈は変わるのか
http://gendai.net/articles/view/syakai/143890
2013年8月8日 日刊ゲンダイ
<OBも専門家も猛反発>
異例のトップ人事が明らかになった内閣法制局。安倍首相が選んだのは、外務省出身・小松一郎フランス大使(62)だ。法制局勤務の経験がないが、集団的自衛権行使容認派で知られる。果たして、長官が代われば、憲法解釈も変わってしまうのか。だとすると、内閣法制局とは何なのか。
「憲法解釈の番人」とも呼ばれる内閣法制局。定員は長官を含め77人。事務官は各省からの出向あるいは併任だ。
仕事内容は、大きく2つある。ひとつは、内閣提出法案について他の法律と齟齬(そご)がないか、適切な文言であるかをチェックすること。そのため、法律を作る官僚たちにとって、法制局との調整が大きなハードルになる。もうひとつは、法律問題について大臣に意見を言うことだ。国会で法解釈を問われたときに内閣として答弁に立つのも内閣法制局長官の仕事である。
日刊ゲンダイ本紙は06年9月の第1次安倍内閣で法制局長官だった宮崎礼壹氏に話を聞いた。現法政大大学院法務研究科教授。憲法9条の法解釈変更に“クビ”覚悟で“抵抗”、安倍の目の上のタンコブだった人物だ。
「法制局は法律を専門的に研究して、内閣及び内閣総理大臣に意見を述べる役割を与えられています。法務省や外務省も意見を述べることはできますが、法解釈を検討して述べることをメーンとしているのが法制局です。首相にこう解釈しろと言われて、そのままに動いていたら、組織の必要はありません。法制局の意見が法律なのかといえば、そうではないが、過去の解釈の積み重ねが尊重されなければおかしいのです」
その「積み重ね」とは、こういうことだ。
「集団的自衛権について、岸総理以来、歴代総理が違憲であると言っている。議事録に出ていますし、明確に討論されてきたことです。それを現安倍内閣で覆せば、憲法条文の信頼性、権威がなくなってしまいます。応用すら利かないのか、という反論もあるかと思いますが、自国が危険にさらされていないのに、同盟国がやられているという理由で武力行使できるのか。行使すれば、組織として人を殺しモノを壊すことを認めることになる。解釈を部分修正するという話ではなく、今までの政府解釈を百八十度ひっくり返すということになるのです」
これについては、学者も同じ意見だった。「立法の中枢 知られざる官庁・内閣法制局」の著者で明大教授の西川伸一氏はこう言った。
「歴代政権は自衛隊という存在を違憲というわけにはいかないから、どうやって合憲にするか、9条を論理的に解釈してきたのです。つまり、軍隊ではなく、自衛のための組織であると。この憲法解釈は、国会でもずっと答弁されてきたし、国外でも定着しているものです。それを長官が代わったからといって、いきなり解釈を変更することは無理です。攻められていないのに攻撃するのが集団的自衛権ですからね。そのうえ、小松新長官は法制局勤務の経験がありません。従来は他省庁から出向して、5年間の参事官を経験し、さらに部長、次長で10年の経験を積んでから長官になる。国会で野党の質疑に対応できるのでしょうか。長官を支えるスタッフも従来の解釈変更に抵抗するでしょうから、新長官は四面楚歌になる可能性があります」
安倍が姑息な人事で強引に憲法解釈を変えようとしたところで、行き詰まるのは見えている、ということだ。
「法律、憲法の文言には抽象的な表現があります。そのため、その条文が何を意味するかという解釈が必要で、内閣法制局があるのです。そこで行われてきた解釈は絶対的ではないが、これまで積み重ねてきたものを人が代わったからといって変えてしまえば、法的安定を害してしまう。法治国家が成り立たなくなってしまいます」(元検事の落合洋司弁護士)
それでも安倍が強行すれば、首相が法治国家を否定することになる。
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