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2013.08.07 きっこのブログ
8月6日、広島市で行なわれた原爆死没者慰霊式と平和祈念式に出席した安倍晋三首相は、歴代の首相と同じく、官僚が書いた原稿を棒読みした。そして、次のように締めくくった。
「核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、また、恒久平和の実現に、力を惜しまぬことをお誓いし、私のご挨拶といたします。」
この瞬間、全国から、全世界から「はぁ?」って声があがったハズだ。だって、地震の多い国や治安の悪い国、隣国からロケット弾が飛んでくるような危険な国々にセッセとメイド・イン・ジャパンの原発をセールスして回ってる上に、世論を無視して核拡散防止条約(NPT)に加盟してないインドと原子力協力協定を締結して、今や「死の商人」の呼び名を欲しいままにしてる安倍首相が、いったい「どの口」でこんなキレイゴトを言えるのか?
いくら側近から手渡された「すべての漢字に振り仮名が振ってある原稿」だからって、ここまでシラジラしいことを全世界に向けて平然と読み上げられるなんて、彼には羞恥心という感覚が欠落しているのではないか?恥ずかしさのレベルで言えば、野田佳彦前首相の「原発事故収束宣言」とおんなじくらい恥ずかしいよ、これ。
そして、もっと恥ずかしいのが、この平和祈念式のあとだ。式のあと、広島市内で被爆者の代表団と面談した安倍首相は、広島県労働組合会議被爆者団体連絡協議会の中谷悦子さんからの「危険性にかんがみ、すべての原発を廃止してほしい」との嘆願に対して、これまでと同じく「安全性を最優先して」だの「責任を持って」だのという枕詞を並べた上で、原発を再稼動して推進していく考えを強調したのだ。何という恥知らずなんだろう。さすが、2007年の前安倍政権下の国会で「日本の原発は安全なので地震や津波の対策は必要ない」という主旨の答弁した人物だけのことはある今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、安倍首相の恥も外聞もない原発推進発言は、今回の被爆者の代表団との面談だけでなく、これまで何度も繰り返されてきた。福島第一原発の事故から1年しか経っていない2012年4月5日に放送されたテレビ朝日系「報道ステーション」の中の「原発再稼働 わたしはこう思う」という特集では、次のように語ってる。
「(われわれ自民党が)エネルギー政策として原子力政策を推進してきたことは間違いがなかった」
「日本の原子力技術は世界最高水準なので、今後はインドやベトナムや中国などの国々に原子力発電所を造っていきたい」
「われわれは非常に過酷な事故を経験したが、しかしそこで萎縮することなく、私たちの知恵と技術でそれを克服していこう」
「われわれは非常に過酷な事故を経験したが」って、思いっきり「過去形」で語ってるよね。普通の感覚なら「われわれは非常に過酷な事故を経験しているが」と「現在進行形」で言うとこなのに、この人の脳内では、事故からわずか1年後の2012年4月の時点で、すでに「過去の出来事」なんだね。野田前首相の「原発事故収束宣言」も酷かったけど、この人の感覚も負けず劣らずだ。ま、このくらいの無神経さを持ってないと、福島第一原発がお手上げ状態の現状で、とても「再稼動」なんて口にできないだろうけど。
‥‥そんなワケで、安倍首相は、口をひらけば「安全を最優先して再稼動する」「安全が確認されたものから再稼動する」「責任を持って再稼動する」って繰り返してるけど、それを言うなら、まずは福島第一原発を「安全」な状態にして、福島第一原発の事故の「責任」を明確にして、それから「安全」だの「責任」だのと言ってほしい。安倍首相自身が2007年に「日本の原発は安全なので地震や津波の対策は必要ない」という主旨の答弁をして、その4年後に福島第一原発が地震と津波で大事故を起こし、2年半も経った現在も収束のメドも立たずに天文学的な量の放射性物質を大気中と大地と海へ垂れ流し続けるのに、よくもまあ「安全」だの「責任」だのと言えるもんだよ。
百歩ゆずって、今後100年、大地震などの天災が一度も起こらず、戦争などの人災も一度も起こらず、再稼動したすべての原発が事故を起こさなかったとする。でも、そしたら、再稼動した原発から生み出された大量の使用済み核燃料はどうするつもりなのか?「使用済み」などという言葉のマジックに騙されて、世の中には使用済み核燃料のことを「使い終わった電池」のように思い込んでる人もいるけど、使用済み核燃料の放射線量は新品の核燃料の1億倍〜10億倍、新品の核燃料より遥かに危険なのだ。
現在、日本には、約1万9000トンの使用済み核燃料がある。ヒロシマ型の原爆なら、約75万発も造ることができる。そして、3.11以前のように原発が稼働するようになれば、この使用済み核燃料は毎年1000トンずつ増え続けていく。10年で1万トン、100年で10万トンだ。
原子炉から取り出された使用済み核燃料は、少なくとも30年〜40年は冷却プールで冷却し続けなくてはならず、この冷却が終わらないと処理することができない。つーか、処理方法は現在も開発されていない。だから、今、全国の原発や核施設の冷却プールに沈んでる膨大な量の使用済み核燃料は、「とりあえずビール」的に冷やしてるだけで、30年〜40年経って冷却が完了したあとのことは何も決まってない。「それまでに誰かが処理方法を開発してくれるだろう」っていう、果てしなく無責任な計画なのだ。
‥‥そんなワケで、自民党政権が原発を「夢のエネルギー」として国のエネルギー政策の中心に置いた当初から、最大の問題はこの使用済み核燃料だった。何しろ、処理方法が開発されてないのだから、このまま原発をスタートさせたら「トイレのないマンション」になってしまう。だけど、日本の原発政策は、他国と同様に、「トイレのないマンション」のままスタートしちゃった。だから今では、全国に約1万9000トンもの使用済み核燃料があるワケだけど、当初は「ロケットに積んで宇宙空間へ飛ばす」「何千メートルという深い穴を掘って地中へ埋める」「何千メートルという深海に投棄する」なんていうギャグ漫画みたいな処理方法がマジメに議論されてた。
で、現在では、一応、「地層処分」ていう「深い穴を掘って埋める」っていう無責任極まりない方法が世界的に主流とされてるんだけど、これは地震のない国の堅い岩盤に囲まれた場所しか適さないので、日本では無理‥‥ってなワケで、ここでクルリンパと車線を変更するけど、海外も国内も含めて、これまでに発表されたSF小説に登場する「人類以外の知的生命体」って言うと、一番多いのは、やっぱり「宇宙人」だろう。この場合は、人間に似た姿をしてる宇宙人だけじゃなくて、知能の持った細菌から巨大なモンスターまで、地球以外の惑星とかからやってくる知的生命体をマトメて「宇宙人」と呼ばせてもらう。
そして、SF小説に登場する「宇宙人」の次に多い「人類以外の知的生命体」って言うと、たぶん「地底人」や「海底人」じゃないだろうか。こう考えると、あたしたち人類が、自分たちじゃ始末できない使用済み核燃料を「ロケットに積んで宇宙空間へ飛ばす」とか「何千メートルという深い穴を掘って地中へ埋める」とか「何千メートルという深海に投棄する」とかって考えたのは、ようするに、自分の家の前のゴミをホウキで掃いて隣りの家の前へ移動するのとおんなじことのように思えてくる。本来なら、自分の家の前のゴミは自分で拾って自分で処分すべきなのに、ホウキでチャチャッと掃いて、隣りの家の前へ移動してトボケちゃう。結局は、こういうことだ。
だけど、実際には、「ロケットに積んで宇宙空間へ飛ばす」って方法は、コストが掛かりすぎるために実現せず、宇宙人たちには迷惑をかけずに済んだ。「何千メートルという深い穴を掘って地中へ埋める」って方法は、候補地が決まらない上に技術も完成していないために現時点では実現の見通しが立ってなくて、地底人たちにも迷惑をかけずに済んだ。そして、「何千メートルという深海に投棄する」って方法は、廃棄物の海洋投棄を禁じたロンドン条約に抵触するために実現は不可能で、海底人たちにも迷惑をかけずに済んだ。
‥‥そんなワケで、宇宙人にも地底人にも海底人にも迷惑をかけずに済んだ1万9000トンもの使用済み核燃料がどうなったのかと言えば、未だに処理方法が決らずに全国の原発や核施設に保管されてるワケだ。そして、安倍首相が何の反省もなく再稼動を進めれば、この使用済み核燃料は年間1000トンずつ増え続けていくワケだけど、この溜まり続ける高レベル放射性廃棄物が誰に迷惑をかけるのかって言えば、宇宙人でも地底人でも海底人でもなく、「未来の人たち」なのだ。SF小説には、タイムマシンやタイムスリップを題材にした作品も多いけど、現実にはタイムマシンなんて造れないのだから、タイムマシンに使用済み核燃料を積んで100億年先の未来へ送ることなんてできやしない。あたしたちが生み出した使用済み核燃料の山は、あたしたちが始末しない限り、今の子どもたちや、その子どもたち、そのまた子どもたちへと「負の遺産」として受け継がれていく。そして、その過程で一度でも原発が事故を起こせば、日本は間違いなく滅亡してしまう今日この頃なのだ。
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