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2013年08月07日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が、「原爆の日」(68回目)の8月6日、広島市中区の平和記念公園では開かれ、被爆者や遺族、安倍晋三首相ら約5万人が参列した。安倍晋三首相は、あいさつのなかで、「私たち日本人は、唯一の、戦争被爆国民であります。そのような者として、我々には、確実に、核兵器のない世界を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります」と述べた。
ところが、安倍晋三首相のあいさつとは裏腹に、日本政府は、南アフリカなどが4月、NPT再検討会議(2015年)に向けた準備委員会で、「核兵器の人道的影響に関する共同声明」を発表し、「爆発による即死や破壊のみならず、環境を破壊し、次世代から健康や資源を奪う」と強い懸念を示し、これに80カ国が賛同したのに対して、被爆国にもかかわらず日本は署名しなかった。この声明のなかに、「いかなる状況でも核兵器が二度と使われないことが人類存続の利益」という文言が入っていたためである。米国の「核の傘」に頼っている日米安全保障条約体制に相反するとして、米国に気を使ったのである。
つまり、安倍晋三首相の「確実に、核兵器のない世界を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります」という言葉は、明らかにウソということだ。孔子の言葉に「巧言令色鮮し仁」(「論語」学而篇)というのがある。「巧みな言葉を用い、表情をとりつくろって人に気に入られようとする者には、仁の心が欠けている」という意味だ。まさしく、安倍晋三首相のあいさつは、「真実」というものが少しもない。
◆これだけではない。安倍晋三首相は、東京電力福島第1原発から、放射能に汚染された水が沿岸海域に大量流出しているというのに、これを傍観しているように見える。さらに、朝日新聞DIGITALが8月5日、「9640人、白血病労災基準超す 事故直後、年5ミリシーベルト 福島第一原発」という見出しをつけて、「福島第一原発で事故から9カ月間の緊急作業時に働いた約2万人のうち、白血病の労災認定基準『年5ミリシーベルト以上』の被曝(ひばく)をした人が約1万人にのぼることが、東京電力が7月に確定した集計から分かった。作業員の多くは労災基準を知らず、支援体制の整備が課題だ」と配信しているにもかかわらず、頭のなかは「原発セールス外交」でいっぱいのようである。
米国は、日本列島を核兵器の材料となる「プルトニウム製造列島」として位置付け、福島第一原発のほか、柏崎刈羽原発、大飯原発にプルサーマルを導入して、「プルトニウム製造」を続けようとしてきた。福島第一原発は廃炉になったものの、大飯原発の再稼働を認め、さらに、柏崎刈羽原発の再稼働に踏み切ろうとしている。こんなことをしていて、安倍晋三首相は「確実に、核兵器のない世界を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります」と平気な顔をしてあいさつしている。どういう神経をしているのかが疑われる。
◆TBSNEWSが8月6日午前0時54分、「安倍内閣支持率64.6%、発足直後を下回る」というタイトルをつけて、以下のように報じている
「安倍内閣の支持率が先月の調査より6.9ポイント減少し、64.6%になったことが、JNNの世論調査で分かりました。調査は今月3日から5日にかけて行いました。安倍内閣を『支持できる』とした人は、先月より6.9ポイント減り、64.6%と、初めて発足直後の支持率を下回りました。『支持できない』とした人は、6.1ポイント増え、33.7%でした」
「日本を、取り戻す」と強気の標語を掲げて懸命になるのはいいけれど、国民に向かって「心にもないこと」を言い続けていると、内閣支持率は、確実に下がっていく。それがすでに始まっているのだ。もはや内閣支持率低下は食い止められない。危険水域「30%」を割ってしまうのは、目に見えている。
【参考引用】朝日新聞DIGITALが8月5日22時4分、「国際平和シンポ)世界はいま―非人道性、広がる非難」という見出しをつけて、以下のように配信している。
「1970年に発効し、190カ国が締約している核不拡散条約(NPT)は、核兵器保有国を米国、ロシア、英国、フランス、中国の5カ国以外に広げないことを目的としている。だが、インド、イスラエル、パキスタンはNPTに加わらず、北朝鮮は2003年に脱退し、05年に核保有も宣言した。締約国のイランは「平和利用」として核開発をしている疑惑がある。一方、国際社会では近年、核兵器の「非人道性」を訴える動きが広がっている。15年のNPT再検討会議に向けた今年4月の準備委員会では、南アフリカなどが「核兵器の人道的影響に関する共同声明」を発表。「爆発による即死や破壊のみならず、環境を破壊し、次世代から健康や資源を奪う」と強い懸念を示した。80カ国が賛同したが、被爆国の日本は署名しなかった。声明の「いかなる状況でも核兵器が二度と使われないことが人類存続の利益」という文言が、米国の「核の傘」に頼る安全保障政策と矛盾するため、という。核保有国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国の大半も署名していない」
毎日新聞毎日jpが8月6日午後1時32分、「原爆の日:安倍晋三首相あいさつ(全文)」を次のように配信した。
「広島市原爆死没者慰霊式、平和祈念式に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々のみたまに対し、謹んで、哀悼の誠をささげます。今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心から、お見舞いを申し上げます。
68年前の朝、一発の爆弾が、十数万になんなんとする、貴い命を奪いました。7万戸の建物を壊し、一面を、業火と爆風にさらわせ、廃虚と化しました。生きながらえた人々に、病と障害の、また生活上の、言い知れぬ苦難を強いました。
犠牲と言うべくして、あまりにおびただしい犠牲でありました。しかし、戦後の日本を築いた先人たちは、広島にたおれた人々を忘れてはならじと、心に深く刻めばこそ、我々に、平和と、繁栄の、祖国を作り、与えてくれたのです。セミしぐれが今もしじまを破る、緑豊かな広島の街路に、私たちは、その最も美しい達成を見いださずにはいられません。
私たち日本人は、唯一の、戦争被爆国民であります。そのような者として、我々には、確実に、核兵器のない世界を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります。
昨年、我が国が国連総会に提出した核軍縮決議は、米国並びに英国を含む、史上最多の99カ国を共同提案国として巻き込み、圧倒的な賛成多数で採択されました。
本年、若い世代の方々を、核廃絶の特使とする制度を始めました。来年は、我が国が一貫して主導する非核兵器国の集まり、『軍縮・不拡散イニシアチブ』の外相会合を、ここ広島で開きます。
今なお苦痛を忍びつつ、原爆症の認定を待つ方々に、一日でも早くその認定が下りるよう、最善を尽くします。被爆された方々の声に耳を傾け、より良い援護策を進めていくため、有識者や被爆された方々の代表を含む関係者の方々に、議論を急いで頂いています。
広島のみたまを悼む朝、私は、これら責務に、倍旧の努力を傾けていくことをお誓いします。
結びに、いま一度、犠牲になった方々のご冥福を、心よりお祈りします。ご遺族と、ご存命の被爆者の皆様には、幸多からんことを祈念します。核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、また、恒久平和の実現に、力を惜しまぬことをお誓いし、私のごあいさつとします。
平成25年8月6日
内閣総理大臣・安倍晋三」
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