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首相公邸よりも豪華だった内閣法制局長官の旧公邸
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130806/plt1308061150006-n1.htm
2013.08.06 ZAKZAK
安倍晋三首相が、異例のトップ人事を決断した内閣法制局が注目されている。「法の番人」と呼ばれ、歴代長官は役人でありながら恣意(しい)的な法解釈によって、首相や内閣の判断までしばってきた。その唯我独尊的な内向きの論理と、たらい回しや順送りが横行する人事慣行に迫った。
「内閣法制局長官が恐れるのは首相でも国民でもない。月に1回行われる参与会だ」
法制局の「ムラの論理」の一端について、政府高官はこう語った。
気になる「参与会」は後述するとして、安倍首相は先週末、次期長官に集団的自衛権の行使容認派である小松一郎駐仏大使を起用する方針を固めた。日米同盟を修復・強化し、中国や北朝鮮を牽制する狙いとされる。
さて、参与会とは、現役長官と歴代長官、学識経験者が集まり、毎回テーマを決めて意見交換を行う会だ。東京・五反田の長官公邸が2001年に廃止されるまでは公邸食堂で行われ、現在は、霞が関の法制局庁舎で行われている。
旧長官公邸は、延べ床面積約1500平方メートルという豪邸で、旧首相公邸の約2倍の広大さ。首相公邸が整備されるまで、旧長官公邸に仮住まいした小泉純一郎首相(当時)は「官僚トップの方が大事だと思っているのかもしれないな」とため息を漏らしたという。
一体、参与会では何が行われていたのか。
法制局関係者は「現役長官が過去の憲法解釈を少しでも変更すれば、参与会で長官OBが『何で俺たちの解釈を変えたのだ』とつるし上げを行う。現役長官にとっては胃が痛くなる会合だ」と証言する。
歴代長官は退任後も、最高裁判事や各種公団トップ、有名企業の監査役など、立派な肩書を得ている。先輩が後輩を推薦するケースもあり、OBの覚えがめでたくなければ、バラ色の後半人生を失う恐れがあるのだ。
これまでは法制局ナンバー2の次長が長官に昇任する順送り人事が続き、長官ポストは法務、財務、総務、経産の4省出身者がたらい回ししてきた。
安倍首相が、次期長官に決めた小松氏は外務省出身で、法制局勤務の経験もない。これは前述した理由に加え、硬直化した法制局の人事慣行を見直し、法制局の体質を一変させる狙いもある。
田久保忠衛・杏林大名誉教授は「平和憲法で育った人間が固定観念にとらわれ、めちゃくちゃな憲法解釈を行ってきた。歴代首相はリーダーシップがなく、官僚の力を押さえることができなかった」と高く評価する。
政治家が官僚から主導権を取り戻すための“宣戦布告”というわけだ。
だが、今回の人事方針に反発する法制局幹部が集団辞職やサボタージュ、意図的な情報のリークなどで、抵抗する可能性も否定できない。
安倍首相の戦いは、まだ始まったばかりだ。
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