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2013年8月 6日 植草一秀の『知られざる真実』
68年前の今日、1945年8月6日午前8時15分、米国は広島に原子爆弾リトルボーイを投下した。
実戦で使われた世界最初の核兵器である。
推定人口35万人の広島市民のうち、1年の間に14万人が死亡したと推定されている。
極東国際軍事裁判で判事を務めたインドの法学者であるラダ・ビノード・パール氏は講演で次のような発言を示している。
「広島、長崎に原爆が投ぜられたとき、どのようないいわけがされたか、何のために投ぜられなければならなかったか」
「いったいあの場合、アメリカは原子爆弾を投ずべき何の理由があっただろうか。日本はすでに降伏すべき用意ができておった」
「これを投下したところの国(アメリカ)から、真実味のある、心からの懺悔の言葉をいまだに聞いたことがない」
(連合国側の「幾千人かの白人の軍隊を犠牲にしないため」という言い分に対して)
「その代償として、罪のないところの老人や、子供や、婦人を、あるいは一般の平和的生活をいとなむ市民を、幾万人、幾十万人、殺してもいいというのだろうか」
「われわれはこうした手合と、ふたたび人道や平和について語り合いたくはない」
パール判事は極東国際軍事裁判=東京裁判においても、
「(米国の)原爆使用を決定した政策こそがホロコーストに唯一比例する行為」
と論じ、米国による原爆投下こそが、国家による非戦闘員の生命財産の無差別破壊としてナチスによるホロコーストに比せる唯一のものであるとした。
(以上、パール判事発言についてはWikipediaから引用)
米国による広島、長崎への原爆投下の背景については、映画監督であるオリバー・ストーン氏が語る
「オリバー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史」
としてテレビ放映もなされている。
原爆の投下は必要であり、戦争の終結を早めたというのがアメリカ国内の通説であるが、オリバー・ストーンはこの通説を否定し、原爆に全く知識を持たなかったトルーマンの選択だった真実を暴いている。
原爆投下は、勃興しつつあったソビエトの社会主義体制に対する牽制であり、原爆投下以前に日本の敗戦はすでに決定していたと、アメリカの通説を否定している。
パール判事が述べた
「米国による原爆投下こそが、国家による非戦闘員の生命財産の無差別破壊としてナチスによるホロコーストに比せる唯一のもの」
の指摘を私たちは、原爆投下から68年の歳月が経過したいま、改めて直視する必要がある。
長崎での原爆投下によって自ら被爆し、愛する妻を奪われながら、被爆者の治療、救済のために命を捧げた永井隆博士が、幼い二人の子に遺言として残した「いとし子」の言葉を私たちは、いま読み返して、平和への決意を新たにする必要がある。
「あの日、イクリの実を皿に盛って、母の姿を待ちわびていた誠一よ、カヤノよ。
お母さんはロザリオの鎖ひとつをこの世に留めて、ついにこの世から姿を消してしまった。
そなたたちの寄りすがりたい母を奪い去ったものは何であるか
そなたたちの母を、あの優しかった母を殺したのは戦争である。
生き残った人びとはむごたらしい戦場の跡を眺め、口をそろえて、
――戦争はもうこりごりだ。
これっきり戦争を永久にやめることにしよう!
そう叫んでおきながら、何年かたつうちに、
いつしか心が変わり、なんとなくもやもやと戦争がしたくなってくるのである。
どうして人間は、こうも愚かなものであろうか?
私たち日本国民は憲法において戦争をしないことに決めた。」
「これこそ、戦争の惨禍に目覚めたほんとうの日本人の声なのだよ。
しかし理屈はなんとでもつき、世論はどちらへでもなびくものである。日本をめぐる国際情勢次第では、日本人の中から憲法を改めて、戦争放棄の条項を削れ、と叫ぶ声が出ないとも限らない。そしてその叫びがいかにも、もっともらしい理屈をつけて世論を日本再武装に引きつけるかもしれない。
もしも日本が再武装するような事態になったら、そのときこそ…誠一(まこと)よ、カヤノよ、たとい最後の二人となっても、どんな罵りや暴力を受けても、きっぱりと戦争絶対反対≠叫び続け、叫び通しておくれ!
たとい卑怯者とさげすまされ、裏切り者とたたかれても戦争絶対反対≠フ叫びを守っておくれ!」
永井隆博士の魂の叫びを私たちは真正面から受け止める必要がある。
安倍晋三自民党が推進する、「軍国主義日本」への道を、いま日本人は体を張って阻止しなければならない。
何から何までアメリカの言いなりの日本。
中国や韓国に高圧的な態度を示すのに、アメリカに対しては原爆投下の責任を問うこともない。
何の罪もない、無辜の市民をひとつの爆弾で幾万人、幾十万人の規模で大量虐殺した事実は厳然と存在する。
これを戦争犯罪と呼ばずして何と呼ぶことができるのか。
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