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集団的自衛権行使を認める憲法解釈の変更に向け、安倍晋三首相が次々に強引な手法を繰り出している。
先日は「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を設置し、容認に向けた手続きを開始。それに続き、先日は内閣法制局長官に、集団的自衛権行使の容認派である小松一郎・駐フランス大使を充てる人事方針を示した。
集団的自衛権の行使は、専守防衛を旨としてきた日本の安全保障体制の大転換を意味する。仮想敵国への「攻撃」で、戦争の当事国にさえなりうる。それだけに、まずは国会での熟議や国民への説明が先でなければならない。
同盟国が攻撃された際に自国への攻撃として反撃できる集団的自衛権は「保持できても行使はできない」―。一貫してこの解釈を保持してきたのが「政府の憲法解釈の番人」と呼ばれる内閣法制局だ。常に時の政権から距離を置き、チェック機能を果たす客観性が求められてもきた。
歴代政府はその解釈を尊重し、長年にわたる国会議論の末に、国の形を規定する重要指針として醸成された歴史があるのだ。それを無視するかのような姿勢は、歴代政府への背信行為ですらある。
歴代法制局長官には、内閣法制局次長が昇任してきた。その慣例を破ってまで意中の人物を登用する首相の人事方針は、極めて恣意(しい)的であると言わざるをえない。
改憲のハードルを下げるために憲法96条を先行改正しようとする手法に酷似する。国民の理解が得られようか。
ただ、首相の思い通りにことは簡単に運ぶまい。
集団的自衛権の行使については、連立を組む公明党の山口那津男代表が「断固反対」を表明している。今回の人事に関しても同党幹部は「首相の意図がわからない」「軽視されている」と困惑し、慎重な検討を求めてもいる。
安倍首相が今後も独善的な政権運営を繰り返せば、ますます閣内での不信感が高まることは必至であろう。
懇談会は秋にも報告書をまとめ、政府が解釈の変更を閣議決定する意向のようだ。長官交代を含め、首相はこうした手法を自賛して「決める政治」という。しかし、憲法解釈の変更は踏み越えてはならない一線であり、安易に「決め」てはならない。
安定多数を背景に、前のめり姿勢を鮮明にする安倍首相の姿勢に危惧を抱く。アジアとの関係など国際状況が激変している中、外交や安全保障という重要課題についてはこれまで以上に慎重な取り組みが要求されるのだ。
過去に日本が積み上げてきた国際的信頼と平和主義は貴重な財産だ。それを崩し、後世に負の歴史として刻まれる愚を犯してはなるまい。
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201308050890.html
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