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2013年08月04日 世相を斬る あいば達也
参院選が終わり衆参のネジレも解消、好き勝手が出来る環境が整った安倍自民党である。2日から開かれる臨時国会も実質2日間のセレモニーで終わる。麻生太郎のトンデモ発言も、有耶無耶撤回で一件落着、大過なく10月中旬以降の臨時国会までは、安倍晋三のやりたい放題が続くことになるだろう。麻生太郎が右翼団体の会合でイイ気になってペラペラ喋った問題も、ナチスを引きあいに出した事も愚か過ぎて論評のしようがないが、ワイマール憲法が静かにこそこそと事実上無効化させた等と歴史的事実をも誤認識しているわけで、ナチスがワイマール憲法を無効化する為に、国会を焼き払ったり、ヤラセの大騒動を起こさせている。到底静かにこそこそ強権が民主的に選択されたものではない。
安倍晋三の立憲国家の破棄発言といい、麻生のワイマール憲法無力化発言にしても、歴史や政治的概念に対し、あまりにも無教養すぎる実体を世界に発信してしまったようだ。こんなのが、首相であり、副首相と云うのだから、この国が何をするか判ったものではない、と世界が訝っても不思議ではない。筆者が常々言っているように、市場原理主義なグローバル経済と偏狭なナショナリズムの両立は、水と油のようなモノ、融合しようがないのである。ましてそれを、この自民党の両巨頭が陣頭指揮を執るのだから危なくて見ていられない。
おそらく、自分達が何をやっているのか、政策に整合性はあるのか、全体を見渡す器量のあるアドバイザーが不在なのだろう。霞が関の人事を強権で抑え込んだようだが、結果的に、各省の主導権争いを誘発させただけで、国家としての意志が抜けているようだ。つまり、骨のない身体に、筋肉だけがついてしまって、瞬間的エネルギーだけが充満した奇妙な生き物(政権)が生まれているのだ。まさか、この状況で首相が8月15日に靖国参拝などはないと思うが、麻生は意地になって強行する可能性は大いにある。麻生と言う人は、個人プレイが大好きなので、やるだろう。安倍が参拝するような事態は、米中韓からの日本の孤立を完成させることになるのだろう。
個人的には、安倍政権の暴走が目立ち、国民の覚醒が早まるだろうから悪い話ではない。TPPの批准より前倒しされる形で、米国多国籍企業の日本市場参入は加速するのが明確になった。日本独自の弱者を包摂的に囲い込むシステムが、小泉竹中構造改革に始まり、アベノミクスで成就するのだろう。たしかに、潜在的成長力を失った先進諸国にとって、弱者を包摂的に囲い込むシステムの維持は容易ではない。だからといって、強者の論理を優先させ、弱者層を増大させる経済政策が、ベターだと云う論は飛躍にも程がある。社会的に弱者を包摂しなければならないのが政治であり、強者を守るだけなら、政治家も警察も検察も裁判所もいらない。肉体的に強い奴が勝てば良いし、ひ弱であってもボディーガードを雇える奴が勝者になる。
一見、無茶苦茶を言っているようだが、現実はその方向に向かっている。気仙沼では被災地住民の高台移転が決まっているのに、津波対策の公共事業が始まり、無人の港の前に高さ15メートルの防災堤防の工事が進んでいる。景観を破壊し、守るべき住民もいない、その堤防は何の堤防なのだろう。狸しか利用しない高速道よりも、もっと悲劇的過ぎて、滑稽にさえ見えてくる。話によると、自民党議員のパーティーが賑わっているようだ。一晩で2億、3億と荒稼ぎ。また、ゼネコン相手に選挙資金5億円近くも要求したらしい。そういえば、自民党は選挙前に“10年で200兆円の公共事業”と言っていた。億単位は氷山の一角、200兆の粗利が50兆として、5兆円規模のキックバックくらいあるのかもしれない。
検察庁の改革など、もう誰も口にしなくなった。日本司法の根本的歪みも、国民は知ろうともしないし、知ってどうしようとも思わない。モノ言えば唇寒しの心が蔓延している。筆者も必死で語るのに疲れてきた(笑)。暑さのせいもあるのだろうが、考えている内に、書くこと自体がバカバカしくなってくる。昔ならいざ知らず、国民が本気で政治を考えれば、気づくことが山ほどある。しかし、正直知ろうとしている人々は僅かで、何らかの言動に出る人々も僅かだ。安倍自民のやっていることが、国家の破滅を早める事はあっても、是正の方向に向かっていないのは、ほぼ自明だ。あらゆる角度から、様々に検証しても、答えはバツだ。
前述のように、グローバリズムと世界との共生が理念であれば、それが好みではないとしても、整合性がある。しかし、彼らの方向は、経済は国境なきグローバリズムであり、国体はナショナリズムと言われて、あぁそうですかと納得している国民がいるとこ自体、日本と云う国の民度が世界に晒されている。韓国の偏狭なナショナリズムは歪んだ歴史のなせる業で、民度は極めて低い。しかし、他人の国の民度が低いと言えるほど、日本の民度も威張れたものではない。その辺が、どうも日本国中が判っていないようだ。
安倍晋三が大馬鹿の阿呆のフリをして、実は日本の真の独立を目指しているプロセスに過ぎないのであれば、それは見事な演出である。裏で、鳩山由紀夫を密使として駆使し、再三にわたり中国共産党幹部と意思疎通を行っているとしたら、それはそれで見事なのだが、現時点ではその影さえも見えていない(笑)。 ただ、鳩山の理念は日本の軍事的独立とアジアとの共生なのだから、最終的には安倍晋三の理念との共通性がないわけではない。此処の部分は要注意だ。しかし、おそらく来年の今頃は、もう日本国中慌て出す確率が高そうだ。日米関係もおかしくなり、中韓とのいがみ合いもピークを迎え、四面楚歌となり、ロシア・プーチンが唯一の友人になっていたりしたら笑話である。挙句に、国内市場は米国系企業の草刈り場では、笑い話にもなりはしない。
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