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2013-08-04 陽光堂主人の読書日記
東京電力は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を申請しましたが、新潟県の泉田裕彦知事がこれに反発し、両者の溝は深まっています。ねじれが解消し、安倍政権による独裁政治が開始されたので、原発推進派は勢いづいており、泉田知事の抵抗もねじ伏せられることでしょう。
知事は県民の安全を第一に考えねばならないので、泉田氏の懸念は尤もな話であり、東電や政府は納得の行く説明をしなければなりません。それなのに泉田知事に対する人物破壊工作を行なっているそうですから、狂っているとしか思えません。
「人物破壊工作」というのは、オランダの政治学者ウォルフレン氏が言う「Character Assassination」のことで、欧米では政敵を攻撃するために用いられています。生活の党の小沢代表は、常にこの工作に晒されてきました。
元経産官僚の古賀茂明氏は、『週刊現代』2013年7月27日・8月3日号で、泉田知事に対する人物破壊工作について採り上げています。以下、引用します。
(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36436)
新潟県知事を攻撃する官僚の手口
7月5日、東京電力の廣瀬直己社長と泉田裕彦新潟県知事の間で行われた柏崎刈羽原子力発電所再稼働申請に関する会談が決裂に終わった。
東電と地元自治体との安全協定では、原発関連施設を新増設しようとするときは、事前に地元の了解を取ることになっている。今回東電は、この事前了解がないまま、フィルターベント(事故で生じた蒸気やガスから放射性物質を除去して排気する装置)の設置計画を含む柏崎刈羽原発の再稼働申請を行うと発表した。明らかに協定違反だ。マスコミは、泉田知事が、この手続き違反を利用して東電を批判し、再稼働を止めようとしていると報道した。
しかし、これは表面的な報道だ。本当はもっと根深い問題があるのだが、それが報道されない。その裏には、原発推進官僚による世論誘導がある。物事の本質から目をそらさせ、あくまでも単なる手続きの問題に過ぎないと国民に思わせたいのだ。
そして、その誘導戦略の一環として、「変人泉田」作戦が展開されているのをご存知だろうか。経産省や規制庁の役人が「泉田知事は昔から変人で有名だった」という悪口を流布しているのだ。私はこれを多くの記者から聞いた。私は、経産省時代に泉田知事と一緒に仕事をしたからわかるが、これはとんでもないデマだ。
原子力規制委員会の田中俊一委員長も、経産省から出向している規制庁の職員に洗脳されたのだろう。7月3日の記者会見で、「他の自治体の首長が納得しているなか、泉田氏はかなり個性的な発言をしている」という趣旨の侮辱的発言をしている。
今回も、洗脳された記者たちは、泉田という変人が、手続き論で揚げ足を取って、原発再稼働を止めようとしているという理解で記事を書いているようだ。
その一方で、泉田知事が指摘している安全基準の重大な欠陥についてはほとんど報道されていない。例えば、泉田知事はこんな重大な指摘をしている。
中越沖地震の際、柏崎刈羽原発で変圧器の火災事故が起きた。その原因が、原子炉建屋と変圧器がある建物が離れた地盤上にあって、地震でその間をつなぐケーブルが大きく揺れたことにより、変圧器が引っ張られて傾き、それによって内部の金属同士が接触して発火したということを新潟県が突き止めた。そこから得られた教訓は、フィルターベントを作るなら、原子炉建屋と同一の地盤上に置かなければならないということだ。
そうしないと大震災で炉心損傷が起きた時に、原子炉建屋からフィルターベントに通じる長い配管が地震の揺れで破断して、高濃度の放射能が生のまま排出されるリスクが高くなる。それなのに東電は、離れたところにフィルターベントを建設する予定だ。今の安全基準では、こういうことは禁じられていない。何故なら、これを禁じたら、多くの原発が再稼働できなくなる恐れがあるからだ。
この一事をもってしても、泉田知事が、東電や規制委を批判するのは当然のことだ。実際には、これ以外にも新潟県からは、重要な指摘が数十項目なされている。田中委員長は、3月13日の会見で、これに対する回答の義務はないという驚くべき発言をしている。
規制委は、回答できないような重大な指摘をされてしまったので、内容の議論を避け、泉田知事への個人攻撃で「変な人」が「変なこと」を言っているという形で処理しようとしているのではないか。マスコミは、泉田知事が指摘している問題点を具体的かつ詳細に報道すべきだ。そうすれば、どちらが正しいかが明らかになるだろう。 (下線は引用者による)
新潟県から示された重要な指摘に対して、原子力規制委員会の田中委員長は何と「回答の義務はない」なんて発言したそうです。原子力「規制」委員会ではなく、原子力「推進」委員会と実態に合った組織名に変えるべきです。
しかも人物破壊工作という卑劣な手口を使用しているとなると、存在自体が害悪で、即刻解体すべきです。安全重視の知事を変人扱いにして危険な原発を再稼働し、国民を危険に晒そうとしているわけですから犯罪同然の行為です。
東電にももちろん問題はありますが、赤字続きではやって行けないので、どうしても原発を動かしたいわけです。本来なら、福島第一原発事故が起きた際に潰して再生を図るべきでした。原子力ムラと政府は、利権を守るべく東電を存続させたわけで、何とも罪深い連中です。
福島第一原発の汚染水はダダ漏れ状態で、地下水や海の汚染が深刻化しています。東電は岸壁近くの土を薬剤で固めて遮水壁を造り、汚染水が海へ流出するのを防ぐ工事を進めていますが、そうすると今度は地下水が溢れ出してくることになります。
今のペースでは、3週間後に汚染水が溢れ出すと予想されています。下手をすると、福島第一原発一帯が冠水して作業ができなくなる恐れがあります。田中委員長は、「海に流すしかない」と漁民を不安に陥れる発言をしています。
にっちもさっちも行かない状況で、海に垂れ流したら内外の批判を免れません。この汚染水問題について、田中委員長は31日の定例会見で、「かなり深刻で、切迫している」と眉をひそめて見せる一方、同じ会見の中で「来週はお休みしたいと思う。みんなで少し休みをとってリフレッシュしよう」などとのん気な発言をしています。
「変人」と言うなら田中氏の方で、正常な神経の持ち主とは思えません。原子力規制員会は支離滅裂であり、信用できません。(当初から判り切っていましたが…) 政府は全く当てになりませんから、国民は万が一の事故の際には、自分の身は自分で守らなければなりません。
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