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2013年08月04日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆安倍晋三首相は8月1日、内閣法制局の山本庸幸長官(63)を退任させ、後任に集団的自衛権の政府解釈見直しに前向きな小松一郎駐仏大使(62)を充てる人事を決め、8日にも閣議を開き、決定するという。これまで、内閣法制局は、戦争永久放棄、戦力不保持を規定している憲法第9条の厳格な文理解釈上、集団的自衛権容認には、否定的であった。これを一転、「容認」するには、それ相応の合理的な解釈が必要である。小松一郎駐仏大使が、いかなる「屁理屈」を並べ立てるか、見ものである。
だが、これは、あくまでも政府の解釈変更にすぎず、「違憲立法審査権」を持ち「憲法裁判所」の使命と役割を課せられている最高裁判所の判断が求められるところだ。問題なのは、安全保障に関する司法判断について、最高裁判所は、従来、極めて消極的で、「高度な政治的判断」とか「統治行為論」などを持ち出して、「違憲立法審査権」を持っていながら「憲法裁判所」の使命と役割を回避してきた。それどころか、米国の圧力に屈して、「司法権の独立」を侵した最高裁長官さえいた。つまり、憲法第9条を厳格に解釈して、「集団的自衛権」を否定し、事実上の「違憲立法審査権」の権能を行使してきたのは、何を隠そう法制局であった。安倍晋三首相は、これをいま、「人事権」をもって、なし崩し的に破壊しようとしている。衆参両院の選挙区が「一票の格差」という「違憲状態」を放置したまま、国政選挙を行っているうえに、行政各部を指揮監督する立場の内閣が、違憲の疑いが濃厚な「集団的自衛権の行使」を容認する解釈を堂々とすることになれば、「法の支配」は、根底から揺らいでくる。これでは、正常な統治行為が、成り立たなくなる。ひいては、自衛隊=軍隊によるクーデターを惹起する危険を高めることにもなりかねない。
◆安倍晋三首相が、「集団的自衛権容認」を急ぐ背景には、日米同盟に基づき「日本防衛の義務」を負っている米軍が、「予算大幅削減」により、戦力低下を迫られている深刻な状況がある。はっきり言えば、米軍は日本を守りきれないのである。従って、これまでのように日本の安全保障を米軍に頼りきれなくなっているのだ。米軍は、敵の攻撃を受けたとき、敵を完璧に打ち破ることができず、むしろ、大打撃を受ける可能性が大である。そうなると、日本を守るどころの話ではない。
日本の自衛隊は、敵の攻撃に対して、刑法が許している「正当防衛の法理」を用いて、自らを守るしかない。同盟軍である米軍が攻撃を受けた場合、「集団的自衛権」を行使できないので、やはり刑法の緊急避難の法理を用いて、米軍を助けるしかない。だが、いずれも、「違法性を阻却」するという法理なので、行為の後に厳格に立証しなくてはならないため、いざというときに、瞬間的に判断するのが難しいという難点がある。
◆いま日本は、米軍の戦力弱体化という現実に直面して、「集団的自衛権」行使を容認する必要性に迫られている。この意味で、安倍晋三首相が、集団的自衛権の政府解釈見直しに前向きな小松一郎駐仏大使を内閣法制局長官充てる人事を決めたことについては、それなりの理解ができる。要するに、安倍晋三首相が「集団的自衛権」に走るのは米軍の戦力低下が原因、もはや改憲しかないと思い詰めているためだ。
けれども、それが多くの国民の目から「ご都合主義」と受け取られては、「法の支配」を根底から揺るがすというデメリットを伴うことになるので、それ相応の合理的な理由付けをしなくてはならない。あるいは、そんな弥縫策により国民をちょろまかすのではなく、正々堂々と憲法第9条改正に踏み切り、米軍の戦力弱体化に対し、日本の防衛力強化を促進した方が得策である。いつまでも「解釈改憲」を続けるのは、難しくなってきており、「法匪」の解釈技術に頼って「屁理屈」を並べ立てるのはもはや限界にきている。
【参考引用】産経新聞msn産経ニュースが8月2日午前7時10分、「法制局長官に小松駐仏大使 集団的自衛権見直し布石」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「安倍晋三首相は1日、内閣法制局の山本庸幸長官(63)を退任させ、後任に小松一郎駐仏大使(62)を充てる人事を決めた。8日にも閣議を開き、決定する。法制局長官は内部から法制局次長が昇任するのが通例。集団的自衛権の政府解釈見直しに前向きな外務省から小松氏を起用することで、集団的自衛権の行使容認に向けた布石を打つ狙いがある。
『憲法の番人』を自負する内閣法制局はこれまで、『権利はあるが行使はできない』とする集団的自衛権の政府解釈について、『歴代法制局長官が答弁を積み重ねてきた』として、一貫して見直しに反対姿勢を取ってきた経緯がある。
第1次安倍政権では、日米同盟強化などのため、解釈見直しの意向だった首相に対し、『幹部の集団辞任も示唆して抵抗してきた』(周辺)という。
一方、小松氏は第1次安倍政権下で発足した有識者会議『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会』がまとめた行使容認の報告書の作成作業に関わるなど、政府解釈見直しの必要性を指摘してきた。
首相としては、小松氏登用で政府解釈見直しに向けて万全の布陣を敷くとともに、意向に逆らう法制局を強く牽制(けんせい)する意図がある。
小松氏は昭和47年、一橋大法学部を中退して外務省入省。条約局法規課長、同局条約課長、駐米公使、欧州局長、国際法局長、駐スイス大使などを歴任し、平成23年9月から現職」
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