http://www.asyura2.com/13/senkyo151/msg/790.html
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経済的自由主義を信奉しているわけではないので、「政労使交渉」で賃上げを実現する構えを見せていること自体にそれほど嫌悪感はないが、その目的が、消費税増税を予測できる悲劇的結末(デフレの深刻化と税収減)を回避するためのものであることを考えると嫌悪感が生じる。
安倍政権は、政労使の会議で、グローバル企業のためである消費税増税をスムーズに実施するためには賃金の増加が不可欠だとグローバル企業の経営者を説得するつもりなのだろうが、グローバル企業はそれをそこそこ受け容れても、消費税増税で打撃を受ける国内専業の事業者に賃上げができる余裕なぞない。
グローバル企業従業員だけの賃上げなら、年金支給額減額と生活保護(扶助)費減額で生じる購買力の減少を穴埋めできるかどうかのレベルでしかない。
「輸出戻し税」と詐欺的補助金を受け取るグローバル企業は、消費税増税で従業員の賃上げを行う余力が生じるが、その他の企業は、消費税増税により賃下げ圧力を受けることになる。
理解されなさすぎるのは、付加価値税である消費税が、「支払い前に先取りする“給与所得税”+荒利レベルでの“法人税”」の税制という内実だ。
(荒利レベルでの“法人税”とは、支払利息や返済元本に充当する荒利にも消費税の負担が発生することを意味する)
だから、それまでと同じ水準の最終利益(ギリギリで赤字にしないことも含む)を確保したい事業者は、給与水準を切り下げるしかないのである。
それを回避する方法は、消費税負担増加分の消費者や取引相手への転嫁だが、消費者の賃金水準が切り下がり続け、納品先の経営も苦しいという経済状況だから、消費税の還付を受けるような有力企業でなければ転嫁の達成は難しい。
これが、97年の消費税増税で、金融危機(支払利息や返済元本が増税分負担増になり債務不履行)が起き、15年もだらだらと続く賃金切り下げが続いている論理である。
極めつけは、消費税が重くなればなるほど非正規の覇権従業者が増大し、国民経済全体の可処分所得総額(総需要)を減少させるという大問題である。
それは、雇用契約の従業員の給与については消費税の負担が発生するが、派遣社員分として人材派遣会社に支払うお金は経費(仕入)となり消費税の負担が発生しないからである。
人件費に同じ3千万円を掛けても、消費税の負担という観点で考えれば、人件費総額はまったく異なってくる。
直接雇用であれば、消費税10%のとき人件費を余分に300万円負担することになる。むろん、人材派遣会社も消費税負担の転嫁を求めてくるが、雇用情勢が悪ければ、派遣労働者の賃金を切り下げることで吸収される可能性さえある。
労働者を派遣にすれば、社会保険料などの付加的負担もなくなる“メリット”もあるから、負担の差は極めて大きい。むろん、企業が負担する社会保険料(年金・健保・雇用)についても消費税の負担が発生する。
非正規労働者が増大する根源的要因は消費税制度にあるといっても過言ではないのである。
※ 関連投稿
「消費増税「秋の臨時国会前に首相が判断」 官房長官:賃金の動きも最終判断の大きな材料:消費税増税→税収減に苦悩」
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/401.html
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夏の賞与増で給与総額が5カ月ぶり増加、所定内賃金上昇はみられず
2013年 07月 31日 12:16 JST
[東京 31日 ロイター] 厚生労働省が31日発表した毎月勤労統計調査(速報)で、6月の現金給与総額(事業所規模5人以上)が5カ月ぶりに増加した。夏のボーナスなど特別に支払われた給与が、前年比0.4%増と伸びたことが主因。
一方、所定内給与は前年比0.2%減で13カ月連続で減少。一時金を除く賃金の上昇はまだみられない。政府はアベノミクスの成否を握る賃金の上昇を促すため、政労使の会議を設ける予定だ。
<給与総額は前年比0.1%増、夏のボーナスなどで増加>
6月の現金給与総額は1人平均で43万3568円。前年比では0.1%増となり、5カ月ぶりに増加した。夏のボーナスなど特別に支払われた給与が前年比0.4%増の17万1792円だった。
一方、所定内給与は前年比0.2%減と13カ月連続で減少している。所定外給与は前年同月と同水準だった。
所定内給与のマイナスが続いていることについて厚生労働省では「パートタイム労働者の構成比が増えている要因がある」と分析している。一般労働者の所定内賃金はこのところ若干のプラスを続けており、6月も前年比0.1%増となっている。これに対し、賃金の低いパートタイム労働者の増加が全体を押し下げているかたちだ。
<所定内賃金の上昇、年内は困難か>
日本総研の主任研究員、松村秀樹氏は今回の数字について「かなり厳しいものだった」と指摘する。ボーナスの伸びも中小企業にはさほど波及しておらず、所定外賃金も製造業で減少した。ウエートの大きい所定内賃金の動向については「今年いっぱいは(上昇は)難しいだろう」とみる一方で「来年になれば物価上昇が多少は反映される」と予想している。
<アベノミクスの成否握る政労使交渉>
アベノミクスの成功には、賃金が上昇し、それを受けて消費が上向き、民間投資を促す好循環が動き出すことが必要になる。このため政府は近く政労使による交渉を開始し、賃金上昇に向けた取り組みを進める考えだ。甘利明経済再生担当相は30日の会見で「生産と消費の好循環などいろいろあるが、自然な成り行きで好循環が回るの待つのでなく、それを人為的に速く回すよう取り組む会議にしたい」と意欲を見せている。
(石田仁志、中川泉、吉川裕子;編集 田中志保)
*内容を追加します。
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