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参院選:共産躍進にネット効果 リツイートと得票相関
毎日新聞 2013年07月31日 02時30分(最終更新 07月31日 02時42分)
(図)3党候補者のリツイートされた数と得票数の関係 ⇒
参院選(7月4日公示、21日投開票)が自民党の大勝に終わったのを受け、毎日新聞と立命館大は、参院選で解禁されたインターネット選挙運動(ネット選挙)が当落に与えた影響を分析した。選挙区で2人しか落選しなかった自民党や、惨敗した民主党の候補者では、ネット上の運動量と得票数の間に相関は認められず、ネット選挙は大勢に影響しなかったと言える。ただ、改選3議席から8議席に躍進した共産党に限れば、組織的にツイッターを積極活用した「ネット効果」がデータに表れた。
毎日新聞と立命館大のネット選挙共同研究では、ツイッター利用者と各党候補者の投稿(ツイート)を収集・分析し、選挙への影響を検証してきた。これまでに共産党候補者のツイートがツイッター利用者による引用・転送(リツイート=RT)によって効果的に拡散し、民主党候補者のツイートはRTによる拡散力が弱い傾向が判明している。
共産党は12年ぶりに選挙区で議席を獲得。RT数が3万1000件に達した吉良佳子氏(東京)は70万票、2万5000件の辰巳孝太郎氏(大阪)も46万票を得た。落選者でもRT数1万件以上が4人おり、うち2人は得票数が25万票を上回った。比例当選者も2人がRT数1万件を超え、RTによる拡散力と得票数の相関が認められた。
ただ、今回の参院選は当初から「自民党1強」の情勢が顕著で、ネット上の関心は低かった。自民党はRT数が4万件を超えた佐藤正久氏(比例)を例外に、多くの当選者が1000件以下。民主党はRT数が1万件を超えた候補はなく、最多の6700件だった鈴木寛氏(東京)が落選した一方、当選者のRT数は0〜500件程度だった。諸派ではRT数が10万件を超えた比例候補3人が落選。ツイッター上の発信・拡散と当落を関連づけるデータは共産党を除き得られなかった。【石戸諭】
◇賛否二分の政策 自民争点化回避「防御的に利用」
組織力と資金力を背景にネット選挙の取り組みで他党を圧倒した自民党。平井卓也ネットメディア局長は「ディフェンシブ(防御的)に使った」と説明する。
自民党は25社以上のネット業者からなるチームを組織し、ツイッターなどの書き込み情報を分析する「ソーシャルリスニング」を実施。全候補者にタブレット端末を配布し、演説のポイントなどをアドバイスした。例えば「原発再稼働」への反応が強いとみると、「推進」ではなく「原子力規制委員会が安全と認めないものは認めない」との表現を使うよう指導。「消費増税」など賛否の分かれる政策の争点化回避を図った。
ネット選挙解禁でネットの双方向性を生かした有権者との政策対話が期待されたが、与党はそれを避け、民主党がアベノミクス批判などを発信してもネット利用者の反応は冷淡だった。
対話が深まらない中、支持者を巻き込んでの組織戦にツイッターを活用したのが共産党だ。支持者向けガイドラインでは、気になるツイッター利用者100人をフォロー(閲覧登録)▽党機関紙「しんぶん赤旗」の記事を紹介−−など活用方法を例示。小池晃副委員長は「対話の手段としてネットを捉えた」と語る。共産党の取り組みは今後のネット選挙を考える指針の一つになりそうだ。【影山哲也】
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