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成果を得難い安倍氏の「遠交近攻」戦略
日本の安倍晋三首相は参議院選挙での連立与党の勝利後初の外遊として、25日から27日にかけてマレーシア、シンガポール、フィリピンを相次いで訪問した。安倍氏は出発前、空港で報道陣に「ASEANの活力を日本経済の再生に取り込む」ことが目的だと表明した。だが訪問中の言動を見ると、今回の3カ国歴訪も「経済外交」を推し進める一方で、「価値観外交」を行なうものだった。
シンガポール南洋理工大学RSISの李明江氏は27日、人民日報のインタビューに今回の外遊の目的として(1)アジア太平洋地域における日本の影響力を一段と強化する(2)東南アジアの一部の国が中国と領土紛争を抱え、中国への懸念を多少深めている機に乗じて、こうした国々と安全保障分野で関係を強化し、政治的利益を得る(3)東南アジア諸国との経済関係を一段と強化し、「アベノミクス」を売り込む--を挙げた。
米コロンビア大学の日本専門家、カーティス氏は先日「安倍氏は頭は実務的、現実主義的だが、心は情緒的だ。安倍氏は今後、頭と心の葛藤に直面する」と指摘した。
安倍氏は昨年12月に首相に返り咲いて以来、ベトナム、タイ、インドネシア、ミャンマーなど東南アジア諸国、および米国やロシアなど大国を含む10数カ国を相次いで訪問した。安倍氏は「アベノミクス」を売り込んで新市場と安定したエネルギーを求める一方で、「民主カード」を切って周辺国を抱き込み中国を封じ込めようとし、さらに環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加などを通じて米日同盟の強化を図っている。一方、隣国の中国や韓国との関係は領土問題や歴史認識問題のために冷え込んでいる。
安倍氏の「遠交近攻」戦略は国際社会の賛同を得ていないとの指摘がある。東南アジアの大多数の国は日本の技術と投資には歓迎を表明しているが、中国に共同で立ち向かうとの「誘い」には返答を避けている。同盟国の米国でさえ慰安婦や憲法改正問題を含む日本社会の「右傾化」に繰り返し懸念を表明している。
李氏は「今回日本とフィリピンは曖昧な表現で中国を非難した。だが安倍氏が1回の外遊で釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題で日本の立場を支持することをASEAN諸国に期待するのは不可能だ。ASEAN諸国は域内の各大国との関係発展を望んでいる。中国を孤立させる政治的目的をひたすら抱いている日本を東南アジア諸国が歓迎することはない。これは中日両国間でどちらかの側に立たねばならない危険な状況にASEANを置き、東南アジア諸国の利益にならない」と指摘した。
日本国内でも批判の声がある。田中均元外務審議官は26日午後、日本記者クラブで講演し、中韓を刺激する安倍政権の外交政策に懸念を表明。「国内のナショナリスティックな感情に従った外交をすると、得られるのは楽しい世界ではないかもしれない」と述べたうえ、「中国を建設的な形で引き入れることこそが戦略的な目的だ。中国を阻害することで目的は達成できるのか?」と疑問を呈した。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年7月28日
http://j.people.com.cn/94474/8343612.html
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南シナ海問題、ASEANの本音 対中国、結束と実益優先[日経新聞]
中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の最大の懸案は南シナ海問題だ。6月末から7月にかけてブルネイで開いた一連の国際会議で両者は問題解決に向けた協議入りで合意。中国と領有権紛争を抱えるフィリピンなども一時の強硬姿勢はなりを潜めた。緊張緩和の裏には加盟国の分裂を回避しつつ経済を優先するASEANの本音がにじむ。
ASEAN議長国ブルネイが主催した1日夜の夕食会は和やかな空気のうちに終了した。ケリー米国務長官ら各国外相が帰途に就くなか、中国の王毅外相とフィリピンのデルロサリオ外相だけが別室にとどまった。この時、デルロサリオ氏はマニラでの2国間外相会談を打診。王氏は応じる意向を示したという。
同じく中国と領有権を争うベトナムも沈黙を守った。実は会議直前の6月下旬、ベトナムのサン国家主席が中国を訪問。習近平国家主席らと会談し、両国の貿易促進や、トンキン湾での石油・ガス共同開発区域の拡大などで合意した。南シナ海問題も「冷静さと自制心を持ち、問題を複雑にしたり拡大させたりしない」と取り決めた。
紛争当事国のフィリピン、ベトナムが緊張緩和を模索し始めたのは、中国との経済協力という実益を優先したためだ。それは他の加盟国の思惑とも一致する。ASEANにとって中国は最大の貿易相手。中国を含めた16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉も始まった今、政治的緊張が高まるのは望ましくない。
対中政策は加盟国間の信頼関係も左右する。昨年7月のASEAN外相会議では対中姿勢を巡り加盟国間で意見が割れ、共同声明を採択できなかった。中国から経済支援を受けるカンボジアやラオスなどとフィリピンなどの溝は深く、反目の原因となったのだ。
南シナ海問題の平和的解決を目指す「行動規範」策定に向けた協議入りでASEANが中国と合意した背景には2015年の経済共同体発足を控えて国際社会に域内結束を訴える狙いがあるとみられる。中国もASEANとの対話姿勢を強調することで米国の介入を排除できる。自国ペースで南シナ海問題の議論を進めたいとの思惑が透ける。
ただ、対立の火種は今もくすぶる。フィリピンは米国や日本と海洋安全保障での協力強化を推進。中国を提訴した仲裁裁判も進む。ベトナムは南シナ海配備を予定するキロ型潜水艦を年内にロシアから搬入する予定だ。各国の駆け引きは域内経済の不安定さを招きかねない危うさもはらむ。
(ハノイ=伊藤学)
連載に大幅加筆した「世界紛争地図」(日本経済新聞出版社)が発売されました。
[日経新聞7月23日朝刊P.8]
http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013070801002069.html
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