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2013年07月26日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆マレーシアで開催していた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉は7月25日終了した。23日から日本も参加、100人の交渉団を派遣していたが、これまでの交渉内容をまとめた1000ページ以上にわたる膨大なテキストを提供されたものの、これを解読するのに手間取り、「交渉」どころではなかった。というよりは、むしろ、TPP交渉は事実上、終わっており、日本はこれを受け入れるのみ。結局、100人の交渉団は、マレーシアに「観光旅行」しただけであった。
TPP交渉参加国(先行参加11か国=ベトナム、ブルネイ、ペルー、チリ、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、米国、カナダ、メキシコと、2013年7月23日午後から初参加の日本の計12か国)は、2013年10月にインドネシアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた会合で「基本合意」したうえで、年内の交渉妥結を目標に掲げて厳しい協議を進めている。TPP交渉は、21分野で実施されており、最終的に29章で構成する協定にまとめる計画だという。
◆しかし、日本は、TPP交渉参加表明が遅れたので、マレーシア東部コタキナバルで開かれた「TPP拡大交渉会合」(2013年7月15日〜25日)で、米議会の承認手続きを経て、23日午後からやっと合流できた。このため「コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物の重要5品目」を関税撤廃の対象から除外できるか否かが問われている。日本がルール作りに関与できないのでは、意味がないからである。TPP参加により、日本は米国に確実に植民地化されてしまい、各産業分野で日本の慣行が否定されて大混乱に陥り、メチャクチャにされる。
安倍晋三首相が2013年3月15日、「TPP参加」を正式に表明したのに合わせて政府は、TPP参加が日本経済に与える影響について「GDP3.2兆円に拡大の政府資産、関税ゼロなら農業打撃」(朝日新聞16日付朝刊「1面」)だと発表した。けれども、これらの数字がどこまで信用できるかは、極めて疑わしい。そればかりか、最も大事なことについて安倍晋三政権は、何も説明しようとしていない。それは米国企業がTPP実現によってどんな戦略を立てているかである。米国企業は、強烈な目標を立てて「TPP推進の圧力団体である米国の業界」が、オバマ政権に対して猛烈に、アタックし続けているのだ。
◆ところでTPPに参加すると、日本は米国に「植民地化」されるといわれているけれど、実際、具体的にはどんなふうにされるのであろうか?
米国が、TPPに取り組む「世界戦略」とは、何か? 日本をどうしようとしているのか? その戦略推進母体とは。何か?
米国では民間企業連合が作られている。この米国民間企業連合は24の作業部会推進により様々な要求を米国政府(オバマ政権)に行ってきた。
オバマ政権は、「市場拡大」を目指しているこれらの企業の強い要求を受けて、それぞれの企業にとって有利に働く「ルールづくり」を行っている。だから、日本側は、個々の米国企業が、どんな「戦略」を描いて、オバマ政権に具体的に何を要求しているかを、よく見抜き、熟知する必要がある。そのうえで、交渉に参加して、「ルールづくり」の主導権を握られないようにしなくてはならなかった。
たとえば、米国最大手化学肥料会社モンサント社は、自社が開発した「F1」という種子(F=Family、1世代しか使えない種子)である。これを武器にして、「食糧支配」により、日本民族を「植民地化」しようとしている。米国が日本市場の自由化を求めて圧力をかけようとしているものの代表例なのだ。
製薬分野では、米国の製薬会社が開発し、米国の検査基準で認可した新薬を日本の検査基準を改めて検査しなくても売れるように規制緩和を求めている。ジェネリック薬品は販売させなくしようとしている。
保険分野では日本郵政が計画している簡易保険の販売を制限して、「ガン保険」などの事業をさせなくしたい。また、民間企業の「互助会」にも、参画したい。
米国企業が農地を取得して株式会社が日本農業に参入できるように「第2の農地解放」を要求している。学校経営も同様で、米国の株式会社が学校経営をしやすくするようにすることを求めている。
病院経営についても、いまの医療法人による経営のみでなく、米国株式会社が参入できるように圧力をかけてきている。米国側の要求は、これらに止まらない。
米国側は、日本に数々の「規制緩の撤廃」による門戸解放を求めているという。「非関税障壁」にことごとくクレームをつけ、「規制緩和・撤廃」を実現させようとしている。「市場開放」「門戸開放」とは聞こえは良いけれど、気づいたときは「後の祭り」ということになりかねない。
◆オバマ大統領は、自ら主導してTPPを成立させ、これをべースに、環太平洋地域での軍事的覇権(米海軍兵学校のアルフレッド・マハン校長が提唱した「シーパワー(海上権力論)」を再構築しようとしている。ズバリ、「中国包囲網」である。近年の中国共産党1党独裁の北京政府は、猛烈な勢いで軍拡を進めており、「太平洋覇権の再確立」を急いでいる。太平洋の覇者・米国は、これを見逃すわけにはいかないのである。
それ故に、日米安保条約により、同盟関係にある日本のTPPへの参加を強烈に求めているのだ。その先頭に米CIA軍事部門資金担当のリチャード・アーミテージ元国務副長官ら対日工作者が立っている。
安倍晋三政権は、TPP参加11カ国がこれまでにどんな「ルールづくり」をして、「何を例外」として認めているのか、日本に対して「何を求めているのか」などを明らかにしていない。
しかも「交渉に参加してみないと分からない」などと無責任なことを言ってきた。しかし、米国でTPP推進をしている民間企業連合に参加している個々の企業に聞いてみれば、ある程度のことはつかめるハズであったのに、その努力している形跡はみられなかった。日本国民や企業の多くが、恐怖と不安を抱くのは当たり前である。
TPPに参加することに、日本国民の多くが恐れ、心配していることの1つに、「ISDS条項」(Investor State Dispute Settlement)」というのがある。
投資家は、投資受入国を相手方として、当該国の措置により損害が生じたことを理由として国際投資紛争解決センター (ICSID) という仲裁機関に直接申立てを行い、その補償を求めることができると言う条項だ。
米国側は、「米国の対外投資にとって安定した非差別的な法的環境の典型をつくり出すために、強力な投資保護、市場開放規定、紛争解決を組み込むべき」と主張しているという。
ICSIDは国際投資紛争の調停と仲裁を行う場を提供することで、外国投資の促進に貢献している。ICSIDの存在は、国家と外国投資家が信頼関係を育む一助となっており、国際投資協定の多くはICSIDを仲裁機関に指定。また、紛争解決や外国投資法に関する出版物も発行。これがTPPにおいて実現すると、投資企業が加盟国の政府や地方自治体を相手方として仲裁を申し立て、補償を得ることも可能になるのだという。
TPPに参加すると、米国の世界戦略に組み込まれた日本がどう変化させられるかを予測し、日本民族の「アイデンティティ(自己同一性)}」をいかにすれば、保つことができるか、日本の伝統文化と美しい日本を守り、順風美俗とも言える「日本独特の共同体」をいかにすれば、再生できるか。
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