http://www.asyura2.com/13/senkyo151/msg/498.html
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転載する日経新聞の記事は内実をわかっていながら知らんぷりという内容だが、米国金融家たちのどん欲さやえぐさがそれなりにわかるように説明したほうがいいだろう。
記事にも書かれているが、日本郵政がかつて「がん保険」事業を“断念”したのは、米国側の内政干渉を受け容れた結果である。当時の郵政民営化委員長だった西室氏(現在日本郵政社長)も、そのような経緯を認めている。
(がん保険なるものの必要性を認めるものではないが(それどころかこれまで得た“超過利益”部分は加入者に返還しろといいたい)、度が過ぎる米国金融家たちの利益拡大策は看過できない)
記事のなかからのみ該当部分を引用する。
●「米側は4月までの事前協議で、「政府が出資する日本郵政グループが自由に新商品を出せば公正な競争を阻害する」と主張していた」
●「日本郵政の西室氏は政府の郵政民営化委員長だった当時、米国に配慮し、がん保険の新規業務申請を認めない考えを示していた」
●「西室氏がトップに就任した日本郵政がアフラックとの提携路線を選んだ」
要するに、米国側(米国アフラック)は、自分たちの拡販に利用できるかたちなら日本郵政が「第三分野」の保険に進出してもかまわないと考え、日本郵政は、自分たちの事業拡大を阻止しようとする米国側事業者と抱き合うことで活路を見出そうとしたというものである。
これでアフラックと日本郵政は“満足”かもしれないが、「政府が出資する日本郵政グループが自由に新商品を出せば公正な競争を阻害する」という論理が消え去るわけではない。
アフラックと日本郵政以外の「第三分野」取り扱い保険会社は、現在既に最大手のアフラックと全国津々浦々に販売網を持つ日本郵政とが連合した相手との“過酷な”競争を強いられることになる。
これが「公正な競争を阻害する」ものではないというのなら、米国側は、今後、自己主張を通すためにそのような説明をすべきでないだろう。
記事に、「23日の日本政府のTPP交渉への正式参加を受け、日米両政府は保険などの非関税分野について、今後2国間交渉を始める予定」とある。
関税分野は二国間交渉で決められていくものと考えていたが、他の分野での合意は、ベトナムなど後進国を適用除外としても、他の加盟国は包括的に適用されると思っていた。
10年後ないし15年後に関税撤廃といった理念的レベルの開放は包括的なものであっても、そこに至る前であいだは、何もかもが二国間交渉で決まると考えたほうがいいようだ。
米国側が今回のがん保険で見せたえぐさを考えれば、TPPでも、日本は苦しい交渉を強いられることになるだろう。
後進国から得るものは少なく、既にFTAやEPAを締結している国から新たに得られるものも少ない。
米国・豪州・NZなどとFTAやEPAを締結していない先進国日本は、心して交渉に臨まなければ、おいしいところだけいいようにむしり取られることになる。
(言っても虚しい警告だが...)
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日本郵政、米アフラックと提携 がん保険を共同開発
2013/7/24 23:07
日本郵政は米保険大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)とがん保険事業で提携する。今秋以降、全国2万の郵便局でがん保険を販売するほか、アフラックと専用商品を共同開発する。従来模索してきた独自開発は当面見送る。政府が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に正式参加する中で、がん保険の凍結を求めてきた米側に配慮した格好だ。
両社は週内にも提携で基本合意する。日本郵政の西室泰三社長やアフラックのダニエル・エイモス会長兼最高経営責任者(CEO)、チャールズ・レイク日本代表らが記者会見して、発表する。
アフラックは日本で約1500万件のがん保険契約を持つ「第三分野」保険の最大手。日本郵政は今秋から順次、簡易郵便局を除く全国2万の郵便局と、かんぽ生命の約80の直営店舗でアフラックの商品を販売する。2008年からアフラックのがん保険を1000局で扱ってきたが、提携を機に全局で展開する。日本郵政向けのがん保険の専用商品も共同開発し、来年秋にも販売する。
かんぽ生命は08年に日本生命保険と提携し、がん保険の独自開発を模索してきたが、従来路線は事実上撤回する。
日本郵政がアフラックとの提携にカジを切る背景には、TPPに関する日米交渉がある。米側は4月までの事前協議で、「政府が出資する日本郵政グループが自由に新商品を出せば公正な競争を阻害する」と主張していた。
23日の日本政府のTPP交渉への正式参加を受け、日米両政府は保険などの非関税分野について、今後2国間交渉を始める予定。日本郵政の新規業務進出がくすぶり続ければ、円滑な交渉の阻害要因になる恐れがあった。
日本郵政グループが独自開発を見送り、米保険大手の商品を全国的に販売することで、米側の保険分野での懸念は解消する見通し。日本郵政は少数の郵便局を通じて、他の民間保険の医療保険や変額年金も取り扱っているが、これほど広範に販売する例はない。
日本郵政の西室氏は政府の郵政民営化委員長だった当時、米国に配慮し、がん保険の新規業務申請を認めない考えを示していた。西室氏がトップに就任した日本郵政がアフラックとの提携路線を選んだのも、その延長線上に位置づけられる。
日本郵政は競争力のあるアフラックの商品販売を機に、新たな顧客の開拓や手数料収入の拡大を目指す。収益力の強化を進め、傘下のかんぽ生命、ゆうちょ銀行を含めた上場の早期実現を目指す。
一方、がん保険で7割を超えるシェアを持つアフラックは自社の代理店のほか、01年から第一生命保険に商品を供給している。今回の提携で有力な販売網がまた一つ加わることになり、最大手の地位を強固にする考えだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF2400X_U3A720C1000000/?dg=1
- TPP次回会合、8月下旬にブルネイで開催:異例の連続開催:“本命”日本の参加で交渉加速の様相 あっしら 2013/7/25 03:11:55
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