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政治家の発言は、正確な事実に基づいてなされるべきであろう。誇大な表現や意図的なねじ曲げがあっては、扇動のそしりを免れまい。
日本維新の会の石原慎太郎共同代表が、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんについて「非常に日本的美人だから、何をやっているか分からない。強引に結婚させられ、子どもまで産まされた。いま誰か偉いさんのお妾(めかけ)さんになっているに違いない」と述べた。
参院選の応援演説に立った横浜駅西口で、横田さんの両親である滋さん、早紀江さん夫妻が川崎で暮らしていることを念頭にしての発言だった。
根拠もなくおぞましい見立てを着想する思考のいびつさ。ためらいなく披歴する無神経さ。放言が拉致問題の解決を結果的に遠ざけることに思いを致さない無責任さに言葉を失う。
非道な国家犯罪の犠牲となり、わが子を奪われた無念さはいかばかりか。消息さえ知れず、それでも生存を信じ、帰りを待ち続けている。酷薄なかの国での日々に、糧を見いだし、生をつないでいてほしいと願っている。その心情に思いを巡らすなら、決して口にできる言葉ではなかろう。
解決を願う家族の思いに寄り添うというのなら、政治家がなすべきことは悪罵を投げ付け、対立をあおることではない。世間の北朝鮮への悪感情の高まりを後ろ盾に、政府が取り続けた強硬路線が成果をもたらさなかったもどかしさは家族が最も感じている。
問題の発言は、憲法改正について持論を展開する中で飛び出した。「状況証拠からいったって300人以上拉致して、誘拐して、殺して返さない」と、やはり根拠のない数字と状況を述べた。その上で、「拉致事件が起きたゆえんは憲法だ」「被害者を取り戻せない日本の憲法は不思議な憲法だ」と9条の改正を訴えた。
論理的に飛躍があると言うほかないだろう。拉致被害者は韓国をはじめアジア、欧州各国にまで及んでいる。軍隊を持っている国でも事件は起き、やはり被害者を取り戻せていない状況に変わりはない。
そうした意味でも、石原氏の発言は単なる失言として片付けられるものではない。被害者の願いを置き去りに、事件を利用したい政治の思惑が言葉という形で表面に現れ、被害者をさらに傷つけるに至った必然の帰結として捉えるべきものだろう。
http://news.kanaloco.jp/editorial/article/1307230001/
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