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2013/7/22 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
◆この選挙結果はこの国の戦後史を大転換する
予想されたこととはいえ、参院選は自公が圧勝、民主党は目も当てられないくらい議席を減らした。
この愚劣な選挙結果がもたらすものは歴然だ。
民主主義の死滅である。
それによって、世界中が奇異の目で見ている極右政権の暴走が始まる。有権者は自覚がないまま、とんでもない選択をしてしまった。
大勝を受けて、安倍首相は「安定的な政治の中で経済政策を前に進めていけという大きな声をいただいた」と語った。8月15日には靖国参拝するのかと聞かれると、「行く行かないを申し上げるつもりはない」と逃げた。
経済政策を中心に据え、右傾化の刃は巧みに隠す。こういう詐欺的手法で、徐々に国の形を変えていくのが安倍流だ。そんなイカサマ、ペテン政治に、有権者は「衆参安定多数」と「3年間という時間的猶予」を与えてしまったのである
法大教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「選挙結果を見て、暴走のためにブレーキが解除されただけでなく、強力なアクセルまでついてしまった印象です。恐ろしいのは、この列車はどこへ行くのかハッキリしないことですよ。選挙戦では巧みに争点を隠して、衆参安定多数という白紙委任状を得てしまった。選挙後は隠していたものを表に出して、実行してくるのでしょう。改憲だけでなく、消費増税も原発再稼働もやる。TPPは米国の言いなりになり、社会保障は聖域なきカットになると思います」
有権者はイヤというほど、自民党政治の悪辣さを知っていたのではなかったか。よりによって、極右政権に独裁的な数を渡していいのか。
安倍は選挙期間中にわざわざ石垣島に行って、中国を無用に刺激した。自民党議員も呆れていたが、そんな狂乱首相が長期政権を視野に、改憲に突き進もうとしている。世界が危険視しているが、日本では大宰相気取りで、コブシを振り上げて、舞い上がっている。日本はますます孤立し、戦前のような独善主義に戻ってしまう懸念すらある。2、3年後、戦後民主主義は跡形もなくなっているかもしれない。
◆各党議席獲得数で分かった選挙民のニヒルと退廃
自公圧勝の選挙結果で浮き彫りになったのは、有権者が政治に価値を見いだせなくなっているということだ。政治家への期待と関心はすっかり衰えた。ニヒルと退廃――それが狂気の選択を招いたのだ。
同志社大教授の浜矩子氏(国際経済学)が言う。
「みんな政治をジョークだと思っている。本来は真面目に語られるべきことなのに、関わるとみっともないという扱いです。選挙に行かなくても会話に困らないし、マトモじゃないと思われる恐れもない。実際、ジョークのような政治家もいますが、それでも権力を握れば、国民の行動を制約したり自由を奪ったりできる。ジョークで済まされなくなるのです」
バカにして軽んじていると、取り返しがつかなくなる。自らの首を絞めることになるのだが、そんな当たり前のことも分からなくなっているのではないか。
「多くの有権者は、本当に痛い目にあっていないのです。景気回復とか株価上昇とか、マスコミが報じる“安倍政権の成果”に騙(だま)され、自公政権を勝たせた。権力のウソが分かっているのは、糸数さんを勝たせた沖縄県民ぐらい。何度も騙され、痛い目にあっているから、マスコミも自民党も信じていないのです。国民に必要なのはメディア・リテラシー。報道を読み解く力を高めることです」(鹿児島大教授・木村朗氏=政治学)
やはり権力や権威は疑ってかからないとダメだ。批判精神がなければ、周囲を注意深く見ることもしなくなる。
「積極的に自民党に投票したのは、株式相場で損をさせられた人たちではないか。安倍首相に煽(あお)られてアホノミクスに乗ったら、株価がズドンと落ち、“何とかしてくれ”とすがりついた格好です」(浜矩子氏=前出)
安倍の罪は重いが、踊らされた人たちも冷静さが足りない。人生や世の中はどうでもよくて、いま食えていればいい。みんながそんなふうに思うようになると、政権与党にますますナメられ、好き放題をやられてしまう。国民生活は破滅である。
◆共産党躍進は政治的には無意味だ
今回の選挙、野党で目立ったのは共産党の“躍進”だけだ。12年ぶりに選挙区で議席を獲得。しかも、東京、大阪、京都の3選挙区で当選を果たした。比例でも5議席。非改選と合わせ、会派として認められる10議席を超えた。参院本会議での質問時間が配分され、委員会の理事にもなれる議席数を確保したのだ。
議席を倍増させた東京都議選に続く快挙に、志位委員長が満面の笑みで「反転攻勢の大きな一歩になる」と胸を張ったのも当然だろう。
だが、共産党がいくら勝とうと、政治的にはまったく意味がない。反転攻勢に出たところで、政権与党になることはないからだ。
「共産党は、万年野党だからこそブレずにいられるのです。与党自民の暴政があって、初めて存在感を増す。そういう意味では、結果的に自民体制の補完勢力でしかないとも言えます。独自の路線にこだわるあまり、野党共闘の中心にもなり得ません」(政治評論家・浅川博忠氏)
自民党をギリギリまで追いつめた山形選挙区だって、共産が独自候補を立てずに野党が一本化していれば、野党候補が勝っていた。自民勝利をアシストしたも同然である。
どれだけ共産党が議席を増やそうが、政権交代が起きないかぎり、自民中心の古い政治体制が続く。共産躍進は愚劣選挙のアダ花だ。
◆消費増税、TPP参加、国家破産となって国民生活は破綻へ
安倍自民党を圧勝させたことで、国民生活は一気に苦しくなるだろう。
自民党に一票を投じた有権者は、「アベノミクス」を能天気に支持しているようだが、いずれアベノミクスの弊害が噴出するのは間違いない。常軌を逸した「異次元の金融緩和」が、いつまでもつづくはずがない。すでに長期金利が乱高下するなど、危険な兆候は表れはじめている。
「アベノミクスの問題は、麻薬と同じで、一度“異次元の金融緩和”に手を染めたら、やめたくてもやめられないことです。アメリカのFRBも、いつ金融緩和をやめるか“出口戦略”で頭を悩ましている。やめた途端、株が暴落し、景気を悪化させるからです。恐らく、日銀は底なし沼のように国債を買いつづけなければならなくなる。いずれ限界に達し、国債は暴落する恐れが強い。金利の高騰とハイパーインフレを招き、国民生活は破綻しかねません」(筑波大名誉教授・小林弥六氏)
しかも、安倍首相は、「消費税増税」や「TPP参加」など、国民生活を直撃する政策を一気に推し進めるつもりだ。
「消費税率を5%から10%にアップするということは、12兆5000億円の増税をするということです。ただでさえ疲弊している国民が耐えられるとは思えない。TPPは農業だけでなく、確実に地方経済を破壊する。国民の反発を考えたら、普通の政権は怖くてやれない。でも、安倍政権は衆参で圧倒的な多数を握ったうえに、この先、3年間、国政選挙がないから、容赦なく強行してくるはず。国民生活は大変なことになりますよ」(政治評論家・本澤二郎氏)
自民党を圧勝させた国民は、自分で自分のクビを絞めたようなものだ。
◆株はこれから暴落へ向かうだろう
自民党が圧勝したことで、この先、株価はどう動くのか。秋以降、急落するという見方が強まっている。早くも、「自公の勝利は予想の範囲内。買い進む材料としては弱い」(大手証券)なんて冷ややかな指摘も出ている。
株式アナリストの黒岩泰氏も「市場が好感するのは、せいぜい数日でしょう」とこう言う。
「アベノミクスは、しょせん選挙に勝つための経済政策です。勝ってしまえば、もう必要以上に株価を気にする必要はありません。安倍政権は、本丸であるTPP、消費増税、憲法改正などを粛々と進めていくでしょう。それらすべてが、株価を押し下げるリスクをはらんでいる。TPPもすべての輸出企業が儲かるわけではない。増税は、株価にとって明らかにマイナスです」
やれ憲法改正だ、国防軍だとなれば、もちろん中韓は黙っちゃいない。尖閣も竹島もキナ臭いことになって、地政学的リスクが高まる。
「そうなれば、参院選というイベントが終わった安心感から買いに回った外国人投資家が離れていく。市場は、いきなりハシゴを外される恐れがあります。それに、中国のシャドー・バンキング問題はくすぶったままで、いつ“破裂”するか分からない。日本経済どころか、世界経済が激震に見舞われる懸念が高まっている状況です。要するに国内外に問題をはらんでいるわけで、いつ株価が暴落しても不思議はないのです」(黒岩泰氏=前出)
安倍圧勝は株価暴落の“序章”なのだ。
◆野党勢力は再建できずに消えていく
巨大与党が誕生し、「その他大勢」の野党はドングリの背比べ。このままでは、自公政権に対峙し得る勢力が国会から消えてしまう。
「野党勢力はもう壊滅的です。ある時期に安倍首相は憲法改正を仕掛けてくる。そうなったら、野党は割れる。特に民主党は、松下政経塾を中心とした改憲派と、旧社会党などの護憲派で真っ二つになります。政界は、急進的な保守Aと穏健派の保守Bとのせめぎ合いになり、護憲勢力はますます後退。民主党の内部崩壊で、野党全体が液状化していくでしょう」(浅川博忠氏=前出)
絶望的な展望だ。ただでさえ弱小化している野党が、さらに分裂してどうするのか。
日本維新の会の橋下共同代表は、「次の衆院選までに野党がひとつにまとまらないと国のためにならない」とか言っているが、維新が自公政権に対抗する野党だとは誰も思っちゃいない。慰安婦発言で分かるように、橋下と安倍は考え方がソックリ。単なる右翼だ。
「東西で内部対立している維新の会は、安倍首相が憲法改正を言い出せば、それが求心力になってまとまります。協力を解消したみんなの党とも、改憲を触媒にして結びつく。つまり、維新もみんなも、安倍政権に寄っていくことになる。巨大与党がますます肥大化し、分断された野党は雲散霧消に向かう構図です」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
すでに衆院は自公で3分の2超だし、参院も自公プラス維新、みんなで3分の2になった。公明が改憲に反対する可能性もあるが、それに代わって民主党の改憲派がくっつけば盤石。野党再建どころの話じゃないのだ。
「生活の小沢代表は、3年後の衆参ダブル選までに再び政権交代可能な野党勢力を結集しなければならないと言っている。そうならなければ、日本は終わりです。でも、現実は厳しい。今の政界には、野党をまとめ上げることのできる剛腕がいないからです」(山田厚俊氏=前出)
小沢が力をそがれ、日本の民主主義は終わってしまった。
◆東京選挙区当選者 共産3位山本4位が意味するもの
東京選挙区は投票箱が閉まった直後に自民・丸川珠代(42)と公明・山口那津男(61)に当確が出た。ここまでは予想された通りだが、驚いたのはその先だ。自民・武見敬三(61)を差し置いて、共産・吉良佳子(30)と無所属・山本太郎(38)の当選が先に決まったのである。民主は土壇場の一本化失敗が尾を引き、結党以来の議席を失った。
「非自民の受け皿は本来なら民主ですが、いまやどこに向かって何をやりたいのか見えず政党の体をなしていない。維新は憲法改正で右傾化し、その維新と組むはずだったみんなは、途中で選挙協力を解消した。野党がフラフラする中で、一貫してブレない共産と反原発のワンイシューで戦った山本氏に票が集まったのです」(ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
野党が候補者乱立で潰し合った結果、東京の有権者は共産と山本を選んだのだが、この極端な選択から読み取れるのは政治の機能停止である。
共産が自公政権を脅かすことはないし、タレント候補の山本は政治のド素人だ。数がすべての国会に「たったひとり」では、委員会で質問すらできない。有権者は無能野党に対するうっぷん晴らしで、山本に一票を投じたようなものだ。
「普通なら通らない候補が当選してしまうような政治は、決して好ましいものではありません。主義主張のある政治家が最大公約数の政策の下に集まってできるのが政党であり、政党が議会の場で議論するのが政党政治。その仕組みから外れたアウトローが当選するというのは、有権者の野党に対する絶望感が極限にまで達しているからでしょう。政治は死んだも同然です」(政治評論家・野上忠興氏)
東京選挙区でこれじゃあ、世も末だ。
◆民主政治を崩壊させた菅、野田らの”反小沢派”の罪は死刑に値する
壊滅的な大惨敗を喫した民主党。31ある1人区は全滅。複数区でも次々に現職議員が落選し、選挙結果はわずか17議席。深刻なのは、東京と大阪でも議席を取れなかったことだ。大都市で有権者の支持を得られなくなったら、民主党はもう終わりだ。旧社会党も、東京で議席を失ってから、衰退が加速化したのである。
「ここまで大敗したら、どんな政党でもトップの責任問題が浮上し、代表は辞任を表明するのが当たり前です。でも、細野幹事長は辞意を表明したが、海江田代表は続投するつもりです。党内からも、責任を問う声はほとんど上がらない。誰も責任を取らず、誰も火中の栗を拾おうとしないからです。衰退していく組織の典型です」(民主党関係者)
ほんの4年前、国民から圧倒的な支持を得て政権交代を果たしたのが、嘘のようだ。
それもこれも、菅直人や野田佳彦といった“反小沢一派”のせいだ。小沢一郎を排除してから、民主党はおかしくなった。
「小沢一郎は最後まで消費税アップとTPPに反対し、脱原発を訴えていた。“国民の生活が第一”という民主党の理念を貫こうとしたのに、官僚に操られた“反小沢一派”は、一番民主党らしい小沢を排除し、アイデンティティーを失ってしまった。民主党を応援した国民ほど、民主党に怒っている。今度の選挙で、その恨みの凄さが改めて裏付けられました」(本澤二郎氏=前出)
民主党を破壊した菅直人や野田佳彦、岡田克也らは、万死に値する。もう一度、岡田克也なんかが出てきたら、次は議席ゼロである。
◆「美しい国」「観光立国」「安心安全」などのアピールは一体何を隠すためなのか
原発、消費税などの重要課題が争点化するのを最後まで避け続けた安倍政権は、その一方で美辞麗句を並べて、国民に甘い期待を抱かせ、票をゴソッと持っていった。
たとえば「世界一安全・安心な国を創りあげる」。原発再稼働の政府が「よく言う」が、これは「国土強靭化」という名の公共事業バラマキだ。
選挙前に投入した予算は10兆円にのぼり、そのカネがドサッとゼネコンに流れ、政官財の癒着が完全復活したのである。
原発にしたってそうだ。安倍は福島での第一声で「自民党は安全神話に寄りかかり、原発政策を推進してきた。深刻に反省しなければならない」と殊勝なことを言ったが、成長戦略の柱が「インフラシステム輸出」で、その中心が原発なのだ。
大企業が群がろうとしている“メシの種”を、財界ベッタリの安倍政権が取り上げられるわけがない。
そして、極め付きが「美しい国、日本」である。
言葉の聞こえはいいが、安倍が美しい国創りで掲げているのは、改憲、教育再生、主張する外交だ。ウルトラ右翼のタカ派的政策を「美しい国」でカムフラージュしているだけである。
「安倍首相は前政権での失敗で、本音と建前を使い分ける大切さを学んだのだと思います。正面から『戦後レジームからの脱却』を訴えても、国民に拒否されるのがオチ。だから『美しい国』としか言わないのでしょうが、その裏には危険な政策が隠されている。有権者はそれを忘れて投票しているのです」(九大名誉教授・斎藤文男氏=憲法) 今回の公約に掲げた「観光立国としての取り組み強化」にしたって、裏にはカジノ利権とそれに群がる有象無象の勢力がある。この政権がフリーハンドを得たことが恐ろしい。
◆この国の選挙民の大多数は知性なしの未開国の現実
欧米の先進国では、今回のような選挙結果はあり得ない。ひとつの政党が圧倒的多数を占めれば、少数派の声はかき消されてしまうからだ。独裁の危険性を排除し、民主主義を守るには、多様な意見を吸い上げられるような体制と数が必要なのだ。
「だから米国も、上院と下院でねじれているのです。
民主主義は本来、与野党が拮抗するもの。メディアも知識人も、民主主義のバランスを考えて行動する。それなのに日本の有権者は、衆院選でも参院選でも自民党を勝たせた。世界のインテリはショックを受けるでしょうね。本当に民主主義の国なのか、と疑われます。しかも安倍首相はこの時代に国防軍構想を掲げ、軍拡一直線で中韓を挑発している。そんな危険思想の持ち主を国民は圧倒的に支持した。不気味に思わない国はありません」(小林弥六氏=前出)
知性のなさは、支離滅裂な投票パターンにも表れている。世論調査をやれば、原発再稼働や改憲、増税、TPPは反対が多数派だ。
「安倍が進めようとしている政策は、世論と正反対の棄民政策、人殺し政策です。例えば、消費税引き上げは自殺者を増やします。5%になったときもそうでしたが、10%になれば5万人を超える恐れもある。支持されないのは当然です」(木村朗氏=前出)
それでも投票所に足を運べば、催眠術にでもかけられたかのように自民党に票を投じた。
「いまの日本は戦争に突入したときと同じ。冷静に合理的に考えれば破滅の道と分かるはずなのに、空気に流され、国全体がひとつの方向に流れています」(小林弥六氏=前出)
ムードや雰囲気で動けば、論理的、合理的な説明はできない。現代的な知性に欠ける未開国と同じだ。
◆選挙前から自公大勝煽ったメディアは、この選挙結果に万々歳だろう
自公の大勝は、あざとい自公が「ねじれ解消」を争点にした結果だ。
大メディアは与党の言いなりで、連日、「争点はねじれ」と書いて、“協力”してやった。これじゃあ、安倍は楽チンだ。
アベノミクスの危険性、増税の時期、原発再稼働の是非など、争点はいくらでもあった。メディアと野党がそれらを指摘、突きつけなければいけないのに、御用メディアと無能野党が安倍を助けてやったわけだ。
「“ねじれを解消して政治を安定させて欲しい”と訴えていた安倍政権は安定して何をやりたかったのか。それすら明らかにしていないのです。この発想は憲法96条改正に通じる。憲法のどこを変えるかを言わないで、改憲のハードルだけ下げてくれ、というロジックです。メディアは批判すべきなのに、一緒に争点隠しをしたのです」(ジャーナリスト・高野孟氏)
そんな大メディアだから、自公圧勝にバンバンザイなのだろう。そもそも、この国の大メディアは先の政権交代前夜から検察リークに乗っかり、ありもしない小沢疑惑を大々的に書きたて、小沢をガンジガラメにして、民主党を分裂に持っていった。自民党別動隊みたいなものだ。それが今回は、露骨に本性暴露である。
「そもそも、ねじれは悪いことなのか。衆参の意見が同じであれば参院は不要になってしまう。それなのに、大メディアは与党の論法をそのまま流しただけでなく、尖閣諸島や北朝鮮の緊張を書きたて、決められる政治の必要性を煽(あお)った。そんな大メディアのトップは定期的に安倍首相と会食をしている。こんな癒着は外国では考えられませんよ。そうした会合で何が話し合われているのか。疑いだせばきりがありません」(法大名誉教授・須藤春夫氏=メディア論)
この国の大メディアもまた、民主主義の敵なのだ。
◆こんな低投票率と1票の格差のままでも選挙は有効なのか
今回の参院選は投票率のあまりの低さにも愕然(がくぜん)とさせられた。52・61%は前回の57・92%から5・31ポイント減。過去最低だった1995年の44・52%を上回ったが、戦後3番目の低投票率である。青森(46・25%)、岡山(48・88%)、千葉(49・22%)と、50%割れの選挙区も続出した。
有権者の半数近くが棄権した選挙なんて、「有効なのか?」と言いたくなるが、それでも圧勝した安倍のうれしそうだったこと。バラで埋め尽くされたボードの前で、「たくさんの国民に大きな声をもらった」と満面の笑みで語っていた。
「ほぼ半数の有権者が国政選挙を棄権するとは、国会の権威や国政の信頼を危うくする深刻な事態です。これだけ大量の有権者が投票所に足を運ばなかったのはなぜなのか。有権者の4分の1以下の支持しか得ていない政党が、『国民に大きな声をもらった』なんて冗談じゃありません」(政治評論家・森田実氏)
有権者の半数が棄権した選挙で、自民が今回取った比例票は約1800万票。得票率は約35%だ。つまり全有権者の18%程度の支持しか得ていない。前回の1400万票と比較しても、そんなに得票数は増えていないのに議席は14も増えた。低投票率のおかげだ。
1票の格差だって依然として開いたままだ。議員1人あたりの有権者数が最多の北海道と、最少の鳥取との格差は4・77倍。北海道の有権者の1票の価値は鳥取の0・21票分しかない。最高裁に「違憲」判決を食らった前回の5倍から、ほぼ変化なし。きょう(22日)にも東京の弁護士グループが、史上初めて全選挙区を対象に選挙無効を求める訴訟を起こす予定だ。
“インチキ選挙”で高笑いをしているのは、メディアをコントロールし、国民をダマして、シラケさせた自公である。
◆悪質劣悪な政党や政治家がはびこり、99%の庶民は貧乏を強いられる
それにしても、国民は最悪の選択をしてしまった。大マスコミの謀略に乗せられ、まんまと自民党に衆参で圧倒的多数を与えてしまったのだから、どうしようもない。
これで安倍政権はやりたい放題。“政官財癒着”による利権政治も完全復活するだろう。当選した自民党候補には、官僚OBなどの族議員がズラリと並んでいる。参院選後「大型予算を組め」「公共事業を増やせ」と騒ぐのは目に見えている。
すでに自民党は、ゼネコンの業界団体「日本建設業連合会」に4億7100万円もの献金を要請している。この先、3年間は国政選挙がないから、遠慮なく利権を漁ってくるだろう。
もはや、庶民のための政治を期待するのは絶望的だ。国民は消費税アップなどの負担増を押しつけられるだけである。
森田実氏(前出)はこう言った。
「野党が無力化し、歯止めを失った権力は必ず暴走します。国民から負託された権力を自分たちや、その仲間、つまり、1%の富める者だけに使い、99%の庶民の暮らしは置き去りにする政治になる。安倍政治の行き着く先には、アメリカ型の貧困社会に戦前回帰の国家主義がゴチャ混ぜとなったイビツな姿が見えます。『衆参ねじれ』という健全な民主主義の最後の砦(とりで)を失ったダメージは計り知れません」
09年総選挙で「政権交代」が起き、やっと国民のための政治が行われると期待された。しかし、すべて元のもくあみである。今度の選挙で有権者が失ったものは、とてつもなく大きい。
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