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2013/7/20 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
選挙直前予想は絶対的なのか
あす(21日)投票日を迎える参院選。序盤からの「自民圧勝」予想は直前になっても変わらず、自公で過半数は確実、安定多数にも届く情勢だ。新聞各社も「もう結果は見えた」と報じている。
選挙予想に定評のある政治評論家やジャーナリストに、各党の獲得議席がどうなりそうか聞いてみたのが別表だ。
「自民党は沖縄では追いつけない。大接戦の岩手も苦しい。比例は最大20議席でしょう。公明は選挙区4人の全員当選が堅い。比例は前回を1つ上回って7議席。民主党は16ある複数区で必勝を目指してきましたが、埼玉と兵庫はムリ。選挙区は最大でも14議席です。比例は6〜7。みんなは埼玉、神奈川で議席が取れそうで、愛知も可能性がある。維新は大阪と兵庫だけです。諸派は沖縄の糸数氏。無所属は、東京の山本太郎氏と岩手の平野元復興相に当選の可能性があります」(野上忠興氏)
鈴木哲夫氏は自民党が単独で70議席に乗せることもあり得ると予想した。
「自民は比例で22〜23議席まで伸びるのではないか。一方で民主は厳しく、選挙区で10議席、比例は6〜7とみています。反自民票の受け皿になっている共産党は、東京や大阪など選挙区で4議席程度取れそうです。生活は新潟で可能性が出ています」
本紙予想でも現時点では自公過半数を崩すのは難しいという結果になった。
これでは、反自民、反安倍の有権者は無力感でいっぱい。「もう棄権してしまおう」と考えているかもしれない。
だが、スンナリ与党に多数を与えてしまって本当にいいのか。衆参のねじれ解消で、今まで以上に自公のやりたい放題の政治になってしまう。
原発再稼働もTPPも憲法改正も消費増税も、選挙中はほとんど話題にしなかったくせに、自公圧勝で「民意の支持を得た」とドンドン進めるに決まっている。
まだ遅くない。4割が投票先を決めていないのだ。反自民の有権者の投票行動で、事態は変えられる。投票率が上がれば、今回はみんなや共産が伸びるとみられている。組織政党の自公を不利にするには、各選挙区で次点につけている野党候補に投票すればいい。高投票率なら相対的に自公の比例での議席も減るのだ。
有権者が行動しなければ、狂気の安倍政治が続いてしまう。
◆経済はバブル化し格差拡大となるのか
自民党に一票を投じるつもりの有権者は、「アベノミクスで景気が良くなるかもしれない」と期待しているのかもしれないが、甘すぎる。
たしかに、高級時計がバカ売れし、首都圏の億ションも売れはじめている。なにしろ、日本銀行は供給するマネーの量を2年間で2倍にするというのだから、有り余った資金が株や不動産に流れ込み、高騰させておかしくない。
しかし、局地的なバブルを発生させるだけで、庶民の暮らしが良くなることは絶対にない。貧富の差を拡大させるだけだ。
「アベノミクスの正体は、“逆”再分配政策だ」と、筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)は、こう言う。
「安倍首相の経済政策は、要するに、強い者をより強くする政策です。グローバルな大企業を徹底的に優遇するつもりです。法人税を下げるだけじゃない。人件費の負担を軽くするために“限定正社員制度”も導入する方針。限定正社員の人件費は正社員の2割安だから、企業の利益は一気に増える。企業業績が上向けば、役員報酬も、株式配当も、株価も上がる。富裕層はさらに豊かになるというカラクリです。しかし、株も不動産も買えない庶民には恩恵はない。大企業のために低賃金を強いられるだけです」
安倍政権のスタートから7カ月が過ぎたが、株は上がっても、国民の暮らしはまったく良くなっていない。労働者の所得は毎月、下がっている。昨年11月から約1万円もダウンしているのだ。
安倍首相は参院選で圧勝したら、さらに“カネ持ち優遇”を強めるつもりだ。有権者は本当にそんな社会を望んでいるのか。
◆その後景気経済は破滅へ向かうのか
もし、参院選で自民党を圧勝させたら、日本経済は急降下する可能性が高い。すでにアベノミクスによる弊害がジワジワと表に出ているが、来年以降、一気に噴き出す恐れが強いからだ。
「給料が上がらないのに、モノの値段だけが上がり、庶民の生活は苦しくなっています。でも、それ以上に苦しんでいるのは、中小企業です。多くの中小企業は“円安”によって原材料の価格が高騰しているのに、製品に転嫁できないでいる。値上げしたら売れないから、自分たちでかぶっている。このままでは、いずれ限界になり人件費を削減せざるを得ない。企業がリストラすれば、さらに景気を悪化させてしまいます」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
最悪なのは、来年4月から消費税がアップされることだ。日本経済にトドメを刺しかねない。
「消費増税が消費を冷やすことは間違いありません。景気を回復させるには、GDPの6割を占める個人消費を活発にさせるしかない。なのに安倍首相は、肝心の成長戦略も示さず、消費税をアップさせて消費を落ち込ませるつもりだから、どうかしています。デフレ脱却どころか、底無し不況にはまり込む恐れがあります」(荻原博子氏=前出)
しかも、安倍首相はTPPにも参加するつもりだ。TPPに参加したら、地方経済は壊滅的な打撃を受けるだろう。
自民党を支持している国民は、どこまで分かっているのか。
◆「原発再稼動」福島は見捨てられる
安倍自民党が圧勝すれば、国民の半数以上が反対する原発再稼働もなし崩しだ。福島原発事故では、今も約15万人が避難している。東京女子大名誉教授の広瀬弘忠氏(災害心理学)らが全国1200人に福島原発の現状を聞くと、実に94%が「収束していない」と答えたという。
それでも安倍政権はお構いなし。参院選の公約でも「再稼働について、地元自治体の理解が得られるよう最大限の努力をする」と前のめりだ。
すでに8日に原子力規制委が新規制基準を施行すると、待ってましたとばかりに、4電力が6原発12基の再稼働を申請。東電も柏崎刈羽原発の再稼働を申請する方針を固めている。
「新基準は事故発生時に放射能をベントで大気中に放出することが前提だし、立地地域の避難計画がなくても“安全”のお墨付きを与える仕組みです。安倍政権は国民の安全より再稼働優先。電力会社の経営の方が大事なのでしょう」(ジャーナリスト・横田一氏)
一方で、原発事故の非難住民は置き去りだ。6月末に除染作業を終了させた福島県田村市は、国が目標としていた「年1ミリシーベルト以下」を達成していない地点がほとんど。田村市は国の責任で除染するとした原発から20キロ圏内の旧警戒区域だ。
「政府側は、目標に届かなくても帰還できるの一点張り。そのうえ、『希望者には新型の線量計を渡すので自分で判断してほしい』と、帰りたければ自己責任でどうぞと言わんばかりの姿勢です」(避難住民の一人)
自民党は「除染の加速」を公約に掲げるが、「加速」のための手抜き除染など避難住民は求めていない。手抜き除染に開き直り、汚染水たれ流しで漁場は荒れるばかり。収束どころか、被害は拡大の一途なのに、安倍は福島を見捨てる気か。
安倍をツケ上がらせれば「命よりカネ」の政治に拍車が掛かるだけ。除染や復興は“カネ食い虫”として切り捨てられてしまう。
◆「憲法改正」で人権尊重言論の自由はなくなる
自民党が目指す「憲法改正」は、自由のない監視国家に結びつく。石破幹事長は街頭で、「われわれは暴走族ではない」「多数を取ったからといって暴走しない」と強調。注射を怖がる子どもを「痛くないよ」とあやすように振る舞うが、針が刺されれば騙(だま)されたことを知る。そうなってからでは遅いのだ。
立正大教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「自民党の憲法改正草案を読むと、『基本的人権は永久の権利』とか『一切の表現の自由は保障する』とか書かれています。ただ、すべて『公益及び公の秩序に反してはならない』と制限されている。思想や宗教、政治的な権利も、その範囲でしか認めないというわけです。では、『公益や公の秩序』とは何なのか。それは、時の政権が決めるものです。権力者が『公益に反する』と判断すれば、会合は開けないし、出版もできない。警察が“弁士中止”と叫んで集会を解散させた戦前戦中と同じです。公益にかなうかどうかをチェックするために劇場、寄席、シンポジウムなど、あらゆる場所に警官が立ち会うようになるでしょう。行動が監視され、“秩序違反”となれば逮捕される。そんな世の中になるのです」
反原発デモなんて一発でアウトだ。再稼働推進の自民党に反対すれば、次々に檻(おり)の中にぶち込まれる。ツイッターやブログで政権批判をすることもできない。暗くて息苦しくて寒々しい世の中になるのである。
◆古い日本に戻すことに有権者は賛成するのか
自民党は「日本を取り戻す」と言っている。この「日本」とは「古い日本」だ。戦前の日本である。
「大日本帝国憲法は、あらゆる自由を“法律の範囲内で”と制限しました。自民党の憲法改正草案も同じです。“公と公益の秩序に反してはならない”とただし書きをつけ、人権や思想信条の自由を認めている。しかも、天皇は象徴ではなく元首という位置付け。だとすれば、天皇制を批判すれば不敬罪となる。また、国防軍を批判するのも、“反軍思想”で秩序に反すると断罪されかねない」(金子勝氏=前出)
石破幹事長はテレビ番組で、「軍法会議」に言及し、国防軍の命令に従わなければ、「最高刑に死刑がある国なら死刑」と言っている。欧米で基本的人権として認知され始めている「良心的兵役拒否」を真っ向から否定し、背中に鉄砲を突き付けて「命を落とせ」と命じるわけだ。神風特攻隊の悲劇も繰り返されることになる。
徴兵制も復活だ。わざわざ憲法に「国は主権と独立を守るため、国民と協力し」という文言を加え、「いかなる奴隷的拘束も受けない」という条文を削除する。徴兵制の歯止めを取り払う構えだ。赤紙一枚で戦争に駆り出され、拒めば死刑。そんな「古い日本」に戻そうという自民党の考えに賛成する有権者は、ほんのひと握りだろう。
◆米中接近が鮮明の中でファッショ化する安倍政権は世界で孤立する
安倍政権の継続は、世界を敵に回す愚挙だ。東アジアでは中国、韓国を敵に回しているし、頼みの米国も距離を置く。安倍の右翼思想と握ろうという国は、地球上に存在しない。
法大教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「安倍首相の安全保障、外交政策は時代錯誤。他国との摩擦を生じ、日本の孤立を深めていくものです。いくら選挙向けのポーズとはいえ、沖縄の石垣や宮古に足を運び、必要以上に中国を刺激しました。こうした行動は、日中関係だけでなく、日米関係も悪化させます。米国は中国を警戒しているが、極東で包囲網を敷く考えはない。両国は以前よりも接近しているのです。安倍政権にも、再三再四、“中国を刺激するな”と伝えてきている。それでも安倍首相は、右翼支持者に訴えるパフォーマンスを続けているのです」
もともとオバマは安倍を警戒し、敬遠している。2月の日米首脳会談は、「迎えなし」「晩餐会なし」「共同会見なし」という異例の“3なし”だった。サミットでも日本側のラブコールを拒否。立ち話程度であしらっている。
キャンベル前米国務次官補は先日、日本記者クラブでの会見で、6月の米中首脳会談の際、日本の右傾化を批判する習近平にオバマが「ここまでにしよう」と言っていたことを明かした。安倍政権の悪口で、かなり盛り上がったようだ。
「日米関係を悪化させ、極東情勢を不安定化させている張本人が安倍首相です。日米関係は、民主党政権時代よりも悪化している」(五十嵐仁氏=前出)
議員を辞めても批判が止まらない鳩山元首相以下ということだ。
◆投票前日、安倍政権の危険度はいよいよ明らかになっている
勝利を確信している安倍は、「9条を改正する」「これが正しい姿」とか言って、本性をむき出しにしてきた。アベノミクスだって百害あって一利なしだ。景気は回復しないし、格差も広がる。優遇されるのは金持ちだけで、地方は切り捨てられる運命だ。
自民党に投票する有権者は、そんな日本を望んでいるのか。もう少し冷静になって考えた方がいい。
「選挙によって衆参のねじれは解消されるのかもしれません。でも、国会と民意のねじれはさらに大きくなる。改憲にしても、漠然とした賛成派はいるが、具体像が明らかになっていけば、支持は広がらないはずです」(五十嵐仁氏=前出)
自公政権の暴走を止められるかどうかに、日本の未来がかかっているのだ。
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