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2013年7月19日 郷原信郎が斬る
官僚主導からの脱却を掲げて政権交代を果たした民主党政権を「財務省ベッタリ」に変質させ、陸山会事件捜査での検察権力による不当な政治介入に対しても何らの措置もとらず、「小沢派対反小沢派」の党内抗争を一層激化させるなどして、民主党政権崩壊の最大の戦犯となった菅元首相が、いまさら何をクダラナイことをやってるんだろうか、と思っただけで、殆ど関心もなかったが、早川忠孝弁護士のブログで、菅元総理の訴訟提起についてそろそろ郷原氏のコメントを聞いてみたいなどと わざわざ「ご指名」を受けたので、菅氏がいったい何を提訴したのか、それに関して、どういうことを言っているのか、少し確認してみた。その結果、菅氏の「魂胆」らしきものが見えてきたように思えたので、その点について、簡単に書いてみることにしよう。
http://blogos.com/article/66502/
仮に、安倍首相のメルマガの内容に事実に反する部分があったとしても、そもそも、東日本大震災、福島原発事故への対応もパフォーマンスに終始し、数々の失態を犯した菅元首相に、その際の対応に関して守られるべき「社会的名誉」がどれだけあるのか疑問であるし、2年以上も経った現時点で、名誉棄損で民事提訴自体、特に意義があることとは思えない。
そういう受け止め方は、多くの国民も同様だと思うし、この時期に民事提訴することが、参議院議員選挙を控えた時期の安倍首相や自民党に対して格別不利になるとも思えない。
それでも敢えて、この時期に民事提訴した目的は、菅氏が、オフィシャルブログに、7月13日付で【ネット選挙解禁で、虚偽事項をネット上で選挙期間中に公表した場合、許されるのか検討している】などと書いていることと関係しているように思える。
http://ameblo.jp/n-kan-blog/entry-11571157184.html
このブログで菅氏は、「落選させるために相手候補が犯してもいないのに社会的に大きな悪影響を及ぼすような大間違いを犯したとウソの情報を流せばこれにあたる。参院比例選では党名投票が可能で、党が候補者と考えられるので相手党の落選者の増大を図るために党首や党首経験者に関して虚偽の事項を公表した場合もこれにあたると考えられる。安倍総理は参院選の選挙期間に入ってからも虚偽情報を載せた2011年5月20日付のメルマガをネット上で公表し続けている」などと述べ、安倍首相について、公職選挙法135条2項の虚偽事項公表罪が成立するかのように言っている。
その2日前のブログで、同じ問題について「ネット選挙が解禁された中で、ネットを利用して嘘の情報を選挙開始前に流しておいて、それを訂正しないという事は選挙の公平性からも許されない行為だ」と述べていることから考えると、民事提訴しているのは2年余り前のメルマガ記事だが、それが、選挙期間中も掲載されているということをもって、「公表」ととらえようとしているのではないか。
しかし、このメルマガ記事が出されたのは2年以上前だ。それが削除されずにネットに掲載されているだけなのに、今回の参議院選挙に関して「公表」したというのは、さすがに無理がある。そこで、自分の方から、その記事について名誉棄損で提訴して、そのような記事が掲載され続けていることを世の中に広く知らしめて、安倍首相にその削除を求め、「削除しない不作為」を「公表」と同視できるとして、選挙後に、公職選挙法違反で検察庁に安倍首相を告発する、というのが、今回の民事提訴の目的なのではないだろうか。
もちろん、仮に、安倍首相のメルマガ記事に虚偽事項が含まれていて、今回の提訴騒ぎを受けてもなお削除しなかったことを、無理やり「公表」ととらえることができたとしても、そもそも、菅氏が言うところの、「党名投票が可能で、党が候補者と考えられる」というのは公職選挙法の解釈としては無理である。参議院選挙の候補者は、比例区であっても、候補者個人であり、その当落を決める方法に関して、政党への投票が認められるだけである。政党が「候補者」になるのではない。
しかし、もし、このような事実で安倍首相が公職選挙法違反で告発された場合、告発を受けて捜査し、処分を決めるのは検察庁である。検察庁も行政組織の一つであり、検事総長に対する法務大臣の指揮権などを通して、検察の権限の行使に対して最終的に責任を負うのは内閣である。その内閣の長の刑事事件について検察庁が処分を行うということになれば、それが当然の処分であっても、憲法75条で「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。」とされていることにも関連づけて、いろいろ難癖をつけることが可能だ。
しかも、検察庁で不起訴処分が行われても、それに対しては、検察審査会への審査の申立てという手段がある。審査補助弁護士の誘導があれば、「党名投票が可能だから党が候補者になりうる」という理屈が法律上は通らないことが素人の審査員には理解されず、「検察だけで決めるべきではない。裁判で決着をつけるべき」という判断が行われる可能性も全くないとは言えない。
それと同じようなことは、まさに菅首相時代の民主党政権の間に起きていた。
鳩山首相辞任、菅首相誕生の大きな要因になったのが、鳩山首相、小沢幹事長の「政治とカネ」問題であり、菅首相が参議院選挙惨敗の後の代表選挙で、小沢氏を破って首相の座を守った最大の原因が、「小沢氏は政治資金規正法違反で検察審査会の議決で強制起訴される可能性がある」という話だった。その際、もし、「小沢氏が代表選に勝利して首相になったら、検察審査会が起訴議決をしても、憲法75条の規定で起訴されないのではないか」というようなことも言われていた。
菅氏は、「政治とカネ」についての検察や検審をめぐる騒ぎがあったからこそ首相になり、その問題が継続していたからこそ、首相の座を守ることができたのである。そのことに、余程味をしめたのであろうか。
もし、菅氏の今回の安倍首相に対する提訴が、同じような司法の政治利用を狙って行われたのだとすれば、もういい加減にしてもらいたい。
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