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「農と島のありんくりん」から
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-a9b6.html
さぁ、いよいよTPP交渉の全貌がその姿を私たちの前に現します。
「18回目の交渉会合が、15日から25日までの日程でマレーシアで開かれます。日本は終盤の23日午後から初めて交渉に参加できる見通しで、関税の撤廃や知的財産のルール作りなどを巡って主張を説明するとともに、交渉全体の把握を急ぐことにしています。
18回目となるTPPの交渉会合は、アメリカやオーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなど11か国が参加して、マレーシアのコタキナバルで15日から始まります。」
(NHK7月15日 資料1参照)
各省から100名以上の大官僚団がマレーシアのコキタナバルに向ったようですが、今回は「交渉力」もへったくれもありません。
ただひたすら何が決まっているのか、どの程度の交渉の余地が残っているのかの情報採集するだけです。
しかもこの18回目会合すら、米国手続きが終わる23日午後まで参加を引き延ばされるという有り様で、最終日までやっと渡された1000頁を越えると言われるTPP資料の翻訳と分析で追われることになります。
さて内容的には、TPP反対派の国会議員にとって、受け入れがたい内容が目白押しなはずです。
たとえば、農産物の関税が話合われた「市場アクセス」の協議日程は、初日15日から5日間の日程で開かれ、日本が参加する23日午後には既に終了してしまっています。(資料2参照)
日本が参加できるのはちょうど終わったばかりの日というわけです。実にふざけた話で゛なんか仕組まれているんじゃないかと疑心暗鬼になりますね。
というのは、今回の会合は、「市場アクセス」「投資」「知的財産」などの分野に分けて行われており、我が国の関心事が「市場アクセス」にあることは明々白々だからです。
というか、関税に関心がない国などは貿易都市国家のシンガポールくらいなものじゃないでしょうか。
くそ、ハメられましたね。 協議には参加させてやるが、いちばんのキモの関税は終わっているぜ、というわけです。
ここでもし、砂糖や乳製品、コメといった重要5品目が関税ゼロと決まっていた場合、さぁどうします。 (自民党決議5重要品目6原則については資料4参照)
他の諸国から、「もう協議は終わっている。再交渉は原則として認めていない」と言われたら、どうします。
ここで林芳正農水大臣が今年3月31日に言ったように、「決まっているものにサインするだけならば、その場で席を立って帰ってくることだって視野に入れてやればいいわけで、しっかり交渉力を行使していかなければならない」(資料3参照)という態度を貫いてほしいものです。
林大臣はこうも述べています。
「TPPの22項目中2つしか妥結していない現状であって、そもそも去年11月をめどに終結のめどといいながらまったく進展していない。あと2回で交渉がまとまるわけがない。わが国が参加しても、すべてが決まっていることをサインだけして帰ってくることはありえない。」 (同)
まさにそのとおりです。あせって交渉する必要などまったくないのです。
日本はTPP参加国の大部分の国と経済連携協定(EPA)を結んでいます。つまりTPP参加国のほとんどの国と自由貿易枠組みは既に出来ているわけです。
ただ自由貿易協定予定がない国がふたつありました。それが米国とニュージーランド、豪州の3カ国です。カナタ、メキシコは米国とFTAを結べば、自動的にNAFTA(北米自由貿易協定)の枠内です。
つまり本来ならば、このEPAで残った米国とニュージーランド、豪州の3カ国間で個別に自由貿易協定を結んでしまえばいいのであって、なにもこんな11カ国などというご大層な枠組みを作る必要はありませんでした。
(下図参照 産経新聞12年11月21日)
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2013/07/16/photo.jpg
しかしわが国が3.11に遭遇してしまったためと、菅政権が言い出しっぺの民主党政権が例によって内部分裂を起こしたために、TPP交渉参加するのか否かの意思決定が大幅に遅れてしまいました。
その間に尖閣をめぐる中国との厳しい政治的緊張関係が生まれてしまったことで、経済問題だったはずのTPPに新たな安全保障上の課題が生じてしまい、日米同盟関係の強化のために米国主導のTPP枠組みに参加を余儀なくされてしまいました。
対中国との関係がなければ、わが国にとって経済的にはTPPなど本来どうでもよかったのです。
あくまでもTPPに日本を入れたいのはオバマ大統領のほうであり、わが国にとって利害はまったくといっていいほどありません。はっきり言って、鳩山政権が破壊した日米安保をカタに取られたのです。
ですから、わが国は「バスに乗り遅れる」ことなどまったく心配する必要はありません。
TPPというバスは、林大臣がいみじくも言ったとおり日本の「貸し切りバス」なのですから、納得がいくだけわが国の利害得失を並べ立てて、わが国をTPP交渉に招いたことがとんだ「失敗」だったと思わせたらいいのです。
「年内決着?あと2回?もう決まっている?なにが?TPP域内GDP24%を占める我が国がいないところで決まったことなど受諾できるはずがないだろう」、とふてぶてしく言ってのける面憎さが必要です。
(下図参照)
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2013/07/16/photo_2.jpg
そして、林大臣の言うとおり、今年9月どころかズルズルと3、4年先まで交渉をやって米国のみならず政府内の推進派の議員がうんざりするまで引っ張ってしまいましょう。延びて困るのは我が国ではありません。先行諸国なのですから。
林大臣にはぜひこのようなタフネゴシエーターになって頂きたいものです。
この関税で躓くようでは、あとの知的所有権、食品表示、遺伝子組み替え、医療保険にしても総崩れとなります。
ところで、なんの冗談なのか参院選終了してから、私たち国民はTPPの「秘密」を知ることになります。
この日程が逆で、せめて28日投票だったら、内容がわかってからの投票ができたのですが。ひょっとして、そこまで計算に入れたのかな・・・?
しかし、逆に考えればまだ投票まで5日あると思いましょう。
各選挙区の、特に自民党の立候補者にもし関税ゼロが既に決定していたならば、決然としてTPPから離脱するか、林大臣が示したような遅滞戦略をとるという約束を確認してください。
ここでもし、ふがふがと「自由貿易は大事だから」と言うようなら、そんな奴に投票することは止めて下さい。必ず日和ます。
日本はこれらTPP加盟諸国の中でも群を抜いて貿易自由化度が高く、5品目などは残された最後の砦にすぎないからです。
それにしても菅氏はかつて、日本のことを「貿易鎖国だ」と言っていましたね。この最悪の馬鹿がTPPを呼び込んだのです。
事ここに至っては、党がどうのというより議員ひとりひとりの意志の問題です。状況次第では、今回選出の議員が、国会承認の票を投じることになるからです。
まだ私たち国民は一票という強力なカードを持っています。それを有効に使われんことを。
■資料1 TPP交渉 日本が初めて参加へ
NHK7月15日
TPP=環太平洋パートナーシップ協定の18回目の交渉会合が、15日から25日までの日程でマレーシアで開かれます。日本は終盤の23日午後から初めて交渉に参加できる見通しで、関税の撤廃や知的財産のルール作りなどを巡って主張を説明するとともに、交渉全体の把握を急ぐことにしています。
18回目となるTPPの交渉会合は、アメリカやオーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなど11か国が参加して、マレーシアのコタキナバルで15日から始まります。
今回の会合は25日まで開かれる予定で、日本は、アメリカの国内手続きが終了する23日午後から初めて交渉に参加できる見通しです。
交渉は21の分野で行われていて、参加国の発表などによりますと、これまでに「電気通信」など一部の協議はおおむね終了し、食品の安全基準などを定める「衛生植物検疫」などの分野も話し合いはすでに大幅に進展しているということです。一方で、「関税の撤廃」や「知的財産」、「環境」といった分野は、各国の利害が対立し協議が難航しているということです。
参加国は、年内の合意を目指して交渉を加速させるとしており、今回の会合に終盤から参加することになる日本は、関税の撤廃や知的財産のルール作りなどを巡って主張を説明するとともに、交渉全体の把握を急ぐことにしています。
TPP交渉の焦点
交渉に参加しているオーストラリアなど農畜産物の輸出国からは、コメや牛肉などについて、関税を撤廃するよう求められることが予想され、日本として対応を迫られることになります。
一方で、日本は、自動車など工業製品の関税撤廃で輸出の拡大を目指していますが、アメリカなどからは反発が予想されています。
また、TPPでは幅広いルール作りも議論されていて、知的財産や投資などについて日本は透明性の高いルールをまとめ、企業の海外進出につなげたい考えです。
3年前に始まった交渉はこれまで17回行われ、21分野のうち、一部の分野の交渉はおおむね終了しているとみられます。参加国は年内の合意を目指して交渉を進めていて、遅れて参加する日本にとっては、今後、みずからの主張をいかに展開していくか、高い交渉力が求められることになります。
■資料2 日本、関税撤廃協議に間に合わず TPPマレーシア会合
共同通信 7月11日
マレーシアで15〜25日に開かれる環太平洋連携協定(TPP)交渉会合で、日本の合流が、工業品や農産品の関税撤廃を扱う「市場アクセス」分野の協議に間に合わないことが11日、政府関係者への取材で分かった。合流する見通しの23日午後の段階で「市場アクセス」の協議日程が終わっているためだ。
日本は初めて臨む交渉会合で、最大の焦点である関税撤廃の議論に加わることができない。参加の出遅れが実際の交渉に大きく響く形となった。
交渉会合は「市場アクセス」「投資」「知的財産」など分野別に日程を振り分けて議論を進める。「市場アクセス」は15日から5日間程度議論されるという。
■資料3 TPP、年内妥結にこだわらず NHK番組で林農相
共同通信 3月31日
林芳正農相は31日のNHK番組で、環太平洋連携協定(TPP)交渉で米国などが年内の合意を目指していることに関して「スケジュールに合わせなければいけないという意識が強すぎる。国益が満たされない場合、もう少し議論しようと主張していい」と述べ、日本としては年内妥結にこだわらず交渉に取り組む考えを示した。
交渉で日本の主張が受け入れられない場合「その場で席を立って帰ることだって視野に入れてやればいい」と述べ、自民党が「聖域」とする重要品目が守れない場合、交渉脱退も辞さない姿勢を強調した。
■資料4 TPP交渉参加に関する決議
平成25年2月27日
自由民主党政務調査会
外交・経済連携調査会
TPPに関する自民調査会決議・全文
自民党外交・経済連携調査会が27日採択した「TPP交渉参加に関する決議」の全文は次の通り。
1、先の日米首脳会談を受けて、依然としてTPP交渉参加に対して慎重な意見が党内に多く上がっている。
2、政府は、交渉参加をするかどうか判断するに当たり、自民党における議論をしっかり受け止めるべきである。
3、その際、守り抜くべき国益を認知し、その上で仮に交渉参加の判断を行う場合は、それらの国益をどう守っていくのか、明確な方針を示すべきである。
4、守り抜くべき国益は別紙(TPPに関して守り抜きべき国益)の通り確認する。
◇TPPに関して守り抜くべき国益
▼政権公約に記された6項目関連
(1)農林水産品における関税=コメ、麦、牛肉、乳製品、砂糖等の農林水産物の重要品目が、引き続き再生産可能となるよう除外または再協議の対象となること
(2)自動車等の安全基準、環境基準、数値目標等=自動車における排ガス規制、安全基準認証、税制、軽自動車優遇等のわが国固有の安全基準、環境基準等を損なわないこと、および自由貿易の理念に反する工業製品の数値目標は受け入れないこと
(3)国民皆保険、公的薬価制度=公的な医療給付範囲を維持すること。医療機関経営への営利企業参入、混合診療の全面解禁を許さないこと。公的薬価算定の仕組みを改悪しないこと
(4)食の安全安心の基準=残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組み換え食品の表示義務、輸入原材料の原産地表示、BSE(牛海綿状脳症)基準等において、食の安全安心が損なわれないこと
(5)ISD(投資者・国家訴訟制度)条項=国の主権を損なうISD条項は合意しないこと
(6)政府調達・金融サービス業=政府調達および、かんぽ、郵貯、共済等の金融サービス等の在り方についてはわが国の特性を踏まえること
▼医薬品の特許権、著作権等=薬事政策の阻害につながる医薬品の特許権の保護強化や国際収支の悪化につながる著作権の保護強化等については合意しないこと
▼事務所開設規制、資格相互承認等=弁護士の事務所開設規制、医師・看護師・介護福祉士・エンジニア・建築家・公認会計士・税理士等の資格制度についてわが国の特性を踏まえること
▼漁業補助金等=漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること
▼メディア=放送事業における外資規制、新聞・雑誌・書籍の再販制度や宅配についてはわが国の特性を踏まえること
▼公営企業等と民間企業との競争条件=公営企業等と民間企業との競争条件については、JT・NTT・NHK・JRをはじめ、わが国の特性を踏まえること
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