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2013年07月20日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆安倍晋三首相は、「日本を、取り戻す」一点張りの演説を繰り返してきたけれど、日本は、「TPP参加」により「日本を、失う」ことが確実になってきている。というのは、第18回交渉会合が7月15日から25日の日程で、マレーシアのコタキナバルで開催されているのに、日本が初めて交渉に参加できるのは、米国の承認手続きが終わる23日午後(現地時間)からであり、米通商代表部(USTR)のフローマン代表が18日、オバマ政権の通商政策について下院歳入委員会で証言したなかで、TPP交渉への日本の参加問題をめぐり、「(まとまった交渉文書の)再交渉も、蒸し返すことも日本に認めない」と述べているからだ。つまり、日本が、最終日の25日までの3日間に基本的な立場を説明し、これまでの交渉状況の把握に努めても、先行参加している11か国(ベトナム、ブルネイ、ペルー、チリ、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、米国、カナダ、メキシコ)が、すでに大筋のことを合意しているのである。
◆日本の交渉団は100人規模で、政府以外でも自民党が西川公也TPP対策委員長らを現地に派遣するとして意気込んではいるものの、今回の会合を踏まえ、日本は8月下旬の開催とみられている次回会合でいかに具体的な提案をしたいと頑張っても、これまでに合意していることを覆すのは、無理と言う状況なのだ。
参加国は10月にインドネシアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた会合で「基本合意」するとしたうえで、年内の交渉妥結を目標に掲げて厳しい協議を進めており、交渉が難航して越年する可能性もあり得るとはいえ、結局のところ、日本は、大勢に従わざるを得ないのである。
読売新聞YOMIURIONLINEが7月19日午前1時54分、「日本に「再交渉、蒸し返し認めぬ」…TPPで米」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「【ワシントン=岡田章裕】米通商代表部(USTR)のフローマン代表は18日、オバマ政権の通商政策について下院歳入委員会で証言した。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への日本の参加問題を巡り、「(まとまった交渉文書の)再交渉も、蒸し返すことも日本に認めない」と述べ、日本が23日に正式参加しても交渉を遅らせない考えを強調した。年内に妥結するという目標も、『野心的だが、実現可能だ』と堅持する姿勢を示した。日本からコメなどの農産品で関税撤廃の例外を求める声が出ていることについて、『事前には、いかなる例外も認めていない。日本はすべての品目を交渉対象とすることに同意していることが重要だ』と指摘した」
こうなると、日本は、「コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物の重要5品目」を関税撤廃の対象から除外できず、日本がルール作りに関与することもできない。
◆安倍晋三首相はじめ与党自民党の首脳陣は、「国益に反するようなことになれば、いつでも交渉から脱退する」と力説して、農協などをバックにしている「TPP参加反対派」を説き伏せてきた。けれども、本音では、米通商代表部(USTR)のフローマン代表が「(まとまった交渉文書の)再交渉も、蒸し返すことも日本に認めない」と証言しているようなことは、鼻から承知していたのではないかと考えられる。
それは、参院議員選挙戦のなかで、安倍晋三首相らが、自民党にとってマイナスになることを極力「争点隠し」してきた姿勢、態度を見れば、一目瞭然であった。「争点隠し」したものの一つが、「TPP」であった。野党のなかでも生活の党の小沢一郎代表が、「TPP反対」を明確に示しているにもかかわらず、安倍晋三首相はじめ与党自民党の首脳陣らは、これに対して応酬することはほとんどなかった。このため、国民有権者の多くも、「TPP賛否」を強烈に意識することがなかったのである。
かくして、日本は、安倍晋三首相がいかに「日本を、取り戻す」と強弁しようとも、「TPP参加」により「日本を、失う」ことが確実になってきているのである。そして、いつしか、国民有権者は、安倍晋三首相のことを野田佳彦前首相と同様に「ウソつき首相」と呼ぶことになる。
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