http://www.asyura2.com/13/senkyo151/msg/198.html
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転載する記事にある村田忠禧横浜国大名誉教授の「釣魚島(日本名・尖閣諸島)は決して日本固有の領土ではない」という説明だが、日本政府が尖閣諸島は日本固有の領土というのは言葉のアヤに過ぎず、たかだか120年足らず前の1895年に日本領土として編入したことを日本政府も認めている。
むろん、日本政府は、日本の領土に編入するまで、沖縄(琉球)の領土でもなかったことも認めている。
「固有の領土」という超歴史的表現は、北方領土や竹島についても使われ、そこが確固たる日本の領土であるというイメージを浸透させるためのものである。
村田名誉教授は、「地理状況と自然環境から見て、釣魚島は沖縄または琉球には属さず、中国の漁師と密接な関係にある。釣魚島は海底大陸棚の縁に位置する。昔の沖縄の漁師はみな小船を使用しており、水深2000メートルの沖縄トラフを越えて漁に行くことはほぼあり得ない。だが中国の福建、台湾の漁師から見れば浅海で、歴史的によく漁に行っていたし、現在もそうだ」と述べている。
高い航海術を有していたから、小船でも「水深2000メートルの沖縄トラフを越えて漁に行く」ことはできると思っているが、たとえ村田名誉教授の歴史認識を受け容れても、それによって、尖閣諸島が近代万国公法に基づく清の領土であったという証にはならない。
村田名誉教授は、「彼(沖縄県令)はこれらの島嶼(尖閣諸島)が清朝と関係があることを知っていたからだ。最終的に山県は標識建立の中止を命令した」ことをもって尖閣諸島が清の領土であったと考えているようだが、尖閣諸島の地理的条件から清朝の支配が及んでいる可能性を考え、清朝とのあいだでことを荒立てたくないと思っていた日本政府がそのように判断するのは自然であり、だからといって、それをもって、尖閣諸島が近代的な意味で清の領土だったとは言えない。
当時の中国支配王朝である清は、出自からも大陸帝国であり、支配の対象とした台湾の住民でさえ中華体制のなかに順化しきれていなかった。だからこそ、明治維新後すぐに、日本とのあいだで「台湾出兵」という紛争が起きたのである。
そのような清が、台湾の近くにある岩場の無人島である尖閣諸島を近代的な意味合いでの領土として意識していた可能性は低い。他のどこかが領有している島々とも思わなかっただろうが、無人であるそれらの島々を“支配”する意味を感じなかったといったほうが正確かもしれない。
中国政府は、今さらであっても、尖閣諸島が清の時代から領土であったという証を示さなければならない。現在までのところ、歴代王朝が尖閣諸島を認知していたという史料は出されているが、尖閣諸島を支配していた(領有していた)と言えるような史料は出されいない。
尖閣諸島は、領土拡張意欲に富んだ近代日本政府により狡猾な方法で手に入れられた領土であることは認めるが、中国政府などが言うように、不正に盗み取ったという事実はないのである。
日本政府も、中国のクレームを受け止める余裕を見せて欲しいとは思っているが、そのためには、中国政府が、日本が尖閣諸島を“近代的正当性”のもとで領有していることを認めなければならないと思っている。
歴史的いきさつがあるとはいえ、大国中国が、小国日本に対し、尖閣諸島を盗み取ったというような酷い難癖を付けている限り問題は解決しない。
清→中華民国→中華人民共和国という歴代中華国家が、尖閣諸島問題できちんとした対応をしてこなかったことを認めつつ、歴史的経緯を踏まえて問題を解決してほしいという姿勢を示すことが解決に向けた出発点になる。
村田名誉教授は、「釣魚島問題について中日間にかつて棚上げ合意があったことを日本政府が否認していることについては「日本外務省は釣魚島に『領土係争は存在しない』との主張を強化するため、関連史料を公表する際に削除した」」と述べているが、田中首相と周恩来首相の“棚上げ合意”は、田中−毛沢東首脳会談の議題をめぐる準備協議で出てきたものだから、首脳会談で触れないというレベルの“棚上げ合意”でしかない。
国交正常化に向けた首脳会談で議題にしなかったこと自体が中国(中国共産党)の失政である。尖閣諸島に対する中国の領有権に正当性があるのなら、問題を先送りせず、日中首脳会談で取り上げるべきだったのである。
日中首脳会談で喧々諤々になり結果“棚上げ合意”になったのなら、堂々と「棚上げ」にしたと言うことができ、これまでとは違った日中関係になっていたであろう。
※ 参照投稿
「中国李首相の妄言:戦後国際政治のなかで“ロンダリング”され日本領として確立している尖閣諸島」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/400.html
「MRHjhAy8fE(1Evh94mSaY)さんへ:尖閣諸島に対する日本の先占正当性問題について」
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/536.html
「釣魚島問題棚上げの合意を無視していいのか:「それでいいのダ」」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/887.html
「野中氏の「尖閣棚上げ」合意指摘、外相と官房長官が全面否定:当時の外務省橋本中国課長が「尖閣棚上げ」関連の記録削除」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/765.html
「尖閣領有問題で見せる日中の“絶妙”なやり取り:礼を失する発言の一方で、日本の主張をわざわざ補強して報じる中国」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/615.html
「日本はASEAN関連首脳会議南シナ海領有権問題で米国からも袖にされ敗退:カイロ宣言の解釈:中国の主張は無根拠」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/515.html
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日本の学者:日本側の釣魚島史料は捏造
日本の村田忠禧・横浜国立大学名誉教授はこのほど新華社の独占インタビューで「釣魚島(日本名・尖閣諸島)は決して日本固有の領土ではない。日本側は釣魚島に『領土係争は存在しない』との主張を強化するため、事実でない記録を捏造したり、関連史料を公表する際に削除を行なった」と述べた。新華社電を基に京華時報が伝えた。
■沖縄の漁師が釣魚島で漁をすることはあり得ない
村田氏は今年6月に出版した新著『日中領土問題の起源』で、日本側の公表した資料に基づき、釣魚島は沖縄または歴史上の琉球には属さず、日本固有の領土ではないとの結論を導き出した。「現有の資料に基づけば、誰であろうとも私の見解に反論のしようがない」。
村田氏は「日本側は沖縄県『尖閣諸島』は日本固有の領土だと言うが、沖縄は本来日本固有の領土でなく、以前は琉球国で、後になって日本に合併された。そして琉球の歴史記録の中に日本政府の言う『尖閣諸島』は全く存在しない」と指摘。
「地理状況と自然環境から見て、釣魚島は沖縄または琉球には属さず、中国の漁師と密接な関係にある。釣魚島は海底大陸棚の縁に位置する。昔の沖縄の漁師はみな小船を使用しており、水深2000メートルの沖縄トラフを越えて漁に行くことはほぼあり得ない。だが中国の福建、台湾の漁師から見れば浅海で、歴史的によく漁に行っていたし、現在もそうだ」と述べた。
村田氏は1つの重要な史実も発見した。1885年に沖縄県令西村捨三は日本政府に釣魚島に国境標識を建立しないよう提言していたのだ。村田氏は「当時日本の内務卿山県有朋は西村に清朝の福州から沖縄県那覇市にいたる間の無人島について調査し、その帰属を明らかにした上で、領土標識を建立するよう指示した。だが西村はすぐには実行しなかった。彼はこれらの島嶼が清朝と関係があることを知っていたからだ。最終的に山県は標識建立の中止を命令した」と説明した。
■日本が釣魚島を「再三にわたり調査」したことはない
日本外務省はウェブサイトで「1885年以降、日本政府は沖縄県当局を通ずる等の方法により尖閣諸島に対して再三にわたり現地調査を行なった」としている。だが村田氏は、日本がいわゆる「再三にわたり調査」したことはなく、1894年10月末に沖縄県職員がわずか数時間の調査をしただけだと指摘。「釣魚島は日本が甲午戦争(日清戦争)中に盗み取ったものだ。手続き上も多くの問題があり、日本国民にも国際社会にも状況を公にしなかった」と述べた。釣魚島問題について中日間にかつて棚上げ合意があったことを日本政府が否認していることについては「日本外務省は釣魚島に『領土係争は存在しない』との主張を強化するため、関連史料を公表する際に削除した」と述べた。また、中日双方は釣魚島周辺での不測の事態を防ぐためのルールを共同で制定すべきだと指摘。「中国はこの方面ですでに努力を払った」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年7月19日
http://j.people.com.cn/94474/8333701.html
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