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「雇用情勢が厳しい中、貧困層が今後も増える恐れがある。だが、生活保護の問題を参院選の候補者が真正面から論じているようには見えない」
(愛知県瀬戸市、無職山口守一さん、72歳)
生活保護は、憲法二五条が定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)を保障する制度。「最後の安全網」と呼ばれる。受給者は二〇〇八年のリーマン・ショック後に急増。今年四月で二百十五万人余で、一三年度予算の支給額は三兆七千六百億円。
衆院選で保護費の一割削減を掲げた自民党が政権復帰。政府は八月から、保護費を二年半かけて8・3%減らすと決定済みだ。
さらに、政府は先の通常国会に(1)申請時に資産や収入に関する書類の提出を義務付け(2)親族の扶養義務を強化−などの抑制策を盛り込んだ生活保護法改正案を提出した。
専門家らは「自治体が窓口で申請を拒む水際作戦を助長する」と批判。与党は民主党と口頭申請を容認する修正を行い、修正案は与党と民主、維新、みんな、生活などの賛成多数で衆院を通過、参院に送られた。だが、会期末の国会の混乱の影響で審議未了・廃案となった。
廃案直後、田村憲久厚生労働相が秋の臨時国会に再提出する考えを示したのに対し、専門家や支援者から参院選での争点化を求める意見が出ていた。
本紙が各党に賛否を尋ねたところ、自民、公明両党と日本維新の会は賛成。共産、社民両党は反対。民主党とみんなの党、生活の党、みどりの風は改正内容や審議を見て判断すると回答を寄せた。
維新は無条件で「賛成する」と明言。自民は「自立の促進と不正受給の根絶が目的」と正当性を強調。公明は通常国会での修正を踏まえて再提出するよう政府に求める考えを示した。
一方、共産は「修正しても要保護者に圧力をかけ、切り捨てを推進する本質は変わらない」と強調。社民は「生存権を侵しかねない」と公約に掲げた。
態度を留保した四党のうち、生活は「申請手続きの厳格化、扶養義務の強化は修正すべきだ」と明言。みんなは「申請者を萎縮させてはならない」、みどりは「必要な支援が受けにくくなる改定は好ましくない」と、慎重に検討する考えを示した。 (上坂修子)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/senkyo/sanin2013/all/CK2013071902100004.html
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