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トヨタ自動車の昨年度の有価証券報告書によると、従業員の給与は前年に比べて1・5%足らずしか増えていないのに、役員報酬や株主への配当が増えた結果、社長の年収は1・6倍に増えていることがわかりました。ホンダの場合は、従業員の給与は減っているのに、社長の年収は18%増となっています。「アベノミクス」の恩恵を誰が受けているのかを、はっきり示すデータです。
自動車業界は、エコカー減税の効果などで国内販売が好調だったのにくわえて、円安の進行によって海外での利益が円換算で増加したことで、軒並み利益を大幅に増やしており、大企業の中でも、「アベノミクス」の恩恵を最も多く受けた業界といえます。トヨタ自動車の場合には経常利益が前年度の37倍、ホンダも5倍近くに増えています。(表参照)
ところが、従業員の給与はほとんど増えていません。トヨタの場合は1・5%足らずの増加にとどまり、ホンダは逆に減ってしまっています。トヨタの場合も、前年度に比べて社員の平均年齢が0・3歳、平均勤続年数が0・5年増えていることを考慮すると、実質的な伸びはほとんどないといっていいでしょう。
その一方で、役員1人当たりの年間報酬額は、両社とも大幅に増えています。トヨタの豊田章男社長の報酬は、1億3600万円から1億8400万円に増えました。ホンダの伊東孝紳(たかのぶ)社長の報酬も、1億2300万円から1億4500万円に増えています。
さらに、株主への配当も大幅に増えています。トヨタは1・8倍、ホンダは1・3倍近くに増えました。豊田社長の場合は、自らも460万株近くを保有する大株主であるため、受け取る配当が1・8億円以上も増え、この結果、役員報酬と配当を合わせた年収は、前年度の1・6倍以上になりました。豊田氏の年収増加額は、トヨタの従業員1人当たりの年収増加額の2000倍以上にもなります。
このほか、カルロス・ゴーン社長に前年度より100万円多い9億8800万円の報酬を支払った日産自動車では、従業員の年収が6万円減っています。マツダも役員報酬が平均で220万円増えたのに従業員年収は27万円減っています。
もっとも景気がいいといわれる自動車業界でさえ、この調子ですから、「アベノミクス」で庶民の家計が潤う保証は、まったくありません。
(日本共産党政策委員会 垣内亮)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-18/2013071808_01_1.html
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