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安倍政権の経済政策「アベノミクス」や環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題などが参院選の争点になる中で、政権が秋の臨時国会提出への準備を進めている法案がある。「秘密保全法案」。国家機密を第三者に口外した人に厳罰を科す同様の法案は1985年、世論の抵抗で立ち消えに。しかし今、自民党が公約に掲げる憲法改正と表裏一体で進む法案化の動きに、当時のような強い反発は見られない。
「法案が提出されたら、可決される」。日体大の清水雅彦准教授(47)=憲法学=は危機感を募らせる。
「人権より国家が優先されている」と清水さんはかねて秘密保全法制定を批判してきた。講演など機会あるごとに、一般市民も取り締まられる可能性があるとして「自分と無縁の問題とは考えないでほしい」と呼びかけてきたが、反対のうねりはなかなか高まらない。
■「前身」は廃案に
秘密保全法案の前身に位置づけられる国家秘密法案が世論の猛反発で廃案に追い込まれたのは冷戦崩壊前の85年。28年後の今は清水さんの目にこう映る。「戦争を体験した世代が社会の一線を退き、政党もメディアも学者も、平和や人権に問題意識を持つ人が減っている」
「秘密保全法制定と憲法改正は密接にかかわっている」。そう指摘するのは日弁連秘密保全法制対策副本部長の井上正信さん(64)=広島県=。法案の名称を変えて再浮上した秘密保全法制定の動きは、民主党へ政権交代する前の自公政権時代から水面下で着々と進められていたという。「2005年、日米両政府が軍事的一体化を深める柱として『共有の秘密情報を保護するため必要な追加的措置を取る』と合意したころから改憲を先取りする形で準備されてきたのです」
■古典的なポーズ
確かに、自民党の憲法改正草案9条は、国防軍を創設し、対米協力を任務に位置づけるとともに「軍の機密保持は法律で定める」と、秘密保全法制定をセットで盛り込んでいる。安倍晋三首相は4月の衆院予算委員会で「法整備がないことに不安を持つ国があるのは事実だ」と述べ、国家機密の保持強化は米国など国際社会からの要請と強調した。
「戦前回帰」「復古主義」。安倍首相の政治姿勢には、批判が付きまとう。だが慶応大の片山杜秀教授(49)は別の側面を指摘する。首相のタカ派的言動は「安上がりな国民統合の仕掛けなのだ」と。
「右肩上がりの成長を続けられなくなった日本は、福祉政策など物質的な紐帯(ちゅうたい)で国民をつなぎとめられなくなり、代わりに精神的紐帯として天皇、国旗、国歌、国防軍を持ち出した。日本は今後『小さな政府』となり、国民を見捨ててゆく―。安倍政権は古典的なポーズで、そのことをごまかそうとしている」
安倍首相は参院選中盤の13日、札幌・大通公園で、道選挙区の自民党候補への応援演説をしていた。憲法改正への言及は避けつつ、自らが進める政策について聴衆に繰り返した。「この道は間違っていない。この道しか私たちにはないのです」
■選ぶのは有権者
財政赤字と少子高齢化、国際的地位の低下に直面する日本。人権を制限してでも米国と手を携え、国家間競争で生き残りを図る道を選ぶのか。それとも「基本的人権は侵すことのできない永久の権利」と定め、国家権力を縛る憲法を将来に引き継ぐ道を選ぶのか。有権者の選択が問われている。
◇
<秘密保全法案>安全保障や治安などにかかわる国や自治体の機密漏えいを防ぐ法案。防衛に関する「国の安全」、外国との経済協定を含む「外交」、治安全般を指すとされる「公共の安全と秩序の維持」の3分野で、国などが指定した「特別秘密」を故意か過失かを問わず第三者に漏らした人、漏らすよう働きかけた人に、最高で懲役10年の刑罰を科す内容を検討している。公務員だけでなく、防衛産業や原発など幅広い分野で国の事業を受託した企業の社員や大学の研究者、秘密を聞き出した記者も取り締まりの対象になる。国などは特別秘密を扱う人に対し、本人のほか家族や恋人の身辺調査も行い、適任かどうか判断する。政府は11年に有識者会議がまとめた報告書に基づき、法案化を進めている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/2013sanin/479937.html
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