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「ねじれ解消が最大の争点」の欺瞞――メディアは安倍政権のめくらましに騙されるな  JCJ
http://www.asyura2.com/13/senkyo150/msg/914.html
投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 7 月 17 日 22:24:47: mY9T/8MdR98ug
 

 参院選公示以後、マスメディアはいっせいに自民の「圧倒的勝利」の予測を垂れ流した。民意の形成を阻害し、政治的無関心を増大させる情報公害は、いま抜本から見直すべきときであろう。
 選挙前の予測報道だから、この段階でも「4割が選挙区、比例とも投票先を決めておらず」状況は流動的などと報じている。特に今回も、マスメディアは自民対民主に焦点を当て、与野党の攻防にばかり目を奪われる傾向が強かった。ひどかったのは、衆参の「ねじれ」にだけ焦点を当てた報道の仕方だ。

(JCJふらっしゅ「Y記者のニュースの検証」=小鷲順造)

 「衆参のねじれは、今度の参院選で解消できるのか」というテーマで選挙を追う姿勢には、おのずと「ねじれはないほうがよい」というゆがんだ視点が紛れ込む。衆参で主導権を握る勢力分布が異なるのは、民主政治の健全性をあらわすバロメーターのひとつでもある。ただ効率性のみを政治に求めて、「決められない政治」と揶揄する傾向の強かったマスメディアは、その勢いに乗って政権に返り咲いた自民党を「よいしょ」するかのように、「ねじれの解消」がそのままいいこと、今度の参院選の最大の「争点」でもあるかのように、報じた。

 しかしながら、中盤以降、そもそも自民の勢いはさほどでもないことが隠しようがなくなってくる。それでも各社の「選挙情勢」の報道では、政党名を自民、民主、維新、公明、みんな程度しか出さずに報じる記事(二重の意味で予測報道の危険を増大させる)や、あくまで自民の優勢を演出しバンドワゴン効果を引き出そうとする新聞もある。

 読売新聞のきょう(17日)の記事は、<参院比例選、自民の第1党確実に…読売新聞分析>とあり、見出しの「自民の第1党確実に」だけでも自民の勢いに伸びがないことがわかる。それにしても、まるで、競馬新聞のようだ。この記事を眺めただけでは、投票先を決めていない人の比率もわからない。

 きのうのテレビ朝日の報道<安倍内閣支持率"5割切る"政権発足後初…>は、「これまで6割前後をキープしてきた安倍内閣の支持率が、今回、46.4%と政権発足以来、初めて5割を下回」ったこと、理由は「アベノミクスへの期待感に陰りが出てきているため」(政権発足から半年以上がたったものの、景気回復への実感がない」と答えた人が7割以上)とみている。

 それでも安倍内閣の支持率は、46.4%(先月から10.1ポイント減)あるという。政党別では、<自民党が依然、高い支持率を維持し、民主党など野党を大きく引き離し>ていること、今回の参議院選挙で有権者が重視する政策については、「景気対策」が最も高く、次いで「年金・社会保障」、「原発問題」などだったという。また、「原発の再稼働方針」については、支持しない人が支持する人を9ポイント上回ったが、「原発をゼロにするか継続するかについては、ほぼ拮抗」としている。

 テレビ朝日の報道の詳細は、ここをクリックして、映像をみてほしい。
 各紙・各局とも、それぞれの調査シートのフォームの問題や、調査の実態、調査結果に加味して分析する種々の情報にも差異がある。

 マスメディアの垂れ流す「選挙予測報道」の類に、一喜一憂しないこと、振り回されない市民社会を構築してゆくことが、まるで競馬か競艇などレース中継と見まがう「選挙予測報道」からマスメディアを脱皮させていくためにも必要だろう。

 そうした上っ面の「選挙予測報道」ではなく、地道に今回の選挙の重要テーマを追っている新聞などもある。ネット上では、中身のある記事を紹介し合う動きも高まっているようだ。ネットをただ政党の宣伝ツールにしようと意気込む人々もいるが、それだけでは読んでくれる人は少ないまま終わる。フェイスブック上で、自分のところの党員に、「他党の宣伝を流すな」と強圧している輩もいる。恥ずかしいことである。ネットワーク社会を少しも理解していないのである。

 原発・米軍基地、大量失業・消費税・TPP、そして憲法。
 私たちは、これらの重大問題に直面している。
 東京新聞によると、ツイッターでは、原発、経済、外交・安全保障、TPP、憲法、社会保障、東日本大震災・復興の順で関心が高い。首相の安倍氏は、選挙活動を通じて、これらの重大問題から逃げ回ってばかりいた。マスメディアでは、各紙・各局、それぞれに濃淡があるが、参院選がらみの報道はレース中継が主軸で、いま取材し広く共有すべき争点を、自ら浮き彫りにしてゆく試みは、一部を除き弱いという印象を否めない。

 記者によるのか、デスクによるのか、それとも各社の方針によるのか。

 それでも、選挙は政治家のためにやるのではないことを、忘れるわけにはいかない。選挙民が、国民社会、国民生活のために、公権力をゆだねる人物を選択するためにやるのである。どうも、とくに自民党の政治家たちは、その「立憲主義」そのものを理解していない疑いが濃厚である。そしてマスメディアはどうか。マスメディアも同様に、政権党に引きずられ、政局に引きずられ、目先の出来事に引きずられ、あるいは広告主などに引きずられて、国民が公権力をゆだねる人物を選択するために必要な報道や論評を行うという本道を見失ってはいないだろうか。

 いかにネット社会が高度化しようが、ジャーナリズム機能を弱体化させた社会は脆い。民主主義社会そのものが危機へと陥ってゆく。企業としてのマスメディアが、重大な分岐点にいることはそのとおりだが、報道や論評機能の低下は、その危機に拍車をかけるだけである。一部には、もはやすでに新聞というより、自民党の機関紙だったり宣伝紙だったりとしか思えないところもあるが、そのままで済まされるような甘い時代とはいいがたい。

 ジャーナリズム学者の新井直之氏は、「いまジャーナリストがしなければならないのは、時代の正体を的確に摘出し、日本はどのような方向に進みつつあるのか、を正しく民衆に提示することである。大きな社会の流れ、大状況を具体的に、率直に示すことである」(『ジャーナリズム』(東洋経済新報社、1979年、p217)と提起している。

 そして、「政府権力やジャーナリズム経営者やジャーナリストたちは、あくまでも多量に、多様に、正確なる事実を民衆に伝えるべき義務を有する。その義務が怠られているところに、今日の問題の一つはあるのである」(同、p209)とも。

 さらに、<報道について判定するとき、「どのように報道されたか」という基準よりも、「なにが報道されていないか」という基準のほうがはるかに大事である>(同、p184)との指摘もある。この点は、いまや広く常識と化しつつあるように思うが、この傾向に気づかず、そのままメディア企業内に定着してしまえば、<自主規制は、マス・メディアの外からの権力・財力・暴力など、なんらかの「力」に屈したことによって起きる。…呼応者が上級管理者であればあるほど、規制は強まり、言論・表現は容易に改変され、企業内における言論・思想の自由もまた認められなくなる>ということへと結びついてゆく。(同、p144)

 行き着く先は、ジャーナリズムの役割を喪失した、ただのマスメディアである。それを長く続けられるかどうかは、事業の多角化など経営基盤と、読者の質、社会の質しだいということになってくるのだろう。プロパガンダだけを好んで読んだり、接することを新聞に求める人は、やはり限られてくるに違いない。報道や論評に求められる要素を欠いたマスメディアとは何なのか。もし通信社などの力を欠けば、高度情報社会における情報紙誌の部類にはあっても、それ以外の何かとはいえなくなってくるのではないか――。心配である。

 産経新聞が16日、<安倍首相、ついに"封印"解く 9条改正を明言>を出し、<安倍晋三首相(自民党総裁)が15日、ついに"封印"を解いた>と嬌声をあげんばかりに、安倍氏の「われわれは9条を改正し、その(自衛隊)存在と役割を明記していく。これがむしろ正しい姿だろう」という発言を報じた。

 遊説先で長崎国際テレビ番組のインタビュー(12日収録、15日放送)に応じたものだが、同紙は<憲法9条改正の必要性を明言した。これまでの選挙戦でも憲法改正の発議要件を緩和する96条改正に意欲を示してきたが、いよいよ"改憲の本丸"に攻め込んだ格好だ>と書いている。まったくおかしな新聞だとあらためて思う。

 96条の改定については、日本国憲法に忠誠を誓って政権を担っているはずのものたちが、まるで試合の途中でルールの変更を言い出すのだから、これほどおかしなことはないはずなのに、この新聞は「歓喜、乱舞」の反応なのだ。いったいどこの国の新聞なのかと疑いたくなる。

 そのうえ、首相の安倍氏が9条の改定に言及したとして「いよいよ"改憲の本丸"に攻め込んだ格好だ」と書くわけだから、何をかいわんやである。記事によると、首相側近からは最近、「もう少し候補者を出せばよかった…」という声が聞かれるそうだ。

 これによると、上記で紹介した読売新聞が、自民党が「2010年参院選の12議席を大幅に上回って比例選第1党となるのは確実だ。ただ、支持はわずかに下がって頭打ちとなっている」と書いているのとは、トーンが違う。読売が自民の陣営の緩みをしめ、産経がちょうちんもちの構図か。いや、そういう連係プレーの跡は見えない。

 ただ産経新聞の記事で、頭のすみにメモっておきたいことが二つ。「首相の危機感」の話。

<憲法改正に慎重な公明党を除くと、今回の参院選で101議席を得なければならない。改憲に前向きな新党改革などの非改選2議席を加えても99議席と、ハードルは高い。今回の世論調査によると、自民党は69議席を獲得するものの、憲法改正で選挙後の連携を想定していたみんなの党と日本維新の会は各7議席にとどまる見通しだ。3党では計83議席となり、101議席に遠く及ばない>

 そこで、「民主党は潰れる運命にある。党を飛び出す改憲派との連携が憲法改正を実現する上でカギを握る」(安倍氏の4日の産経新聞のインタビュー)として、民主党改憲派の自民への結集を呼びかけている。

 民主党は、自民党を政権から引き摺り下ろすために結集した選挙民の力を甘く見、次第に忘れ、政権という舞台を自らの自己満足のために踊り、拍手など得られる玉ではないことをさらけ出した。そこでさらに狼狽し、仲間割れを始め、自ら失速した。

 政党やマスメディアが考えるより、はるかに選挙民の眼は厳しい。
 かろうじて政権に復帰した自民党も、マスメディアを総動員しなければ、延命できないほど自らの足元が脆弱であることを、わかっているはずだ。マスメディアを総動員しようとしたところで、それでは容易に民意をコントロールすることなどできない。そのこともわかっている人物は、自民党のなかに何人残っているのか。

 自民党は綱渡りで政権復帰を果たし、綱渡りのまま政権についている。繰り出す愚かな復古改憲国家主義の「冒険」が、どこまで通用するか。そんなものが、政権の求心力を生み出す力として働くことはない。

 その裏にある対米従属の卑屈、多国籍企業へのもみ手は、徐々に見破られつつある。

 それにしても、首相の安倍氏が96条の改定を言い出し、そして9条の改定を口に出したというだけで、こうまで踊ってみせる新聞(宣伝紙)があるということには、まったくあきれるばかりである。

 16日には、自民党の石破茂幹事長が、4月に出演したテレビ番組で、同党のかかげる改憲草案で自衛隊を「国防軍」にするとしている件に関連して、現行憲法では禁じられている軍法会議(軍事法廷)の設置、国防軍に「審判所」という軍事法廷を設置することに強い意気込みを見せたことを、東京新聞が伝え、再度大きな問題になっている。

 前述した新井直之氏は、同著で、こうも指摘している。

――ファシズムは……まるでガンのように、まったく知らぬ間に社会のあちこちにひっそりと忍び込んでおり、あるときふっと痛みに気がついてみたら、どこもかしこもがっちりと病巣になっていて、もはや手遅れだった、というようなものではないだろうか――と。(同、p214)

 メディアの衰退は、民主主義の衰退を招き、社会全体の衰退をも招きかねない。いま、この、さまざまな意味で危機を迎えている時代、日本社会は総体から見直され、変革を遂げねばならない。しかしながら、権力に安住し、無為無策のまま、そうした状況へと時代を放置、誘ってきた自民党の責任は重い。彼らにその変革の担い手を任せることはできないし、また、政権復帰前、復帰後の状態を見ている限り、やはり、彼らには荷が重過ぎることは明白である。

 選挙民のなかには、一度政権を追われ、そして再度復帰した自民党に、なんらかの魅力と期待とを抱いて、自らをゆだねようとする人々もいるに違いない。しかしながら、いまの安倍政権をみればわかるように、政権維持に自信がもてず、いつまた引き摺り下ろされるか戦々恐々としながら、後代に膨大なツケを残すアベノミクスで人心を引き寄せ、その結果が出ないうちに、この参院選で時代錯誤もはなはだしい「改憲(壊憲)」路線へと日本社会を引きずり込むルール違反のやり方で、なんとか政権の延命をはかろうとだけしている。

 二度と政権を追われるような目にあいたくないがゆえなのだろうが、自民党のあの「改憲草案」なるものを見る限り、時代遅れもはなはだしい。どこかの強国の属国へと自ら進んで売国を進め、さらなる亡国路線をつき進むことは明白である。

 この段階で<9条改正を明言>(産経新聞)したのも、陣営の引き締めをはかる必要が高まったから、とみておくほうが正確ではなかろうか。昨年の総選挙の折、長年の野党生活に危機を迎えていた自民党は、12月15日、安倍氏と麻生氏は、日章旗をかかげた集団の前で演説をするという演出をしてみせた。結果はかろうじて政権復帰となったが、けっして磐石ではない。

 産経新聞が賛美の記事を書いた<9条改正を明言>は、その後ろ向きの「改憲(壊憲)」パワーになんとかもう一度あやかろうとしての儀式のようなものではないか、と思えてならない。日本社会では信教の自由は保障されているが、それとも異なる種々の事情をかかえながら、首相の安倍氏はなんとか踏みとどまりながら、小さなパンチを繰り出して見せているというところなのではないか。

 原発再稼働、米軍基地問題、大量失業問題、消費税の問題、TPPへの参加問題、そして日本国憲法。いずれも、安易な対応は許されない重大問題である。安倍政権にこれらの問題を解決したり着地させたりする能力はない。だから、民意とは逆の方向へとどんどんずれていくだけなのである。アベノミクスは、目くらましでしかない。そのようなものにだまされることなく、この政権には勢いも、求心力も、問題解決能力も存在しない、と私は思っている。

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


http://jcj-daily.seesaa.net/article/369514625.html#more  

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コメント
 
01. 2013年7月17日 22:33:17 : o2CjiQflUE

阿修羅住人の場合

自民に好意的な新聞には「マスゴミ! 民主主義を理解してない! 中立違反!」
自民に批判的な新聞には「正常なメディア! 真実を伝えている! マスコミの良心!」

ネット右翼の場合

自民に批判的な新聞には「マスゴミ! 民主主義を理解してない! 中立違反!」
自民に行為的な新聞には「正常なメディア! 真実を伝えている! マスコミの良心!」


馬っ鹿じゃねーの


02. 2013年7月17日 22:40:27 : mJUF24TWN2
同意。

争点は、ねじれ云々ではない。

強いて言うなら、参院選後、自民党は、以下のような国民生活破壊政策を強行してくるだろうから、ねじれはあったほうが良い。

・風邪は窓口7割負担
・少額の治療費は全額負担
・1ヶ月当たりの窓口負担の上限額を引き上げ(高額な治療の負担増)
・70〜74歳も75歳以上も1割→2割負担
http://ameblo.jp/takumiuna/entry-11529746250.html

そのほか、残業代ゼロ法案、解雇自由化(セーフティネットは縮小)、そして年金支給年齢68歳〜70歳引き上げ、さらに死亡消費税導入。
表現規制の面では、児ポ法改悪(単純所持逮捕、アニメ漫画規制)、青少年健全育成法案、そして憲法改悪(国民の権利・自由を大幅に制限)。

政策の争点は、
原発推進か、脱原発か
ブラック企業にイエスかノーか
残業代ゼロ法案や解雇自由化にイエスかノーか
年金支給年齢引き上げにイエスかノーか
事実上利用できなくする生活保護法改悪にイエスかノーか
失業手当などセーフティネット縮小にイエスかノーか
巨額公共事業の見返りに献金を強要する汚い利権政治にイエスかノーか
児ポ法改悪(単純所持逮捕、アニメ漫画規制)にイエスかノーか
など数多くあるが、

根底的な争点は、
立憲民主主義を守るのか、あるいは放棄するのか、ということ。

なぜなら、今まさに政権与党を批判する権利(表現の自由)を守ってくれているのが現行憲法なのだからだ。

自民党や維新が悪だくみして成立させようとしている憲法改悪案は、そうした批判の権利・表現の自由を「公益及び公の秩序を害する」「国益を害する」などといった理由で奪おうとするものだからだ。


03. 2013年7月17日 22:53:18 : q9gd2khoPo
01

ここに居て誰がうその情報を報道しているのかわからないキミ

原発事故でも小沢疑惑もTPPもマスごみが本当のことを報道していると思っているのか。

馬鹿じゃーねえの。


04. 2013年7月18日 00:15:43 : o2CjiQflUE

03 の場合

「原発事故や小沢疑惑やTPPなどの真実をマスゴミが報道しない! 嘘の情報を流している!」
その根拠は?
「ネットで知った」

ネトウヨの場合

「在日利権や民主党の売国行為などの真実をマスゴミが報道しない! 嘘の情報を流している!」
その根拠は?
「ネットで知った」


そっくり!


05. 2013年7月18日 00:57:00 : 7OpGsifAXA
ねじれを解消さえできれば、あとは自由勝手にやり放題だからということもあるが、実は争点、例えば原発にせよTPPにせよ増税にせよ、諸問題を争点化したら自民党に不都合なことばかりだから、単に争点隠しをしているともとれる。

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