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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130717-00000000-sundaym-pol
サンデー毎日 7月17日(水)17時0分配信
◇岩見隆夫(いわみ・たかお=毎日新聞客員編集委員)
次の日曜日は参院選の投開票日だから、選挙のことに触れないわけにはいかないが、あまり気が進まない。理由の第一は新聞の予測調査報道のせいである。有権者としては、投票前に、かなりの確度で選挙結果の全貌がわかってしまうのだから、
「なーんだ」
とシラケてしまうのは当然だ。
国政選挙のたびに、このコラムでもメディアの予測調査はやめた方がいいと書いてきたが止まらない。法律で禁止した国もある。
今回の調査によると、自民党は七〇議席を超す勢いで、自民・公明両党による過半数(一二二議席)確保はもとより、単独でも非改選の五〇議席を加えて過半数に迫っているという。
それを知ると、自民に一票、と決めていた有権者のなかには、さてどうしたものか、と考え込む人たちがでてくる。当然だろう。いわゆるアナウンス効果だ。投票行為の純粋性からいえば、そうした結果についての事前情報を極力インプットされることなく、虚心に一票を投じたほうがいい、と思うが、事態は逆に動いている。
メディアが激しい競争社会であることは十分承知している。しかし、競争のなかでも、公共性を考え、自粛する道はある。個々の候補者の強弱まで、事前に細かく予測してみせる必要があるのだろうか。競馬レースとは違うのだから。
ところで、全国紙は六日付でいっせいに序盤情勢の調査結果を報じた。『朝日新聞』は全国四七選挙区、比例区の約四万人、『毎日新聞』は約三万人の有権者から回答を得たというから、統計学的な正確さはまずOKということだろう。
調査はどこまで深入りしているのか。四七の選挙区について、両紙の強弱予測をもとに定数ごとに点検してみよう−−。
▽一人区。青森から沖縄まで三一あるが、『朝日』は二八、『毎日』は二九で自民にほぼ確定としている。違いは三重だけ。『朝日』は岡田克也前副総理の地元だけに民主にまだ脈ありとみている。
岩手で、民主を除籍された無所属現職の平野達男元復興相が、沖縄では沖縄社会大衆党現職の糸数慶子がいずれも自民新人と接戦を演じている点では両紙とも同じ。つまり、一人区では、自民が最低でも二八、ひょっとすると三一選挙区の完全制覇もありうる。
春ごろは、
「一人区の勝敗がカギ。自民は二〇を超えられるか」
と言われていたのが、いまや驚異的な独走ぶりだ。
▽二人区。北海道から福岡までの一〇選挙区だ。予測では、全選挙区で自民がトップを走っているが、北海道、宮城、茨城、新潟、長野、静岡、福岡の七選挙区で不振の民主が健闘しており、一位自民、二位民主でほぼ決まりらしい。
あとの三選挙区で二位が定まらず、『朝日』は京都で共産、兵庫で維新、広島で生活が優位と読んでいる。『毎日』は兵庫の維新は同じだが、京都、広島とも民主が強いと予測していて、食い違う。いずれにしろ、自民は二人区でも一〇人を確保した。
◇選挙は緊張、スリル必要 予測報道が邪魔している
▽残る定数三以上の六選挙区が与野党入り乱れての混戦、今回の参院選の見どころである。まず三人区は埼玉、千葉、愛知の三選挙区。埼玉について、『朝日』は自民・公明・共産・みんな・民主の順。公明以降は〈横並びの闘い〉というが、一応順位がついている。これに対し『毎日』は自民・公明までは確定的とみて、三位は民主・みんな・共産の乱戦。
千葉は、『朝日』の予測が、自民・自民・民主で決まり。東京以外で自民が二人擁立した唯一の選挙区だ。ところが『毎日』は、自民・民主まではいいが、三位は自民、みんな両新人同士の争いとみる。千葉自民の力量が試される興味深い場面だ。
もう一つ、愛知。『朝日』『毎日』とも、自民・民主・みんなでほぼ確定だ。三つの三人区で自民は三人ないし四人という予測になる。
▽四人区は神奈川と大阪。東の神奈川だが、『朝日』『毎日』とも自民・みんな・公明までは一致、四位についても民主と共産の競り合い、と同じ予測をしている。
西の大阪も両紙の予測は同じで、自民・維新・公明が確定、四位争いを共産と民主が展開しているという。
▽五人区、最大選挙区の東京。『朝日』は自民・自民・公明・共産・民主の順。一方、『毎日』は自民・公明・自民・共産までは同じ(順位は違うが)、五位を民主現職と無所属新人で俳優、反原発の山本太郎が競り合っている、という予測だ。首都で民主の評価が問われるきわどい争いだ。
以上点検してきたことを総合すると、予測報道があってもなおスリルを残しているのは、岩手、埼玉、東京、千葉、神奈川、大阪、京都、沖縄といったところだろうか。なかでも、逆境民主が最後のねばりをみせるかどうかで、京都、埼玉、東京、大阪に注目だ。
また、四七選挙区(改選定数七三)に出馬している自民候補四九人のうち、なんと九二%、四五人に事実上の当確が出ている。
しかも、三〇人が新人候補だ。そのほとんどが当選してくる。新人といっても知事、県議、市長出身が大半で、地方自治のベテランではあるが、国会の新顔に変わりはない。小泉、小沢に続く〈安倍チルドレン〉の大量出現である。
ともあれ、投票日の半月も前に、当確を予測されて、候補者、有権者はどういう心境で対応することになるのだろう。
たとえば、東北の某二人区、四十代の自民候補Aは三選を目ざしている。前回(二〇〇七年)は民主候補に二〇万票近くも差をつけられて二位当選に甘んじた。しかし、今回は堂々の一位当選が約束されたも同然だ。Aの心境は、
〈メディア予測はそうかもしれないが、最後まで油断はできない〉
と引き締めているのか、
〈今回は安倍人気で安泰だ〉
と呑気に構えているのか、どちらでもいいが、Aの支持者にしては、パスしたい気分になるかもしれない。選挙には緊張、醍醐味、スリルがなくてはならない。それが民主主義を豊かにするのだ。予測報道は邪魔をしているのではないか。
<今週のひと言>
なんとなく生きてるぞーっ!
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