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2013/7/16 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
参院選前に定期的に行っている新聞社の世論調査によると、若干、自民党にかげりが出てきたものの、圧勝予想は揺るがない。
1人区はダブルスコアみたいなところがほとんどだし、複数区は野党同士が潰し合っているからだが、こうした現状、情勢を見せられると、暗澹たる気持ちになってくる。
再び、自民党の一党独裁が始まるのか、という憂鬱もあるが、そもそも、この選挙はマトモなものではないからだ。
ふつうの選挙は言うまでもなく、政策を問う。熟慮の府、参院選ともなれば、国の形、方向性が争点になる。
ところが、自民党はあえて、争点を隠している。詐欺みたいな選挙戦を展開しているのである。
きのうまでの連休中、安倍首相は宮城や山形、青森、岩手、秋田などに入った。くっついて取材したジャーナリストの横田一氏は呆れていた。
「だって、TPP参加について、演説でまったく触れないんですよ。自民党は昨年の衆院選で“聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する”と明言したのに反故にした。その説明もなければ謝罪もない。山形では前座で出てきた新人衆院議員が謝罪したが、安倍首相は触れなかった。もちろん、今後の交渉の行方、方針についても言わない。露骨な争点隠しです。それじゃあ、何を言っているのかというと、農業、水産業を守る、所得を倍増する、強い農業・攻める農業にする、特産品を売り込むというワンパターン。この特産品のところだけ、場所によって、品目を替えるのです。あとは同じ。具体的な道筋も言わない。『高度成長をしてきた日本ですからできないことはない』と言う。こんな空疎な話を誰が信じるでしょうか」
横田氏はそれぞれの選挙区の候補者にもTPPに触れない理由を尋ねたが、「首相に聞いてください」(岩手県の田中真一候補)と逃げの一手だったという。
安倍・自民が争点を隠しているのはTPPだけではない。原発再稼働の是非、改憲の是非、規制緩和の是非、社会保障のあり方、消費増税の是非と時期、歴史認識、沖縄問題と、それこそ山のように争点はある。
ところが、安倍は参院選で第一声を上げた福島でも、原発再稼働について一言も触れなかった。正確に言えば、触れられなかったのだろう。いまだに国民の6割が原発再稼働に反対しているからだ。それでも原発を動かすというのなら、福島で堂々と宣言すればいい。しかし、それをやれば、票が逃げる。だから、触れない。
一事が万事で、改憲も増税もひた隠し。アベノミクス最大の負の側面、限定正社員に代表される雇用の規制緩和についても言及なし。もちろん、公明党も同じく、口をつぐんでいる。
そんな自公が圧勝なんて、マトモな有権者だったら、アホらしくて、やってられないのだ。
◆自民がわめく「ねじれ国会が悪」の大ウソ
「ねじれているために、なかなか復興がスピーディーに進んでいかない。経済の再生もスピーディーに進んでいかない。改革も進まない。このねじれを解消させていただきたい」
こんどの参院選、安倍は二言目には「ねじれ解消」を訴えている。TPP参加や原発再稼働などの争点を隠す一方で、「ねじれ」を争点にする作戦なのだが、この戦法もデタラメの極みだ。
野党がいつ、復興に反対したのか、聞きたいし、そもそも日本は二院制だ。議会制民主主義において、衆参のねじれは当たり前なのである。
「衆参にねじれがなければ、参院の存在意義がなくなってしまいます。ねじれがない状態のときに、『参院は衆院のカーボンコピーか』と揶揄されたのはそのためです。その状態がようやく、解消されたのに、安倍政権は元に戻そうと訴えている。つまり、安倍さんの言う『日本を取り戻す』とは、戦後長く続いた自民党の一党独裁時代を『取り戻したい』のです。自民党一党独裁政治で改革が進んだのか。経済が発展したのか。ねじれのせいで何も進まないという論法は通じませんよ。ねじれがなかったのに、自民党政治は行き詰まった。だから、衆参がねじれたんじゃないですか。成熟した民主主義においては、衆参のねじれは当たり前。ねじれを前提にして、熟議の国会運営が求められているのです」(法大教授・五十嵐仁氏=政治学)
◆恐怖の独裁政治が始まるゾ
それなのに、安倍は「ねじれ=悪」と決め付け、野党を粉砕しようとする。露骨な独裁、翼賛体制気質が見え隠れする。
しかも、安倍・自民党はねじれを解消して何をやりたいのかを有権者に示していないのだ。
「これじゃあ、白紙委任状をよこせと言っているようなものです。ま、安倍首相の場合、何をやりたいかは見える。TPP参加であり、改憲であり、社会保障カットや増税、新自由主義路線の規制緩和なのでしょう。ねじれが解消すれば、危険な方向に突き進んでいくことになると思います」(五十嵐仁氏=前出)
極右のナショナリスト、安倍に衆参の過半数を与えるなんて、狂気の沙汰で怖くなる。それでなくても、安倍・自公には衆院3分の2の数があるのだ。参議院も「安定多数」なんて事態になったら、狂気の独裁が始まることになる。
◆野党全滅で民主政治の終わり
それなのに、野党のだらしないことったら、ありゃしない。
民主党は改選44議席から半減し、98年の結党以来最低の26議席を下回るのは確実だ。31ある1人区もボロボロで、自民と接戦を演じるのは岡田克也元代表の地元で民主王国の三重のみ。ここだって本気で勝つ気があるのか、と言いたくなる。
「自民は三重を重点区に指定。きのう(15日)は安倍首相が現地入りしたのに対し、前日に民主候補の応援に駆けつけたのはナント、野田前首相ですよ。きょうも安住前財務相が応援に入ります。この期に及んで民主失政の“戦犯”2人に応援を頼むセンスは理解に苦しむ。ここまで有権者と感覚がズレていれば、自然と票は逃げていく。勝てる勝負も勝てません」(地元政界関係者)
みんな・維新もそれぞれ選挙区で1、2議席を獲得するのが、やっと。両党とも比例を入れて1ケタ台にとどまりそうだし、生活・社民は議席ゼロもあり得る惨状だ。辛うじて共産が善戦しているが、議席争いに絡むのは東京・神奈川・愛知・京都・大阪など大都市に限られる。
政治評論家の森田実氏は「野党は負けるべくして負けている」と、こう言った。
「最新の世論調査で、安倍内閣の支持率は下落し、比例投票先でも自民はポイントを減らしています。野党が統一戦線を組み、反安倍票の受け皿を提示すれば、選挙の勢力図は塗り変わっていたはず。ところが、野党幹部は皆、自己保身に走って大局に立とうとしない。一度立てた候補を降ろせば不協和音が生じるので、候補者調整が進まなかった。幹部に胆力がないんですよ。結果、東京は民主分裂、岩手は新旧民主候補が3分裂と愚かなことをやっています。有権者にとって勝ち目のない野党候補の乱立は、いい迷惑です。率先して自民を助ける自殺行為でしかありません」
野党全滅後の国会は、これまた有権者置き去りの再編劇に突入しそうだ。政治評論家の浅川博忠氏の見立てはこうだ。
「今後の政局のカギを握るのは、民主がどこまで惨敗するか。改選議席の半減程度なら、誰も火中の栗を拾おうとせず、消極的支持で海江田代表の続投もあり得ます。しかし、20議席を割り込めば一気に分裂含みです。安倍首相が改憲に意欲をみせれば、党内は改憲派と護憲派に分断される。渡辺代表VS.江田幹事長のみんな、東京VS.大阪の維新と内紛を抱える両党を巻き込み、離合集散していく。野党内の改憲派が安倍自民の補完勢力となり、強い与党がますます強くなる。民主の一部や生活、社民など国民生活重視派は議会の片隅に追いやられかねません」
威勢のいい共産党だって、「衆参合わせて20人程度の政党では発言力にも限界がある」(浅川博忠氏=前出)。この国の政治は、まるで戦前・戦中の大政翼賛会と、圧倒的少数の反戦派のような議会構成になってもおかしくない。戦後日本が築き上げてきた民主政治は消えることになってしまう。
◆自民独裁を許した選挙民のこれから
メディアの予想通り、自公80議席超が現実になれば、野党が立ち直るのは極めて困難だ。3年後の参院選で再び「ねじれ」に持ち込むには、野党勢力は81議席を奪い返さなければいけない。
6年前に小沢民主が安倍を退陣に追い込んだ時でも、獲得議席数は60。共産や無所属を含めた野党トータルでも75議席だった。安倍自民の圧勝ぶりは前人未到の領域で、野党の勢力挽回は並大抵ではない。
そのため、政界では「向こう10年以上は自民の安定多数が続く」との声が上がっている。
朝日の世論調査によると、今回の参院選で自民の単独過半数を望むのは全体の36%。望まない方が47%と上回った。多くの有権者は「自民独裁」を求めていないのに、それを許す選挙結果となりそうなのだ。
「かくなる上は有権者もハラをくくるしかありません。参院選が終われば3年後は衆参ダブルで、それまでは恐らく国政選挙はない。この3年を自民への新たな対抗勢力の育成期間に充てるのです。改憲派は自民に寝返って構わない。改憲への対立軸が鮮明になるほど、今は静かな自民党内のリベラル勢力や公明党も『反安倍派』に合流しやすいはず。そうして与野党勢力を総取っ換えし、反自民の受け皿の土台を構築する。有権者には廃虚から新たな芽を育てる根気強さが求められます」(森田実氏=前出)
本紙のインタビューで小沢一郎はこう言っていた。
「野党がちゃんとまとまりさえすれば、次の総選挙は勝てるんです。自民党の票は増えていないんだから」
要は時間をかけて、腹を据えた野党をつくることだ。そのためには民主主義の敵、野田前首相にはバッジを外してもらい、民主党は一度、消えてもらうしかない。すべてはそれからの話となる。
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