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2013-07-16 陽光堂主人の読書日記
参院選の戦いは終盤に差し掛かっていますが、各選挙区の候補者が多過ぎて、誰が何を言っているのか有権者にはよく分かりません。各党の選挙公約も盛りだくさんですが、それ故却って焦点がボケてしまっています。過熱する選挙演説も、日増しに喧しくなるセミの鳴き声のようにしか聞こえません。
こうなったら、各党は解りやすい項目に絞ってアピールするしかありません。後は、人気のある議員を駆り出してイメージアップを図るといういつもの手法を使うだけです。
自民党は民意に反する公約ばかり掲げていますが、そんなことを声高に主張するわけには行かないので、「ねじれの解消」と「アベノミクスの効果」だけを有権者に訴えています。しかし、どちらも首肯しかねる内容です。
参院でのねじれは選挙の結果として生じているもので、参院でも多数を制したければ政策で勝負して民意を勝ち取るのが本来の行き方です。それなのに、「ねじれで法案がスムーズに通らないから与党に投票してくれ」というのは本末転倒です。
与党が掲げている政策は民意に反するものばかりですから、虫が良すぎるどころか、正気を疑う言動と言わざるを得ません。憲法改正など自民の公約に反対の人たちは、彼らの口上に騙されてはいけません。
「ねじれの解消」を訴えるのは論外として、「アベノミクスの効果」の方は賛成する人が多そうです。株などに投資している人は、今や4500万人にも上るそうですから(本当ですかね?)、株高でホクホクの人たちが自民を支持したとしても不思議ではありません。
中央銀行の独立性が今や風前の灯火と化している日銀は、安倍政権を援護すべく7カ月連続で景気判断を引き上げています。「景気が良くなった」と言い続ければ実際に良くなるだろうという考えですが、一般庶民が景気回復を感じていないことは各種調査結果が物語る通りです。
このところの株の乱高下で消費も後退していますし、非正規労働者が益々増えています。食料品を中心に値上げラッシュも起きていますが、これはまだ序の口で、本格的値上げはこれからと言われています。どう見ても、生活感は改善していません。
株高になっていることは事実ですが、これば海外投資ファンドによるもので、アベノミクスとは関係がないようです。「日刊ゲンダイ」は、12日付の記事でこのカラクリを暴露しています。以下、該当部分を引用します。
(http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9304.html)
参院選直前怪し過ぎる景気情報 世の中好況に転じたのは本当か
(前略)
街頭演説で安倍は二言目には、アベノミクスの成果を強調している。庶民に景気回復の実感はないが、何となく「株も上がっているし、そうなんだろうな……」と思ってしまう。
しかし、この株高だって怪しいものだ。アベノミクスの金融緩和で株が上がったのかというと、京大名誉教授の伊東光晴氏(経済学)は「世界」8月号で、「安倍・黒田氏は何もしていない」と書いている。
どういうことかというと、日本の株式市場は、1日に凄まじい回数で売買を繰り返す海外投資ファンドに完全に牛耳られていて、彼らのサジ加減ひとつで、株価は大きく変動してしまう。この海外勢はアベノミクスのはるか前から、日本株に狙いをつけていたという。要するに、野田政権が続いていたって、株は上がったということだ。
実際、海外投資家は昨年9月まで日本株を売り越していたが、昨年10月から一転、買い越しに転じた。野田の唐突な解散宣言は11月14日。したがって、安倍政権の誕生ムードが高まる前から株価上昇の動きは始まっていたのだ。
「確かに昨年の6月ごろには海外の投資ファンドがアジア株、とりわけ割安の日本株に向かうとの予想が出ていました。理由は明快で、昨年前半にはアメリカやヨーロッパの株価がリーマン・ショック以前の水準に戻していたから。欧米株は『もはや買ってもうまみはない』と見切りをつけたのです。つまり、黙っていても海外勢は日本市場に押し寄せてきた。異次元緩和が実施された直後に、海外ファンドは日本株を売り抜けてボロ儲けしたわけです」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
円安も似たようなものだ。伊東氏は、財務省が2011年8月以降に実施した先物市場を通じた複雑な為替介入が円安の要因と書いている。そのうえで、〈政権が民主党であろうと自由民主党であろうと生じた経済を、安倍政権の政策の帰結とする愚かさから、我々は解放されなければならない〉と断じた。
さあ、安倍は何と言うか。安倍は参院選の応援演説で必ず「民主党政権が3年かけてできなかったことを、私たちはこの半年間でやり遂げることができた」と胸を張っている。これぞ、我田引水なのである。
その証拠に、黒田日銀がマネーの供給量をジャブジャブに膨らませたところで、そのマネーは設備投資に回り、経済を拡大させているわけではない。
今年4月末の貨幣供給量は昨年同期比26%のプラス。32兆円も増加したが、その大部分は日銀の金庫に眠ったままである。
日銀は各銀行が所有する国債を買い取って、マネーの供給量を増やす。その代金は各銀行が銀行間の決済のため、日銀に開設した無利息の当座預金に払い込まれる。この全銀行分の「当座預金勘定」は、この1年間でトータル約30兆円増加した。貨幣供給量の増加分とほぼ一致している。
つまり、いくら日銀がマネーの供給量を増やしても、日銀の金庫内で移動しただけ。そのマネーが企業に回り、生きたカネになったわけではないのである。これじゃあ、いつまでたっても景気が回復するわけがない。それどころか、異次元緩和のリスクだけがのしかかってくることになる。
(後略) (下線は引用者による)
グローバル社会なので当然ですが、一国の政策だけで経済や金融をコントロールすることはできません。覇権国家米国ならある程度コントロール出来ますが、日本は無理です。米国や中国、欧州などの動きに左右されてしまいます。
つまり「アベノミクスの成果」とされている現在の円安株高は、外的要因よるものなのです。安倍政権は自分たちの手柄として自慢していますが、国民の無知に付け込んで悪乗りしているに過ぎません。
日銀によるジャブジャブが株高を招いているわけではないことも、記事から判ります。貨幣供給量を30兆円余り増やしたにも拘らず、日銀の当座勘定にそのまま積み上がっているのですから。まさに「日銀の金庫内で移動しているだけ」なのです。
日銀の金融緩和は、今のところ割りと節度を保っていて、「バズーカ砲」と言われるほどではありません。償還期限の短い国債を中心に買い入れを行なっています。
日銀生え抜きの中曽副総裁が仕切っている限り、逸脱は少ないと見られますが、今後は分かりません。政治的圧力に屈すると、経済に悪影響を与えることになります。
それにしてもバカなのは野田前総理です。幾ら罵声を浴びせられてもそのまましぶとく権力の座に居座っていれば、今頃円安株高の恩恵を受けて政権の追い風になっていたはずです。安倍政権のタカ派振りは米国からも批判されていますから、野田民主党の方が波風が立たなかったかも知れません。
何故自爆解散に打って出たのか今以て不明で、恐らく密約があったのでしょう。民主党は完全に信頼を失いましたが、この点は今も変わりません。植草一秀氏は、民主党のマニフェストは曖昧で信用出来ず、裏切られることになると述べていますが、その通りだと思います。
円安株高が政策と無関係なら、自民はもちろん、補完勢力の公明維新みんな民主は売国政策を掲げているだけで、支持できる部分は皆無です。異論もあるでしょうが、ここまで突き詰めて考えて判断し、悔いを残さないようにしたいものです。
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