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2013年07月15日 天木直人のブログ
きょう7月15日の読売新聞が日本の調査捕鯨を正当化する社説を掲げた。
読売新聞がこのような社説を掲げたのは、いうまでもなくハーグの国際司法裁判所で行われている裁判を念頭においてのことだ。
すなわち日本は豪州に国際捕鯨取締条約に反して商業捕鯨まがいの事をやっていると訴えられ、先月26日から口頭弁論が行われてきた。きょう7月15日から日本側が最後の主張を行い、あす7月16日に結審する。
判決は半年後とされている。そして国際司法裁判所は第一審制であるからその判決ですべてが決まる。読売新聞は日本の勝訴に終わることを期待してこのような判決を掲げたのだ。
しかしこの読売新聞の社説は語るに落ちた内容だ。
「鯨類のすべてが神聖で、絶滅の危機にあるのか。感情的な背景はわかるが、法的・科学的には理解できない」とした日本側の抗弁をそのまま繰り返している。
しかし日本が提訴された理由はそこにはない。
捕鯨そのものの是非はこれまでに十分の議論され、その結果調査捕鯨だけは認めるという形で国際捕鯨取締条約が1986年に結ばれた。
今度の提訴は日本がその調査捕鯨を逸脱して商業捕鯨まがいの事をしているから提訴されたのである。
そして日本側はこの提訴理由に対する明確な反論をしていない。 読売新聞の社説もまた明確な反論をしていない。
それもそのはずである。したくても出来ないのだ。
それどころか日本政府は国際捕鯨取締条約に違反している事を認識していながらその網の目を潜ろうとしてきたのだ。
おりからロンドン発共同が次のようなニュースを配信していた。すなわちアイスランドの地元紙はドイツの税関当局が北部ハンブルグの港で、アイスランド発日本行の貨物船が積んでいた鯨肉をアイスランドに返送することを命じたと(7月14日産経)
国際司法裁判所がまともな判断をするのなら日本の敗訴で終わることになる。そして日本の調査捕鯨はx中止に追い込まれることになる。
日本が国際司法裁判所(ICJ)の訴訟の当事国になるのは国際司法裁判所が1945年に発足して以来初めてだという。
おりしも領土問題で日本は国際司法裁判所に訴えようとする議論がなされている。
そのような重要な問題で日本の国益を争うなら納得が行くけれど、調査捕鯨違反で訴えられて、しかも敗訴濃厚だ。
これは日本外交の敗北であり、戦略ミスである。
読売新聞の社説が書くのはまさしくその事だ。
水産官僚の肩を持って間違った社説を掲げるようでは読売新聞は大手メディアの資格はない(了)
◇
国際司法裁判 科学的な調査捕鯨は有益だ(7月15日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130714-OYT1T00805.htm
国際法に基づく日本の活動の正当性を、説得力をもって主張することが肝要である。
南極海における日本の調査捕鯨の中止を求めてオーストラリアがオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)に提訴した裁判で、日豪双方の口頭弁論が行われている。判決は年内にも出る見通しだ。
日本がICJの訴訟の当事国になるのは、1945年のICJ発足以来初めてだ。最大の争点は、日本の捕鯨が、国際捕鯨取締条約が認める「調査捕鯨」とみなされるかどうかである。
豪州が「捕鯨の実態は鯨肉を売って利益を得ようとする商業捕鯨だ」と訴えたのに対し、日本は「科学的研究が目的で、国際法に違反しない」と反論している。
国際捕鯨委員会(IWC)は82年、鯨資源の科学的データが不十分であることを理由に、商業捕鯨の一時停止を決めた。
日本もこれに従い、87年から商業捕鯨を凍結し、条約が認める「科学的研究」のための調査捕鯨を行っている。
調査捕鯨の対象は、鯨の集団の分布や増減傾向、生態の把握など幅広い。将来の商業捕鯨再開を目指し、海洋資源としての鯨の実態をデータで示す狙いがある。
日本の調査によって、捕獲したミンククジラの皮や内臓に蓄積した化学物質から、南極海の海洋汚染の状況がわかってきた。
ミンククジラなどが年々増えていることや、増加した鯨がサンマやサケ、スケトウダラなど大量の魚を食べ、漁業を脅かしている実態も明らかになった。
日本が豪州に対し、「鯨類のすべてが神聖で、絶滅の危機にあるのか。感情的な背景はわかるが、法的、科学的には理解できない」と抗弁したのはもっともだ。
豪州は「日本のレストランで鯨の肉が出されている」などと批判した。これは的外れだ。条約は捕獲した鯨を「可能な限り加工」することを求めており、調査の副産物である鯨肉を食用にすることは条約の精神に合致している。
近年の捕獲量は年間4000トン台であり、約22万トンだった商業捕鯨最盛期の60年代とは比べものにならないほど少ない。最近は、反捕鯨団体「シー・シェパード」による妨害活動もあり、捕獲量は一層減少傾向にある。
日本が主張する調査捕鯨は、水産資源をどう維持・管理していくかという問題だ。将来予見される世界の食糧危機への備えにつながるという視点も重要である。
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