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選挙カーも来ない街、それが横浜市中区の寿地区だ。かつての日雇い労働者の街は、今や貧困と隣り合わせ。多くの住人の命綱となっている生活保護費は、八月から引き下げが始まる。受給者たちの不安をよそに、参院選で貧困対策が語られることはほとんどない。政治に素通りされている。(中沢誠、志村彰太)
うだるような暑さの中、公園の木陰で涼んでいた受給者の男性(62)は、ぶっきらぼうに答えた。「何を期待するの? 政治に関心なんてないよ」
参院選の真っただ中だが、候補者が街頭に立つことはない。寿地区で長年ホームレスたちの支援を続ける近藤昇さん(65)は「選挙はいつもそう。票にならないからだろ。同じ国民なのに」と怒りをにじませた。
年々膨らむ保護費に頭を悩ます政府は、生活保護制度の見直しを進めている。
不正受給への罰則強化を盛り込んだ生活保護法改正案や、就労支援を促す生活困窮者自立支援法案は六月、国会で廃案となり、保護費削減だけが八月から先行実施となった。日常生活費に当たる「生活扶助」が三年間かけて最大10%削減される。一九五〇年の制度創設以来の大幅削減にもかかわらず、参院選で生活保護の問題は話題にも上らない。
保護費に頼る受給者にとっては切実だ。寿地区を歩くと聞こえてくるのは「生活できるのか」「自分はどれだけ引き下げになるのか」と不安の声ばかり。
しかし、近藤さんによると、八月の引き下げを前に行政からの事前説明もないという。地元のボランティア団体の要望で、管轄の中区役所は説明会の開催を約束したが、「参院選で忙しいから」との理由で開催は八月に入ってから。近藤さんは「政治家も行政も寿の住民に目を向けようとしない」と語る。
寿地区で暮らし始めて十年になる受給者の長沢浩一さん(52)は「今回の減額は少ないが、もっと悪くなる手始めだと感じる」と将来を悲観する。
廃案になった生活保護法改正案は、申請窓口で不当に支給を断る「水際作戦」を合法化しかねないとの批判もあった。長沢さんは「既に水際作戦は横行している」と語る。自身も体験したからだ。
二〇一〇年三月、中区役所に生活保護の申請に行くと、「まだ働けるでしょ」と断られた。血圧が高く腎臓の病気も抱えており、治療に専念する必要があった。翌日、医師の診断書を持って再び申請に出向いたところ、約七百円分の食券を丸めて投げ付けられた。
長沢さんは、そのときのケースワーカーのせりふが忘れられない。「おまえは生活保護を受けられない。早く帰れ。悔しかったら支援者を連れてこい」。怒りよりも、あぜんとした。直後に支援団体を連れて行くと、対応は一変。すぐに申請手続きが始まった。
廃案になった二法案は参院選後、国会に再提案される見通し。長沢さんは「今でさえこの状況なのに、法改正したらどうなるのか。今の政治は経済成長の話ばかり。『中流以下は死ね』ということなのか。弱者にも支援の目を向けてほしい」と訴える。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20130712/CK2013071202000141.html
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