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2013年7月12日 神州の泉
★自民党公約「J-ファイル2012」109の重要記述
最初に、昨年末の総選挙時、自民党が「J-ファイル2012」という政党公約の中で、TPPの判断基準6項目が書かれている箇所をご覧になっていただきたい。
ここに書かれてあるTPP判断基準の6項目はネットや国会質疑などでさんざん俎上に上げられ、『なぜ非関税障壁関連のAからEまでの5項目を政府や役人は取り上げずに、@の項目に固執するのか?』という議論が盛り上がっていた。
それはTPP反対派にとって、いまだに最大の懸案として残っているし、そのことが解決しない限り実質参加はあり得ないという話である。ところが安倍自民党はこの最重要な5項目を無視したままTPPに突っ走ろうとしている。
AからEまでの5項目が安倍首相、政府、マスコミ、関係閣僚によって鉄壁の意志で無視され続けていることが、TPPの本質的な問題を浮き彫りにしている。
これについては、多くの良識派が問題提起をしているから、ご存じの方も多いと思う。
「J-ファイル2012」に書かれている下記のTPP該当箇所には、その重大問題以外に、その問題の根源を意図的に隠し、国民を誤った誘導に導く悪質極まる記述があることを発見した。
すでにお気づきの方もいるかもしれないが、もしかしたら神州の泉が初めてそれを指摘することになるかもしれない。
それは後に説明するので、まずは公約の原文をご覧になっていただきたい。
(「J-ファイル2012」の109より抜粋 39ページ)
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
109 自由貿易への取り組み
自由貿易の推進は、わが国の対外通商政策の柱です。WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結に向け、引き続き取り組んでいきます。
その際、農業交渉等については、各国の持つ多様な農業の共存や林・水産資源の持続的利用が可能となるルールの確立を目指します。
また、EPA/FTA・地域協定等の経済連携に関しては、国益に即して、メリットの大きなものについては積極的に推進するとともに、これによって打撃を受ける分野については必要な国境措置※を維持し、かつ万全な国内経済・地域対策を講じます。
TPP に関しては、政府が国民の知らないところで、交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さぬよう、わが党として判断基準を政府に示しています。
@政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
A自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
B国民皆保険制度を守る。
C食の安全安心の基準を守る。
D国の主権を損なうような I S D条項※は合意しない。
E政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
※国境措置 輸出入の際に講じられる関税等の措置。
※ISD条項 「投資家対国家間の紛争解決条項」(Investor State Dispute Settlement)の略語。主に自由貿易協定(FTA)を結んだ国同士において、多国間における企業と政府との賠償を求める紛争の方法を定めた条項。
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★上記「109 自由貿易への取り組み」には突っ込みどころが満載
すでに述べたように、上記TPP判断基準の6項目ではAからEまでの非関税関連5項目が、政府サイドに故意に無視されている現実は重大な問題であることは大いに論じられてきた。
実は「109 自由貿易への取り組み」のタイトルと説明文には、2つの文脈で重大なペテン的誘導が盛り込まれている。
詳しいことはこの後で論じるが、結論を先に言ってしまえば、一つは上記記事のタイトルに『自由貿易』とあるのは、日本人が国際化と思っている枠組みでの『自由貿易』の文脈でTPPを捉えていることにある。
しかし、TPPの本質は自由貿易ではなく国際金融資本(グローバル資本)による加盟各国の市場の均一化(フラット化)であり、それは彼らに都合のよいグローバル・スタンダードで行われる。
二つ目は、上記文中に、EPA/FTA・地域協定等の経済連携に関しては、これによって打撃を受ける分野については“必要な国境措置※を維持する”と書かれていて、すぐそのあとにTPPへの説明が続いていることである。
なぜそれが罠(わな)的な説明かと言えば、“必要な国境措置※を維持する”という自由貿易上の対抗策が、文意の配列として、あたかもTPPにも適用されるかのような誤解を与えているからだ。
なぜなら、「EPA/FTA・地域協定等」の直後に続くTPPの説明には『交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さぬよう、わが党として判断基準を政府に示しています。』とある。
これは上記判断基準の全6項目が、EPA/FTA・地域協定等の“必要な国境措置”であるかのように読者に思わせてしまうことになる。
また、「EPA/FTA・地域協定等」では、問題が生じる場合は“国境措置を維持する”と明記してるのに対し。TPPでは“判断基準を政府に示す”だけという、外交折衝上、何の効力も持たない曖昧さになっている。
政府が参考にすると言ってしまえばお終いである。
この公約文を書いた設計者の意図は、TPPを従来通りの国際的な自由貿易の枠組みで説明していて、問題点があれば国境措置を盾に自由に対抗できるかのような印象を与えているのである。
だが、ISDS条項を見れば分かるように、TPPは従来の国境措置が通用しないことが最大の問題なのである。
したがって、この109の文章には非常に悪質なトラップが仕掛けられていることになる。
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