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2013/7/9 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
参院選はスタートしたばかりだというのに、もはや自民党の圧勝は動きそうにない。安倍首相は「全員当選したら、何議席になるのか」と漏らしたそうだ。実際、自民党が苦戦している選挙区は、沖縄くらいなもの。都議選につづいて参院選も「全員当選」しかねない情勢だ。
どうやら国民は「アベノミクスで景気が良くなるなら」という一点で安倍自民党を支持しているらしい。しかし、本当に大勝させていいのか。自民党が圧勝したらどうなるか、よく考えるべきだ。
「日本を取り戻す」と叫んでいる安倍首相は、この国を戦前のような体制に逆戻りさせるつもりだ。と同時に、アベノミクスによって局地的なバブルとバブル崩壊が発生するだろう。
◆見せかけの景気回復の裏で起きていること
安倍首相が参院選の演説で乱発しているのが、次のセリフだ。
「日本を覆っていた暗く重い空気は変わった。景気回復の入り口まで来た。この流れを止めてはいけない」
しかし、本当に景気は回復しているのか。たしかに、安倍内閣が発足してから株価は1万円から1万4000円に上がった。大企業の景況感指数も、昨年12月の「マイナス12」から今年6月「プラス4」に転じている。
だが、実体経済は冷え込んだままだ。毎月の現金給与総額は、昨年11月の27万5250円から、今年5月の26万7567円へと、1万円近くも減っているのだ。国民はアベノミクスに期待しているようだが、このまま進んだら、日本経済は破滅しかねない。
「まだ、資産バブルや国債暴落といった〈異次元の金融緩和〉による決定的な弊害は起きていませんが、調子に乗って異常な金融緩和をつづけていたら、将来、クラッシュを起こすことは目に見えています。なにしろ、マネーの供給量を2年間で2倍にするというのだから常軌を逸している。アメリカのFRBも金融緩和を実施しているが、それでも予算規模にとどめているのに、日銀は2年間で270兆円と国家予算の3倍も供給するつもり。いずれ、局地的なバブルとバブル崩壊、国債の暴落を招くことは避けられない。その時、日本経済も国民生活もメチャクチャになりますよ」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
見せかけの景気回復の裏で何が起きているのか、有権者は知ったほうがいい。
◆自公はなぜ「ねじれ」解消を狙うのか
きのう(8日)、JR津田沼駅前で演説した安倍は「安定多数によって、私たちは誇りある日本をつくっていく」と絶叫。自公で「安定多数」を目指すと、選挙戦で初めて明言した。
「ねじれが解消すれば、もっとスピードアップして経済を回復できる」
「復興を進めるためにも、ねじれ解消が必要だ」
与党はこう訴え、国会のねじれが諸悪の根源であり、ねじれさえ解消されれば万事うまくいくみたいな幻想を振りまいている。大マスコミも乗っかって、「ねじれ解消が争点」と煽るが、ねじれはそんなに悪いことなのか。
政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「政党政治にとって、ねじれは悪いことばかりではありません。民主主義は手間と時間がかかる。国論を二分するようなテーマで意見がぶつかるのは当たり前です。そこで熟議を重ねて結論を導くのが民主主義なのに、ねじれが邪魔だ、面倒だから取っ払ってしまえというのは、権力側の身勝手な都合でしかありません。衆院も参院も与党の数の力で決まってしまうなら、何のための二院制なのですか」
自公が「ねじれを解消する安定多数を与えてくれ」と叫ぶのは、「やりたい放題の独裁政治をさせてくれ」と言っているに等しいのだ。白紙委任状を与えたら、とんでもないことになると覚悟しておいた方がいい。
◆政官財癒着の完全復活で庶民は貧困化
安倍自民党に一票を投じるつもりの有権者は、アベノミクスの恩恵を期待しているのかもしれないが、考えが甘すぎる。自民党を勝たせても、庶民におこぼれが回ってくることは絶対にない。
「政官財」の癒着が完全復活し、庶民は貧しくなるだけだ。
自民党の候補には、官僚OBなど族議員がズラリと並んでいる。参院選後、当選した族議員たちが「大型予算を組め」「公共事業を増やせ」と跋扈するのは確実。衆参で多数を握った自民党が、かつてのような“利権政治”を復活させるのは間違いない。すでに自民党は、ゼネコンの業界団体「日本建設業連合会」に4億7100万円もの献金を要請している。
庶民はアベノミクスの恩恵どころか“利権政治”の犠牲になるだけのことだ。
「安倍自民党は、スポンサーである大企業を徹底的に優遇するつもりです。法人税を下げるだけじゃない。大企業の人件費を大幅に下げるために“限定正社員”制度を導入するつもりです。限定正社員の人件費は正社員の2割安のうえ、簡単に解雇できる。要するに、大企業のために国民を犠牲にするつもりです。安倍首相は演説で『1人当たり国民所得を10年後に150万円増やす』などと語っていますが、庶民の暮らしを良くするつもりなどサラサラありませんよ」(政治評論家・本澤二郎氏)
◆憲法改正は「主権在民」「言論の自由」の廃止だ
安倍自民党を圧勝させたら、憲法で保障されている「主権在民」も「言論の自由」も、どうなるか分からない。
先週の日本記者クラブの党首討論会で、生活の党の小沢代表は安倍にこう質問した。
「自民党の憲法改正案で、基本的人権は永久不可侵と宣言している97条を削るというが、どういう考えからか」
自民党の改憲草案の危険性を突いたのだ。しかし、安倍は「逐条的に聞かれても……」と口ごもった。改憲を叫んでいるくせに、憲法の核心について答えられなかったのだ。
「なぜ憲法が〈最高法規〉なのか、97条はその理由を記した重い条項です。具体的には、国民に保障される基本的人権は〈人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果〉であり、〈現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利〉と宣言しています。97条の削除は、自由と権利の獲得のため、犠牲を払ってきた先人たちへの挑戦を意味します」(立正大教授・金子勝氏=憲法)
自民党は〈日本国民は〉で始まる憲法の前文も〈日本国は〉に改める考えだ。主権在民の廃止に結びつく発想だが、この点も安倍は正面からの説明を避けている。
「日本を取り戻す、と口にする安倍首相は、本気で日本を戦前のような国家主義体制にするつもりです。改憲を目指しているのも、そのためです。本来、憲法は国民が権力を縛るものですが、安倍首相はそれが気に入らない。参院選で勝利し、衆参で圧倒的多数を握ったら、一気に推し進めてくるはずです」(本澤二郎氏=前出)
安倍自民党を支持している国民は、自分で自分のクビを絞めているようなものだ。
◆消費税は必ず増税され大混乱が起きる
ここへきて、消費税増税の先送り論が囁かれているが、そんなのは自民党による選挙対策のマヤカシだ。
第一生命経済研究所・経済調査部首席エコノミストの熊野英生氏も「単純明快に選挙前であるという事情」と、こう指摘している。
「消費税への態度を曖昧にした方が、消費税増税に懐疑的な有権者まで取り込めるという発想があるのではないか」
財務省も主要ポストを主税局出身者が占める人事を断行し、増税のための布陣は万全だ。
「参院選で与党が大勝すれば、間違いなく増税を実施する。安倍首相が“景気が良くなった”と盛んに喧伝しているのは、その布石みたいなものです。アベノミクスで給料は増えないのに、輸入インフレで生活コストは上がる一方。そんな中で増税などされたら、家計は立ち行かなくなる。日本経済は大変なことになりますよ。デフレ脱却どころか、底なしの大不況にハマり込んでしまいます」(経済アナリスト・菊池英博氏)
逆進性の強い消費税は、低所得者ほど負担が大きい。非正規労働者や年金生活者の暮らしはどうなってしまうのか。
96年に消費税3%から5%への引き上げを決めた時も、翌年から金融危機が始まり、銀行が次々と破綻。急速に景気は悪化した。同じ轍(てつ)を踏むだけなのに、消費税アップなど狂気の沙汰だ。
◆戦前戦中の庶民生活はこんなに大変だった
戦前回帰を狙う安倍首相に対して、国民の警戒は薄いようだが、戦前がどれほどヒドイ時代だったか、分かっていないのではないか。もし、戦前のことを少しでも知っていたら、安倍自民党に一票を投じることなどあり得ない。実際、戦前、戦中を体験した人々は「あの時代」に戻すことを絶対に許さない。小学校高学年の時、東京で敗戦を迎えた筑波大名誉教授の小林弥六氏(80)はこう言った。
「物心がついた私の最初の記憶は、出征兵士を見送る大量の日の丸です。幼い私たちも学校のグラウンドを耕し、将校が目を光らせる中、芋の植えつけに駆り出された。特高警察や憲兵が跋扈し、密告も奨励された。うっかり戦争批判を口にすれば、誰が耳をそば立てているのか知れたものではない。息が詰まる、文字通り暗黒の時代でした。自由や人権など考える余裕さえありませんでした」
すべての日本国民が、国家に尽くすことを強いられ、逆らうことは許されなかった。逆らえば、たちまち「非国民」扱いされ、憲兵が飛んでくる。言論の自由も、結社の自由もない。どんなに腹が減ってもガマン、ガマン。一言で言えば、いまの北朝鮮のようなものだ。幸せな国民は、一握りしかいない。
小林弥六氏が続ける。
「戦争で苦労したのは日本だけではありません。戦勝国だって多大な犠牲を払った。なのに、日本が戦前回帰に走ったら、世界中から警戒されるだけです。まして安倍首相のタカ派言動は世界で危ぶまれています。70年前も〈世界に日本がどう映っているのか〉を見誤った末に、無謀な戦争に突入したことを忘れてはいけません」
◆ここまで災厄をもたらす小沢を追放した民主党の責任
それにしたって、だらしないのが野党だ。安倍自民党にまったく太刀打ちできない。
せめて野党で選挙協力をして、自民党に対抗すればいいのに、バラバラに戦っているのだから話にならない。このままでは民主党も、維新の会も、みんなの党も、壊滅的な大敗を喫し、参院選後に分裂してしまいそうだ。
なぜ、こんなバカなことになってしまったのか。すべて野党第1党である民主党の責任である。もし、いま民主党に小沢一郎がいれば、ここまでブザマなことにはなっていなかっただろう。それだけに、つくづく許しがたいのは、小沢を追放した菅直人や野田佳彦といった連中である。
「いま、政界で選挙を誰よりも熟知しているのは、やはり小沢一郎でしょう。彼の右に出る政治家はひとりもいない。もし民主党で実権を握っていたら、悪役を買ってでも、野党を強引にまとめていたでしょう。自民党に対抗するには、それしかない。討論を聞いても、小沢一郎は自民党の痛いところを的確に突いている。なぜ、最大の実力者を追放してしまったのか。自民党を喜ばせただけです。本当にバカですよ」(本澤二郎氏=前出)
小沢一郎を排除し、追放した「A級戦犯」の菅直人や野田佳彦は、責任を取っていますぐ政治家を引退すべきだ。
◆「TPP参加、原発再稼働、消費税アップ」の自民党に本当に投票するのか
じっくり読んだ人は少ないだろうが、自民党の選挙公約にはこう書いてある。
〈TPP交渉は、交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求〉
〈原発の安全性は原子力規制委員会の判断に委ね、再稼働は地元自治体の理解が得られるよう最大限努力〉
昨年末の総選挙の時は「聖域なきTPP参加には反対」「原発に依存しない経済・社会構造の確立」と掲げていたのに、手のひら返しで推進に転じているのだ。
自民党は参院選の公約に法人税の減税も掲げている。その穴埋め分を補うのは、もちろん消費税増税だ。自民党を勝たせれば、これらの政策に“お墨付き”を与えることになる。安倍は「公約に掲げて国民の信を得た」とか言って、わが物顔で亡国のTPPに突き進み、原発を次々と再稼働させ、消費税増税も強行するだろう。文句を言おうにも、向こう3年間は国政選挙が行われない可能性が高い。自公はやりたい放題だ。
「有権者はアベノミクスに目を奪われていますが、本来、この選挙は憲法改正やエネルギー政策、TPPなど重要な争点がたくさんある。参院でも自公が過半数を取れば、どういう世の中になるのか、国民はしっかり考えて投票して欲しいですね」(山口朝雄氏=前出)
自民党に投票し、フリーハンドを与えてしまって本当にいいのか。取り返しのつかない事態になってから悔やんでも遅いのだ。
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