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自民が恐れる調査・追及能力
その機能は、参院選でも共産党に1票を投じるという「劇薬」の効能になるかもしれない。
国会では自民・民主の2大政党制が事実上崩壊し、民主党は消費税増税で自公と手を組み、維新やみんなの党という「第3極」もアベノミクスを支持し、共産党以外の多くの野党が「安倍自民の補完勢力」と化した。「自民党1強」の状況は、15年前の98年参院選の時に似ている。当時は自民党と並ぶ2大政党の一角だった新進党が解党し、共産党は小党乱立の中で東京、埼玉、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫の7選挙区で当選、比例でも820万票を取って合計15議席を獲得、非改選と合わせて23議席に躍進した。
今回の参院選で共産党が都議選並みの得票率(13.6%)を取れば、非改選と合わせて会派として認められる10議席に回復する。仮に、いま解散・総選挙となった場合、衆院でも25議席オーバーが視野に入る。「共産党が多少、議席を増やしても政治は変わらない」と考えるのは大きな間違いだ。
共産党の10議席は民主党や第3極など「政権と戦わない野党」の数十議席とは“破壊力”が違うからである。
共産党の「最大の武器」が、全国に張り巡らせた地方組織と機関紙『しんぶん赤旗』を中心とする調査能力の高さであり、国政での政権追及能力は数々の政界疑獄事件に発展してきた。
第1次安倍政権を揺るがした一連の事務所費問題(架空事務所の支出を不正に請求、過剰な支出を事務所費として計上していた問題)は赤旗のスクープが発端で、労働問題では財界中枢企業の「偽装請負」を追及して社会問題化させた。
最近では原発再稼働に動いた九州電力の偽メール事件を報じるなど、政官財による利権政治の暗部にメスを入れてきた。
国会ではそうした問題を「追及を受けたくない2トップ」(自民党閣僚経験者)国対委員長の穀田恵二氏や佐々木憲昭氏らが追及する。メディアの政界疑獄でもネタ元≠ェ共産党議員であることは珍しくない。
だが、現在衆院8議席、参院6議席(改選3議席)の共産党は、質問時間がままならず「牙」が封じられている。穀田氏がいう。
「参院では議員が10人いれば本会議で質問ができ、委員会の理事にもなれる。これがないのは痛い。いまは参院の議運委員会理事会へのオブザーバー参加も認められていない。参院選ではなんとしても議席を増やしたい」
自民党にとって共産党躍進が厄介なのは、他の野党への取り込み工作も難しくなることだ。
衆議院事務局出身で国対政治の裏側を見てきた平野貞夫・元参院議員が語る。
「自民党は国会をうまく運ぶために野党理事を接待してきたわけです。しかし、共産党の議席が増えた時代は、理事会にメンバーを送り込んで目を光らせるから、そうした料亭政治ができなくなった」
自民党にすれば、与野党談合で懐柔できる野党ならば数十人の議席でも恐くないが、それが通用しない共産党の躍進は脅威なのだ。裏を返せば、他の野党が自民党政権をチェックできない状態が続くならば、有権者は共産党という暴力装置≠ノ手を伸ばすという選択もあり得るということだ。
戦後の政治史を辿ると、共産党が議席を伸ばす時には共通の政治状況がある。
古くは「今太閤」と呼ばれた田中角栄首相が登場して国民の人気を得ていた72年の総選挙で、自民党は284議席の安定多数を得たが、その一方で共産党も14議席から38議席と躍進した。大平内閣が「大型間接税」の導入を打ち出した79年の総選挙では、共産党は最高の39議席を獲得した。その後、中小政党に不利な制度である小選挙区制度が導入されると、衆院選では小選挙区での議席獲得は難しくなったが、そのかわりに全国比例のある参院選で存在感を示した。
前出の98年参院選挙は、橋本内閣が行革、社会保障改革など「六大改革」を掲げ、消費税を引き上げて国民に負担を強いた直後の選挙だった。いずれも、与党のやりたい放題の政治に対し、他の野党が無力で歯止めをかけることができないという政治状況があった。
学生時代に共産党員の経験がある政治評論家・森田実氏が指摘する。
「現在は安倍首相が憲法改正や原発推進を掲げて強権政治を行おうとしており、他の野党もメディアも政権批判を忘れて茶坊主になっている。過去の選挙を見ても、自民党が強気の政治姿勢を取り、国民の多くやメディアがそれを支持して国全体が一方向に動こうとするときおかしいぞ≠ニいう批判的な民意が共産党に集中する傾向がある。田中角栄氏が庶民宰相の人気をバックに列島改造という大公共事業政策を進めた時や、大平、橋本両内閣で大増税を掲げた時も政権批判の受け皿となった。共産党が支持を増すのは日本の政治が危険な状況にあることの映し鏡でもある」
投稿者短評〜
「国技」・日本相撲協会にあれほど厳しかった週刊ポストが、いまや日本共産党の「茶坊主」に成り下がったとは!? まあ、週刊誌も商売、無理目の安倍批判ネタもそろそろ尽きたのでしょうか、同情します。でも、「共産=社民」連立政権が誕生したらポストなんか吹っ飛んでしまいますよ。ん、これはSFの世界の話です。
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