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2013年07月08日 天木直人のブログ
きょう7月8日の毎日新聞が社説で書いていた。
きょう施行される原発の新規制基準を安全神話からの決別の日にすべきであると。
その趣旨はこうだ。これまでの安全神話がいかさまだったことが3・11で明らかになった。今度こそ電力会社は早期再稼動ありきで申請を急ぐのではなく自ら安全性を高める努力をし、原発リスクを減らさなければいけない。原子力規制委員会も新基準によって地震国日本の原発リスクはどの程度下げる事ができたのか国民に示す必要がある、と。
私はこのような社説、すなわち原発再稼動の判断をことさらにその安全性に委ねる事が、いつまでたっても日本が脱原発に踏み切れない元凶であると考えている。
そして同じ事は「住民の同意」の重要性を訴える議論についても言える。
安全であれば原発は認められるのか。
住民が同意すれば原発は認められるのか。
そうではないだろう。
安全性が確認されても原発を認めないと考える国民は多い。
原発事故の被害を受けた住民が積極的に原発を認めることなどあり得ない。
3・11で多くの国民は気づいたのだ。将来のリスクをおかしてまで原発を維持する事はもはや正しくないことを。
原発を持たない事の不便さや損失よりも、原発事故が起きた時の被害のほうがはるかに大きい。原発を持たない事による不利益は他の手段によって克服できるし、そうしなければならない、と。
もちろん国民的合意はいまだない。2年余の間、散々議論されたが賛否はある。
しかし論点は出尽くしている。
だからこそいつかの時点で政治決断をしなければいけないのだ。
ところが首相が、そして首長が、政治的リスクをおそれていつまでたっても政治決断しない。
そして「安全性」や、「住民合意」に原発再稼動の判断を委ねる。
だから原子力規制委員会の新基準が原発推進派からは厳しすぎると批判され、反対派からは甘いと批判される。
だから電力会社は新安全基準を満たして再稼動を早く行なおうと申請を急ぐ。
だから住民はアメと鞭で苦しめられ分断される。
これは政治決断を逃げる国や地方自治体による原子力規制委員会、住民いじめである。
悪者にされている電力会社さえイジメられている。
電力会社といえども企業だ。社長がその存続のために原発を続けようと努力するのは当然だ。
しかも原発は国策として進められて来た。
そして今も国策であり続ける。
我々の目の前で今繰り広げられている事は、原子力規制委員会、住民、東電の間に対立を生じさせて批判の風向きを自らに向かわせないようにする国と自治体首長の責任逃れだ。
国民が真っ先に批判の矛先を向けるべきはその立場を曖昧に続けるこの国の首相である。
住民が求めるべき住民の賛否を判断する首長の政治力だ。そして原発反対の住民の声に賛同するなら断固として国にその判断を迫る首長の覚悟だ。
首相と首長の曖昧さこそが、日本がいつまでたっても脱原発できない元凶である(了)
◇
社説:原発新基準施行 安全神話決別の節目に
http://mainichi.jp/opinion/news/20130708k0000m070096000c.html
毎日新聞 2013年07月08日 02時34分
福島第1原発の過酷事故から2年4カ月。きょう、原発の新規制基準が施行され、再稼働をめざす電力各社がこぞって審査を申請する。
新基準の施行は「事故前」と「事故後」を分ける、大きな節目である。事故前の安全神話を覆す最初の一歩としなくてはならない。
にもかかわらず、徹底した切り替えとできるかどうか、心もとない点がある。第一に、早期の再稼働に向けた「見切り発車」の姿勢が、電力会社に見えることだ。
たとえば、多くの原発が事故時の活動拠点となる「緊急時対策所」の整備を「仮設」で乗り切ろうとしている。放射性物質を含む排気に備えた「フィルター付きベント」も設置されていない。
もし、形さえ整えばいいと考えているとしたら、事故前と何も変わらない。安全確保を国任せにする電力会社の姿勢は、海外の規制当局関係者からも批判されてきた。国の規制は「最低限」の基準である。それを超えて、電力会社自らが安全性を高めようとしなければ、原発のリスクは減らせない。
そうした「安全文化」は規制基準では判定できないが、原発の安全確保と密接にかかわる。先週、大飯原発の運転継続が認められた関西電力は、対策を小出しにし、「基準を満たす最低線を探ろうとした」と原子力規制委員会から批判された。これでは、国民の信頼は得られない。
過酷事故が起きた場合の対応にも懸念が残る。国際的には防災対策まで含めた「5層の防護」が常識だが、事故前の日本はそこまで考えていなかった。これを改めるのは当然だが、まだ徹底していない。
規制委は新たな災害対策指針を定め、防災の重点地域を30キロ圏へ広げたが、大飯原発のある福井県もまだ防災計画を改定中だ。計画が策定済みの場合も、放射性物質の放出が起きた時にどう避難するか。甲状腺を守る安定ヨウ素剤を飲むタイミングをどのように住民に知らせるか。現実的な道筋はよく見えない。
政府は再稼働に前のめりになっているが、新規制基準にはリスクの高い原発をふるいにかける重要な役割があることも忘れてはならない。運転40年で廃炉とする原則や、新しい知見を既設炉に反映させるバックフィットをきちんと守り、型が古く、老朽化した原発は積極的に廃炉にしていく必要がある。敷地内に活断層の存在が疑われるなど地震や津波のリスクが大きい原発も同様だ。
事故から2年余を経て、「地震国」日本の原発のリスクはどれだけ下げられたのか。それを、規制委も電力会社も、目に見える形で示してもらいたい。
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