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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130705-00000009-sasahi-soci
週刊朝日 2013年7月12日号
アメリカ政府が個人情報や他国の通信情報を収集していたと元CIA局員が告発し、世界を騒がせている。この元局員、エドワード・スノーデン氏(30)は、CIAに勤務後、民間企業契約社員として国家安全保障局(NSA)のシステム管理に携わっていた技術者で、日本を含むアジアの諜報活動にもかかわっていたとみられる。彼が持ち出したデータには、対日本の傍受記録が含まれている可能性が高いのだ。軍事ジャーナリスト黒井文太郎が取材した。
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NSAは日本のほぼあらゆる通信を傍受できるシステムを、すでに構築している。たとえば、在日米軍の青森県三沢基地には、NSAが統括する非常に大規模な電波傍受施設がある。ここはロシアや北朝鮮などの軍事通信の傍受が主任務ではあるが、それだけでなく、民間の衛星通信も傍受できる。NSAは、日本からの衛星通信を容易に捕捉する力があるのだ。
また、現在の国際通信とインターネットは海底光ファイバー・ケーブルを経由するが、その主要幹線はほとんどアメリカを経由しており、NSAはそれらに直接アクセスできる。さらに、海底のケーブルに傍受機材を取り付ける専用の米海軍攻撃型原子力潜水艦もある。こうしてNSAは、日本からの国際通信をほとんど傍受できる。また、インターネットはアメリカを経由するのが草創期からの基本構造なので、日本からネット上を往来するトラフィックもほぼ監視できる。
さらに、日本国内の携帯電話も、ある程度はキャッチできる。米軍は宇宙空間の静止軌道上に、巨大なアンテナを広げて地上から漏れてくる電波を傍受する監視衛星を運用しているが、そのなかには微弱な携帯電話通信の電波を傍受できるものがある。
また、東京・赤坂の在日アメリカ大使館にも、NSAの通信傍受施設がある。もともとは東京に集中する長距離通信のマイクロ波をキャッチしていたようだが、現在ではおそらく首都を飛び交う携帯電話の電波を傍受している。
このように、NSAは日本国内の各種通信をほぼ根こそぎ傍受し、そのデータをファイルできるハードウエアを保有している。あとはどこまで実行するかというだけの問題だが、1995年の日米自動車交渉に際して、CIAの依頼によって通産省官僚と自動車メーカー幹部の通話を傍受していたことが米紙で報じられたことがある。この前歴から考えれば、今後、TPP交渉に関して盗聴行為を行う可能性は否定できない。
そこで注目されるのは、やはり今回、スノーデンがNSAから持ち出した機密情報の中身だろう。
彼は少なくとも今年2月から5月にかけて、ハワイのNSAクニア地域シギント作戦センターで、システム管理者として勤務していた。この施設は、NSAが世界中で行っている通信傍受工作を地域別に指揮する主要拠点3カ所のひとつで、アジア全体での活動を統括している。つまりスノーデンは、NSAのアジア全域での活動に関する資料を持ち出している可能性が高いのだ。彼はすでにNSAによる対中国ハッキング工作を暴露したが、おそらく対日活動に関する情報も持っているものと思われる。
また、彼は在日米軍のNSA施設で勤務したこともあると語っている。三沢基地のことと考えられるが、そうであれば、そこでの衛星通信傍受の実態も熟知しているはずである。
スノーデンは現在、ウィキリークスとの関係を深めているが、彼が機密資料の大量公開に踏み切ったとき、アメリカ諜報機関による日本監視の全貌が暴かれることになるだろう。
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